「塩麹の効果」は塩と何が違うのかご存じですか?注意点も管理栄養士が解説!
塩麹の効果は?管理栄養士が栄養素・健康効果、ご飯やダイエットへの活用法、効率的な摂取方法、保存方法を解説します。
この記事のまとめ
・塩麹は塩分濃度が約8~13%と、ほぼ100%の食塩より低く、麹由来のうま味や甘みが加わることで少量でも満足感のある味付けができ、減塩に役立つ可能性がある。
・塩麹に含まれる酵素(プロテアーゼやアミラーゼ)が食材のたんぱく質やでんぷんを分解し、肉や魚をやわらかくしたり、うま味やコクを引き出したりする効果が期待できる。
・塩麹は発酵食品として腸内環境との関連が注目されているが、塩麹単体で健康効果や腸内環境改善効果を示す十分な根拠は現時点では限定的である。
・塩麹には食塩が含まれるため、「塩より食塩が少ないから」と使いすぎると食塩の摂り過ぎにつながることがあり、他の調味料とのバランスを考えて適量を使うことが大切である。
監修管理栄養士:
大隅 加奈子(管理栄養士)
管理栄養士取得後、特定保健指導や病院で栄養管理・栄養指導・給食管理に従事し、現在はフリーで活動中。イベントやセミナーに参加し、みなさまの食生活のお悩みに応えられるよう努めています。
塩麹とは?

塩麹とは、米麹に塩と水を加えて発酵・熟成させた日本の伝統的な発酵調味料です。料理の味付けだけでなく、お肉や魚などの下味や料理の隠し味としても活用されています。炒め物やスープ、ドレッシング、スイーツなど幅広い料理に使われ、素材のうま味や甘み、まろやかさを引き出せるのが魅力です。塩麹は一般的に米麹を使って作られますが、使う麹によって風味や香りが変わるため、地域や家庭によってさまざまな塩麹が楽しめます。
そもそも麹は、米や麦、大豆などの穀物に麹菌を付着・増殖させて作られます。米麹・麦麹・豆麹などがあり、味噌やしょう油、清酒、みりん、酢など、日本の代表的な発酵食品にも利用されてきました。
「麹」は中国由来の漢字で、「糀」は日本で生まれた和製漢字です。「糀」は蒸した米に麹菌糸が白く広がる様子が「花が咲いた」ように見えることから付けられ、米麹を使った甘酒や塩麹などで見かけることがあります。
近年は発酵食品への関心から、塩麹を家庭で手作りするなど身近な調味料としても親しまれています。
塩麹の一日の摂取量

塩麹には、公的機関が定める1日の摂取基準は設けられていません。食塩を含む調味料のため、1日の食事全体の食塩量を意識して、調整することが大切です。
日本人の食事摂取基準では、18歳以上の食塩摂取目標量は、男性7.5g未満/日、女性6.5g未満/日とされています。また、高血圧および慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のためには、男女とも6.0g/日未満が目標とされています。
塩麹と塩の塩分量の違いは?

塩麹の食塩相当量は手作りや製品によって異なりますが、塩分濃度は約8~13%程度のものが確認されています。一方、食塩の塩分濃度はほぼ100%です。塩麹は米麹と水分を含むため、食塩より食塩濃度が低くなります。麹由来のうま味や甘みが加わることで、塩味だけではなくまろやかで、味に深みが出るのが特徴です。
塩麹は塩の代わりとして料理に使うことができます。少量でも満足感のある味付けができるメリットがあります。ただし、塩麹にも食塩が含まれているため、使いすぎると食塩摂取量が増える場合もあります。ほかの調味料に含まれる食塩量も考えながら料理全体の味付けを調整しましょう。
塩麹でおすすめの使い方はある?

