佐々木希がナチュラルワイン界の巨匠に聞いた、”本物”のワインを造るために必要なこと

写真拡大 (全6枚)

8月6日に行われた佐々木希さんのインスタライブで、芸能生活20周年と書籍発売のお祝いで、視聴者のみなさんと乾杯するために用意されたナチュラルワイン。これは佐々木さんのお気に入りの銘柄でもあるが、実は10月2日に発売される佐々木さんの新刊『佐々木希フォトエッセイ Natural』の撮影場所として、佐々木さん自身がリクエストしたワイナリーで造られたもの。

本書では、佐々木さんの幼少期や芸能界に入ってからの葛藤、家族への想いなど、今の佐々木さんを形づくるエピソードが詰まっている。さらに佐々木さんのFRaU web連載でも紹介しているナチュラルワインに関してもその魅力を改めて語っている。

今回、フォトエッセイの発売に先駆け、本書には載せきれなかったワイナリーでの佐々木さんの様子やナチュラルワインが造られる舞台裏、ナチュラルワイン界の巨匠が考えるワイン造り学と構想についてお伝えする。

日本のナチュラルワイン界を牽引する造り手

『佐々木希フォトエッセイ Natural』の撮影で伺ったのは、ナチュラルワインに携わる人々から厚い信頼を集め、日本のナチュラルワイン界を牽引する造り手の一人である小山田幸紀さんの醸造所。小山田さんは日本有数のワインの名産地、山梨県甲州市にある『ドメーヌ・オヤマダ』の代表であり、同時期に創設した『ペイザナ農事組合法人 中原ワイナリー』の代表も務め、若手の農業者や醸造家の育成も長年行っている。

元々は、山梨ワインの老舗『ルミエール』で約16年間ぶどう栽培や醸造責任を担っていたが、無農薬栽培のぶどうを使い、野生酵母に委ねたナチュラルワイン造りを目指し、2014年に独立した。

現在、『ドメーヌ・オヤマダ』のぶどう畑は18ヵ所あり、40種類ほどの品種を育てているが、新たに手がけているぶどう畑があるという。その畑を見学させてもらいながら、ぶどう栽培をはじめとしたワイン造りのことや、これからのナチュラルワインについて佐々木さんが話を伺った。

6年ぶりに訪問! 新しいぶどう畑を見学

佐々木希(以下、希)小山田さん、お久しぶりです! 以前お邪魔したのは6年前くらいですね。

小山田さん(以下、小) ご無沙汰しております。もう6年前ですか! その後も都内のワインイベントなどでお会いする機会がありましたね。

希 そうですね。その時もお会いできて嬉しかったです。今、新しいぶどう畑を作っているそうですね。

小 まだ準備中ですが、『フロントナック』というアメリカで開発されたハイブリッド種の品種を植えて育てているところです。この敷地内に、鶏小屋も2つ建設しようと思っています。

希 FRaUwebの連載(第11回)でもご紹介しましたが、小山田さんといえば鶏ですよね! これだけ広い敷地だと、鶏ものびのびできていいですね。

小 鶏を放し飼いにすることで、雑草などを食べ、その糞を堆肥化し、農薬に頼らない循環型農法を実現させたいんですよね。

希 すごい! 鶏にも手伝ってもらいながら、この小さな枝がやがて大きく立派なぶどうの木に?

小 そうです。ぶどうは蔓性の植物なので、小さなうちから支えを作らないとあちこち変な方向に伸びてしまうんです。ある程度伸びたら均等に太陽が当たるよう、横に広がるように這わせていきます。

希 ぶどうの木はそうやって手間暇かけて育てていくんですね。ちなみにどの時期が一番忙しいですか?

小 5~7月です。ぶどうができたら、雨除けのための傘がみをかけたりするなど、どんどん作業が増えて忙しくなります。

希 ではこれから忙しくなっていくんですね(※撮影は4月下旬)。ぶどうを収穫した後は醸造所の方が稼働するんですか?

小 そうですね。7月下旬以降は前の年から醸造させていたワインの瓶詰めをして、8月は仕込みがあります。うちのワイナリーは夏にワインを出荷しないので、醸造所での稼働は時期によってまちまちなんです。

希 どのくらいの期間、醸造しているんですか?

