コーヒーをどのタイミングで飲むと「時差ボケ」は抑えられる?治し方を医師が解説!

時差ボケ対策の鍵は光の使い方と生活リズムの調整です。渡航前の準備から到着後の過ごし方まで、具体的な方法を解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「時差ボケ」はどうやって治したらいいの?アメリカやヨーロッパ帰りの治し方も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
村上 友太(医師)

【経歴】
医師、医学博士。
福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長、東京予防クリニック院長を歴任。現在は神宮前統合医療クリニックなどで脳機能向上、認知症予防を中心に診療している。
【資格・所属】
日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本健康経営専門医

時差ボケとは?

時差ボケとは、体内時計(概日リズム)と現地時間のズレによって起こる一時的な不調のことです。人の体には、睡眠、体温、ホルモン分泌などを約24時間周期で調整する仕組みがあり、その中心は脳の視交叉上核にあります。この体内時計は、主に光によって調整されています。
飛行機で短時間のうちに複数の時間帯をまたぐと、体内時計が新しい昼夜のリズムにすぐには追いつけず、睡眠の乱れやだるさ、集中力低下、胃腸の不調などが出ることがあります。一般に、時差が大きいほど起こりやすく、特に体を早寝早起き方向に動かす必要がある移動の方がつらく感じやすいとされています。これは、人の体内時計が平均すると24時間より少し長めで、遅らせる方が前に進めるより調整しやすいためです西向きの適応は1日あたり約1.5時間、東向きは約1時間が目安といわれています。
また、長距離移動では、時差ボケとは別に、乾燥、脱水、長時間同じ姿勢、機内で眠れないことなどによる移動疲れも起こります。両者は症状が似ていますが、時差ボケの中心は体内時計のズレです。

時差ボケの治し方

時差ボケ対策で最も大切なのは、光の使い方です。光は体内時計を整える最大の合図なので、到着後はその土地の時間に合わせて光を浴びる/夜は強い光を避けることを意識します。特に夜のスマホやPC、強い室内照明は眠気を遠ざけやすいため注意が必要です。なお、光は当てる時間によっては逆効果になることもあるため、基本は現地の生活時間に合わせると考えると分かりやすいです。
時差ボケを和らげるには、事前の準備と、移動中・到着後の過ごし方が大切です。

渡航前に体内時計を調整する

出発の数日前から、少しずつ睡眠時間を目的地に近づけておく方法です。 早寝早起きが必要になる移動では、出発前から毎日30分~1時間ずつ寝る時間・起きる時間を早めます。逆に、遅寝遅起き方向に寄せたい場合は少しずつ遅らせます。すべてを完璧にやる必要はなく、起床時刻だけでも少し寄せると、到着後のズレを小さくしやすくなります。

現地時間に合わせた生活をする

到着後は、できるだけ早く現地時間で行動することが基本です。食事、睡眠、活動時間を現地に合わせると、体内時計の調整が進みやすくなります。 多くの場合、朝~日中の自然光を浴びることが役立ちます。どうしても昼間に眠い場合は、20~30分程度の短い昼寝でしのぎ、長く寝すぎないようにします。長い昼寝は、その日の夜の睡眠を妨げやすいからです。
また、現地時間に合わせて食事をとり、日中は軽く体を動かすことも助けになります。反対に、夜遅い時間の激しい運動や、夜のカフェイン摂取は、寝つきを悪くしやすいので控えめにしましょう。

短時間の昼寝(20~30分)とカフェインの適切な利用

長すぎる昼寝は逆効果ですが、短時間の仮眠は強い眠気を和らげる助けになります。 また、カフェインは朝~昼に限って使うと、日中の眠気対策として役立つことがあります。ただし、夕方以降のカフェインは夜の睡眠を妨げやすいため避けた方が無難です。「眠いから何杯も飲む」よりも、時間を決めて上手に使うことが大切です。

機内での過ごし方を工夫する

飛行機に乗ったら、時計を目的地の時間に合わせ、その時間を意識して過ごします。現地が夜ならできるだけ眠る、現地が昼なら起きて過ごす、と考えると分かりやすいです。 また、機内は乾燥しやすいため、こまめな水分補給が大切です。アルコールは眠りを浅くし、脱水も助長するため、できるだけ控えめにしましょう。 長時間座りっぱなしになるので、足首を回したり、軽く立って歩いたりすることも、疲労軽減に役立ちます。アイマスクや耳栓を使って機内睡眠の質を上げる工夫もおすすめです。

ヨーロッパから日本へ帰国した際の時差ボケの治し方

日本はヨーロッパより7~8時間進んでいることが多く、帰国後は体を早寝早起き方向に合わせる必要が出やすいルートです。そのため、時差ボケを強く感じやすい人もいます。

朝の光を積極的に浴びる

帰国後は、日本時間の朝~午前に外の光を浴びることを意識します。朝の光は、体を「朝モード」に切り替えやすくし、その日の夜に眠りやすくなる助けになります。 到着初日から完全にうまくいかなくても、朝の光を浴びる習慣を続けることが大切です。

夜は早めに就寝環境を整える

ヨーロッパ帰りでは、夕方~夜に強い眠気が出たり、逆に夜に眠れなかったりすることがあります。つらいときは、夕方前までに20分程度の短い仮眠でしのぎ、夜にまとめて眠る方向へ持っていくのが現実的です。 夜は照明を少し落とし、スマホやPCを長時間見続けないようにしましょう。入浴、軽い読書、静かな音楽など、「寝る前の流れ」を決めておくと体が切り替わりやすくなります。