塩麹の健康的な食べ方・調理法は?
塩麹は、素材のうま味を引き出すため、少量でも味を整えやすいのが特徴で、減塩に役立つ可能性があります。しょう油や味噌など、ほかの調味料と重ねて使い過ぎないように意識して取り入れましょう。
また、塩麹入り飲料による健康効果についての研究は現時点で少なく、十分な根拠はありません。特定の飲み物に頼るよりも、1日全体の食塩量を意識しながら、日々の食事をバランスよく食べることが大切です。
塩麹をごはんを炊くときに使うとどのような効果がある?
ご飯を炊く際に塩麹を少量加えると、ほんのり甘みが加わり、ふっくらとした食感に仕上がるといわれています。麹のうま味成分がごはん全体に広がるため、冷めてもおいしく、お弁当にも向いています。
ただし、塩麹には食塩が含まれるため、入れすぎると塩味が強くなる場合があります。
塩麹パウダーの特徴と活用法
塩麹パウダーは、水分を飛ばして乾燥させたもので、保存しやすく、使いやすいのが特徴です。液体の塩麹よりも塩分濃度が高い場合があるため、商品ごとの成分表示を確認しながら使うことが大切です。
パウダー状のため、お肉や魚の下味、炒め物に混ぜたり、サラダやポテトに和えたり、ふりかけるなど、手軽にうま味を加えたいときに便利です。また、余計な水分を増やさずに調味できるため揚げ物やお弁当などにも活用できます。
塩麹はダイエットに向いている?
塩麹を食べるだけで体重が減る、脂肪が燃焼する、などのダイエット効果が得られる十分な根拠はありません。そのため、塩麹=ダイエット食品と考えるのは適切ではありません。
一方で、ダイエット中も食事を楽しみながら、エネルギーや栄養を適切に摂ることが大切です。塩麹はお肉や魚、野菜など幅広い食材に使えるため、主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスのよい食事を心がけましょう。
なお、ダイエット目的で使用量を増やすのではなく、適量を取り入れることを意識しましょう。
塩麹に含まれる栄養素

炭水化物(糖類)
炭水化物はからだのエネルギー源となる栄養素です。塩麹には主成分となる、麹由来のでんぷんや糖類が含まれています。
発酵の過程で麹菌がつくるアミラーゼ(でんぷん分解酵素)によって、米麹に含まれるでんぷんが麦芽糖などの糖類へと分解されます。この糖類が塩麹特有のまろやかな風味や自然な甘みに関わっています。
たんぱく質・アミノ酸
たんぱく質は、筋肉や臓器などをつくる体に欠かせない栄養素です。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分で、からだのさまざまな機能に利用されます。
塩麹には微量のたんぱく質が含まれます。発酵の過程でプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)によって、ペプチドやアミノ酸へと分解されます。アミノ酸の一つであるグルタミン酸などは、塩麹特有のうま味に関わり、ペプチドはコクや風味を支えています。この酵素の働きは、お肉や魚を塩麹に漬けたときにも作用し、たんぱく質の分解によって食材をやわらかくすることにつながっています。
ビタミン・ミネラル
ビタミン・ミネラルは、代謝や神経伝達、骨の形成など、からだの機能を正常に保つために欠かせない栄養素です。
塩麹には、原料や商品によって、麹由来のビタミンB群やカリウム、マグネシウム、銅、マンガン、モリブデンなどが含まれています。ただし、含まれる量は商品によって異なるため、栄養成分表示などを確認しましょう。
ナトリウム(食塩)
ナトリウムは、体内の水分バランスの調節や神経伝達、筋肉の収縮などに関わる、生命維持に必要なミネラルです。
塩麹には、原料として使用する「塩」に由来するナトリウムが含まれています。塩麹は麹由来のうま味や甘みが加わることで、塩味だけでなく、料理の味を整えやすくなります。一方で、使いすぎると食塩の摂り過ぎにつながる場合もあるため、少量ずつ加え、ほかの調味料とのバランスを考えて取り入れましょう。
塩麹の健康効果

塩麹は、麹の発酵によって生まれる酵素やさまざまな成分を含むことから、健康との関係が注目されています。ただし、塩麹を食べることで特定の病気を予防・改善できる十分な根拠は現時点では限定的です。
発酵食品全体では健康との関連についてさまざまな研究が行われており、塩麹についても今後の研究が期待されています。
減塩に役立つ可能性
塩麹は、塩より食塩濃度が低く、麹由来のアミノ酸や糖類などがうま味やまろやかさを加えるため、塩味を抑えても味が整いやすく満足感が得られるのが特徴です。うま味を活用した味付けは、食塩摂取量を抑える方法の一つとして研究されています。
ただし、塩麹そのものにも食塩が含まれるため、使い過ぎには注意が必要です。
腸内環境への働きはある?
塩麹は発酵食品の一つです。発酵商品の摂取と腸内環境との関係については多くの研究が行われており、腸内細菌の多様性などとの関連も報告されています。また、発酵によって生じる有機酸なども、腸内環境との関係が研究されています。
ただし、これらは発酵食品全体についての研究が中心で、塩麹単体で腸内環境を改善する効果を示す十分な根拠はありません。塩麹については、発酵食品を取り入れる食生活の一部として考えるのが適切です。
発酵食品の健康効果
発酵食品全体では、血圧や血糖値、炎症、免疫機能など、健康との関連についてさまざまな研究が報告されています。また、腸内環境と脳の働きとの関係(腸脳相関)についても、発酵食品との関連が研究されています。発酵食品に含まれるペプチドや有機酸などについても、健康との関係が研究されています。
ただし、これらは発酵食品全体についての研究であり、塩麹単体の健康効果を直接示すものではありません。
酵素の働き
酵素活性が残っている塩麹では、摂取することで直接健康効果を示すというよりも、食品中の栄養素を分解し、食材の性質を変化させることで食べやすさや消化のしやすさに関わることが知られています。プロテアーゼはたんぱく質を消化しやすいペプチドやアミノ酸に分解し、アミラーゼはでんぷんをエネルギーとして利用しやすい麦芽糖などの糖類に分解します。また、発酵によって生じる有機酸は腸内環境に関わることも知られています。こうした酵素や発酵による成分の働きによって食材のうま味や甘み、風味、酸味など、塩麹の味わいや調理効果を支えています。
塩麹を使う時の注意点