小 いろんなパターンがあるんですけど、一番多いのが樽熟成1年、瓶熟成1年ですね。ワインの種類によって熟成期間も変わってくるんです。

“本物”のナチュラルワインを造るために

希 ここにある木樽は何個くらいあるんですか?

小 50個です。1万5000リットルのワインが造れます。

希 わ~すごい!

小 今入っているのは、2025年に収穫したぶどうを使ったものです。2024年のぶどうは去年の12月に瓶詰めしました。『BOW!』というワインはその年の翌春にすぐ出すんですけど、それ以外は熟成させているんです。

希 以前お伺いした時は、小山田さんのところにワイン造りを学びにたくさんの方が来ていたのを覚えています。

小 収穫の時期は手伝いに来てもらうことが多いです。僕もOBのワイナリーに手伝いにいくことがあります。だいたい『僕が1回手伝いに行くから、その代わり5回はうちを手伝って』と言っています(笑)。

希 小山田さんが行くこともあるんですか! でもぶどうの収穫の時期は被らないのですか?

小 長野県のワイナリーなどは時期が少しずれるので合間を縫って手伝いに行っています。

希 ワイナリーのみなさんがお互いに助け合いながら、ワイン造りをされているんですね。そうした横のつながりがあるところも、とても素敵だなと思います。ところで最近は小山田さんがワイナリーを始めた頃よりもナチュラルワイン業界の裾野が広がった気がしています。小山田さんはどう思いますか?

小 だいぶ変わってきたんじゃないかなと思います。ワイン用のぶどうは有機栽培で、ほとんど添加物を入れないというのが日本のナチュラルワインだと僕は認識しているのですが、需要が高まる中で“なんちゃってナチュラルワイン”のようなものも増えてきた気がしています。

希 なるほど。

小 ナチュラルワイン界が今後も長く続いていくためには、ある程度の基準を作った方がいいと思い、今年、数名の醸造家たちと一緒に『一般社団法人 サンビオーズ』という団体を創りました。

希 どんな団体なのですか?

小 サンビオーズは、これまで日本では定義が曖昧だったナチュラルワインのガイドライン(※)を提示して会員を増やし、その認知度の向上や保護につながるような活動をする団体です。醸造の勉強会を開いたり、いずれは認証制度を作るなど、今後の日本のナチュラルワイン業界の、健全な発展をサポートできたらと思っています。基本理念はシンプルに『ぶどうのみを使ったワイン』で、最大の目標は『おいしいワインを造って皆さんに楽しんでもらうこと』です。

希 ワイン造りだけでなく、ナチュラルワイン界の未来を見据えた活動もされているんですね。素敵な活動ですね!

小 ありがとうございます。希さん、また良かったら遊びにきてください。

希 子どもたちと一緒にお伺いさせてください。本日はどうもありがとうございました!

(※)サンビオーズが提示する「ナチュラルワインのガイドライン」

・有機栽培もしくは同等基準の栽培であること

・銅剤の使用量は、銅換算で(当面のところ)6kg/ha/年以内とする

・ぶどうの収穫は手摘みであること

・原材料はぶどうのみで、人工的に補正する技術は禁止

※例外として亜硫酸は瓶詰時に30ppmまで添加可能

※瓶内二次発酵時のみ糖(規定内の栽培方法)と酵母の添加は可能

『ドメーヌ・オヤマダ』

住所/山梨県甲州市勝沼町中原5288-1

※ワイナリー見学不可

『一般社団法人サンビオーズ』

Instagram @symbiose_wine

【スタッフ】

撮影/水野昭子 ヘアメイク/犬木愛 スタイリスト/木津明子 取材・文/佐藤美穂

【佐々木さん着用衣装・問い合わせ先】

ブラウス¥19800(税込)、スカート¥22000(税込)/アンティミテ その他/スタイリスト私物

アンティミテ 03-6801-6096 https://www.intimite.jp/

「もう一度行きたい」と佐々木希さんが再訪した、入手困難ワインも飲める森の中のレストラン