塩麹はさまざまな料理に使える便利な調味料ですが、使用量や食材への使い方には注意が必要です。
食塩量の把握と使い過ぎに注意
塩麹は塩より食塩濃度が低いものの、一定量の食塩を含んでいます。「塩麹の方が食塩が少ないから、たくさん使ってもよい」と思われがちですが、使用量が増え過ぎると、結果的に食塩の摂り過ぎになるため注意が必要です。特に、市販の塩麹は商品によって食塩相当量が異なるため、成分表示を確認して調整しましょう。しょう油や味噌など、ほかの調味料に含まれる食塩量も考えて、料理全体で味付けが濃くなりすぎないようにすることが大切です。
食材(味・食感)の変化に注意
塩麹に含まれる酵素は、お肉や魚のたんぱく質に作用するため、漬け込むことで食材がやわらかくなります。一方で、長時間漬け込むと、食材がやわらかくなり過ぎて、食感が損なわれることがあります。また、薄切にした食材などは塩味が強く感じられることもあります。さらに、アミノ酸や糖類などに含まれる成分によって、塩麹独特の風味が強く出ることがあります。多く使いすぎると素材本来の味が感じにくくなることがあります。なお、焼く際には焦げつきやすくなるため、火加減には注意しましょう。漬け込む時間や量は、少しずつ調整しながら使うと風味と食感のバランスが保ちやすくなります。
アレルギー・原材料に注意
塩麹は一般的に米麹でつくられますが、商品によっては麦麹や豆麹が使われることもあります。食物アレルギーがある場合は、原材料表示を確認することが重要です。また、手作りする場合も、使用する麹や調味料などの原材料を確認し、アレルギーの有無や目的に合った麹の種類を選ぶことが大切です。
塩麹の栄養素を効率的に摂取する方法

加熱のタイミングを工夫する
塩麹に含まれる酵素の活性は、製品や製造方法によって異なり、加熱によって低下・失活します。酵素の働きを調理に生かしたい場合は、加熱の直前や仕上げに加えるのではなく、加熱前に肉や魚などを塩麹に漬け込み、一定時間作用させる方法が適しています。プロテアーゼなどの酵素が食材のたんぱく質に作用することで、肉や魚をやわらかくしたり、うま味を引き出したりする効果が期待できます。なお、酵素の活性が保たれた状態で摂取することによって、栄養素の吸収や健康効果が高まるという十分な根拠はありません。
酵素を生かす調理法
酵素の働きを生かしたい場合は、サラダ、和え物、ドレッシング、浅漬け、ひんやりスイーツなど加熱せずに食べられる調理法がおすすめです。加熱しないことで酵素の働きを生かしやすくなるため、塩麹の風味が素材と調和しやすく、食材本来の味を引き立てながらおいしくいただけます。
酵素を生かす組み合わせ
酵素活性が残っている塩麹は、お肉や魚などを漬け込む際に活用すると、麹由来のプロテアーゼなどが食材のたんぱく質に作用し、やわらかくしたり、うま味を引き出したりする効果が期待できます。野菜に使う場合は、塩麹の甘みやうま味が加わることで、素材の風味を生かした味付けができます。また、味噌やヨーグルトなどの発酵食品と組み合わせると、それぞれのうま味や酸味、コクが調和し、料理の味わいを深めることができます。ただし、塩麹の酵素活性は製品や製造方法によって異なり、加熱処理された商品では酵素が十分に働かない場合があります。酵素の働きを調理に生かしたい場合は、加熱前のお肉や魚を漬け込むなど、食材に作用させる時間を置いてから使用するとよいでしょう。
塩麹の保存方法や期間

塩麹は食塩を含むため、雑菌の増殖が抑えられやすい調味料ですが、保存性は食塩濃度や温度、衛生状態などによって異なります。手作りと市販品では保存方法や期間が異なるため注意しましょう。
保存中に色が濃くなることがありますが、これは糖とアミノ酸によるメイラード反応などによる場合もあるため、必ずしも品質劣化とはいえません。なお、お肉や魚を漬け込んだ塩麹は、衛生上の観点から再利用しないよう注意が必要です。
手作り
塩麹は、米麹・塩・水を清潔な容器に入れて混ぜ、常温で発酵させます。発酵中は直射日光や高温を避け、清潔なスプーンなどで混ぜながら状態を確認しましょう。なお、発酵にかかる日数は季節によっても変わります。とろみが出て香りがまろやかになれば出来上がりの目安です。
常温での発酵が終わったら、冷蔵庫で保存するのが基本です。冷蔵すると発酵の進み方が緩やかになり、風味を保ちやすくなります。冷凍保存も可能で、少量ずつ分けて保存するのがおすすめです。
保存期間は、使用する材料や塩分濃度、発酵状態、保存環境などによって異なります。保存中は見た目やにおいなど異常がないか確認し、カビや異臭などがある場合は使用しないようにしましょう。
市販品
市販の塩麹は、商品ごとに製造方法や保存方法が異なるため、未開封の場合は表示された保存方法と賞味期限を守りましょう。開封後は品質が落ちやすくなるため、商品に記載された保存方法や使用期限を確認し、適切に使用することが大切です。
使用する際は清潔なスプーンを使い、容器のふちに付着した塩麹は拭き取るなど衛生面にも注意しましょう。長期保存したい場合は冷凍可否や保存方法など商品表示を確認してください。
「塩麹の効果」についてよくある質問

ここまで塩麹について紹介しました。ここでは「塩麹の効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。
塩麹を毎日食べるとどのような効果が期待できますか?
大隅 加奈子(管理栄養士)
塩麹を毎日食べることで、特定の健康効果が得られるとされる十分な根拠はありません。
一方、塩麹は麹由来の酵素や発酵によって生じる成分が含まれており、健康との関連について研究されています。発酵食品全体の研究では腸内環境や生活習慣病の指標などとの関連も報告されており、日常的に取り入れることが健康維持に役立つ可能性も示されています。ただし、これらは塩麹単体の効果を直接示すものではありません。
塩麹は、健康効果だけを期待して取り入れるのではなく、うま味や風味を生かしながら、毎日の食事を豊かにする調味料として上手に活用するとよいでしょう。
塩麹を使用するにあたって、デメリットや注意点はありますか?
大隅 加奈子(管理栄養士)
塩麹は料理に幅広く使える調味料ですが、食塩に比べ食塩濃度が低いため、ついつい摂り過ぎてしまい、過剰摂取につながる場合があります。
特に高血圧・腎疾患・心血管疾患などで食塩の管理が必要な方は、量を調整しながら使うことが大切です。
また、塩麹にお肉や魚を長時間漬け込むとやわらかくなりすぎたり、魚が崩れやすくなったり、食感が損なわれやすくなります。さらに、焦げつきやすく、料理の仕上がりにも影響することがあります。漬け込む時間は食材に応じて調整するようにしましょう。
編集部まとめ
塩麹は、食材のうま味や甘み、コクを引き出し、発酵の力で日々の食生活を豊かにしてくれる魅力的な調味料です。ただし、塩麹には食塩も含まれるため、摂り過ぎには注意が必要です。最新の栄養調査でも、私たちの食塩摂取量は目標量を大きく上回っていることが分かっています。お味噌やしょう油などほかの調味料とのバランスを工夫し、塩麹を上手に取り入れることで、おいしさはそのままに、自然な減塩へとつなげていくことができます。
近年は、塩麹を応用した甘麹やしょうゆ麹、玉ねぎ麹やトマト麹といった多様なこうじ調味料も話題になり、料理の幅も広げてくれます。8月8日のこうじの日をきっかけに、手作りしたり、日々の料理に活用してみてはいかがでしょうか。
私たち日本人になじみ深い和食の原点でもある発酵調味料を見直し、上手に活用しながら健康的な食生活につなげていきましょう。
「塩麹」と関連する病気
「塩麹」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系
心血管疾患
生活習慣病泌尿器系
慢性腎臓病(CKD)
「塩麹」と関連する症状
「塩麹」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
高血圧食物アレルギー
参考文献
日本人の食事摂取基準(2025年版)
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
令和6年国民健康・栄養調査