出発前から生活リズムを日本時間に近づける

帰国の2~3日前から、現地での就寝時刻・起床時刻を少しずつ早めておくと、日本に戻ったあとのズレを減らしやすくなります。 また、出発前から睡眠不足にならないことも大切です。出発前に疲れ切っていると、帰国後の時差ボケや移動疲れが強く出やすくなります。

フライト中は日本時間で行動する

ヨーロッパから日本への便は、機内泊を含むことが多いため、フライト中の過ごし方が重要です。搭乗したら時計を日本時間に合わせ、日本が深夜ならできるだけ眠る、日本が昼なら起きて過ごす、を基本にします。 機内ではアルコールを控え、水分をしっかりとり、足の運動やストレッチも行いましょう。機内食も、日本時間の流れを意識しながら食べると、体内時計の調整の助けになります。

アメリカから日本へ帰国した際の時差ボケの治し方

アメリカから日本への帰国は、地域によっては13~17時間程度の大きな時差があり、到着直後は時差ボケがかなり強く出ることがあります。大切なのは、すぐ完璧に合わせようとせず、数日かけて戻すつもりで行動することです。

無理に寝ようとせず「起きる時間」を固定する

帰国後は、まず朝の起きる時間を日本時間で固定することが大切です。眠れなかった日があっても、翌朝はできるだけ同じ時刻に起き、朝の光を浴びるとリズムが整いやすくなります。「眠れないから朝も寝てしまう」を繰り返すと、ズレが長引きやすくなります。

夕方以降の光を避ける

夜の強い光は、体を「まだ昼だ」と勘違いさせやすく、眠気を遠ざけることがあります。帰国後しばらくは、夕方以降の強い照明、スマホ、PC、タブレットの見すぎに注意しましょう。 特に寝る直前は、部屋を少し暗めにして過ごす方が、眠りに入りやすくなります。

食事時間を日本時間に合わせる

食事の時間も、体内時計を整える手がかりの一つです。帰国後は、日本時間の朝・昼・夜に合わせて食べるよう意識すると、体のリズムが整いやすくなります。 お腹がすかないからといって食事を極端に飛ばすより、少量でも時間を合わせる方が調整には役立ちます。

長距離フライトでの工夫

アメリカから日本は飛行時間も長く、移動疲れが重なりやすいルートです。フライト中は、日本時間を意識して、眠る時間と起きる時間をある程度決めておくと役立ちます。 また、機内では水分をしっかりとること、アルコールを控えること、軽く足を動かすことが重要です。のどが渇く前に水を飲むつもりでいると、脱水による頭痛やだるさを減らしやすくなります。

帰国後の過ごし方と休養

帰国後数日は、予定を詰め込みすぎず、少し余裕を持った過ごし方が理想です。日中はできるだけ外の光を浴び、夜は早めに休むようにします。 アメリカからの帰国では、完全に戻るまでに1週間近くかかることもあります。焦らず、少しずつ整えていく意識が大切です。

「時差ボケ」についてよくある質問

ここまで時差ボケについて紹介しました。ここでは「時差ボケ」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

時差ボケになりやすい人の特徴について教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

時差ボケの強さには個人差がありますが、時差の大きさ、移動方向、移動中に眠れたか、もともとの睡眠不足、ストレスの強さなどが関係します。
また、睡眠の質がもともと悪い人、生活リズムが乱れている人、フライト中にアルコールやカフェインを多くとる人は、つらく感じやすいことがあります。
大切なのは、「なりやすい体質だから仕方ない」と考えるより、到着後2~3日は予定に余裕を持ち、光・睡眠・食事を整えることです。

まとめ

時差ボケは、体内時計と到着地の時間のズレによって起こる、誰にでも起こりうる生理的な現象です。
大切なのは、「気合いで乗り切る」ことではなく、光、睡眠、食事、活動のタイミングをうまく使って、少しずつ現地時間に体を合わせることです。
特に重要なのは次の4点です。
・光(特に朝~日中の自然光)を上手に使うこと
・現地時間に合わせた生活を早めに始めること
・短い昼寝とカフェインを時間を決めて使うこと
・脱水や移動疲れを減らすこと
薬に頼る前に、まずは生活調整が基本です。どうしてもつらい場合は、医師に相談しながら補助的に薬を使うことがあります。海外渡航が多い現代では、時差ボケ対策は健康管理だけでなく、仕事や旅行のパフォーマンス管理の一部でもあります。正しい知識を持って、できる範囲で無理なく対策していきましょう。

「時差ボケ」と関連する病気

「時差ボケ」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

睡眠障害・精神神経系

概日リズム睡眠・覚醒障害(非24時間型など)

不眠症

過眠症(ナルコレプシーなど)

うつ病

内分泌・代謝系

甲状腺機能低下症糖尿病

自律神経・循環系

自律神経失調症

消化器系

機能性ディスペプシア(胃もたれなど)

体内時計の乱れや睡眠の質の低下、代謝やホルモンの異常、ストレスや生活リズムの乱れなど様々な影響があり、多くの病気の症状が現れることがあります。

「時差ボケ」と関連する症状

「時差ボケ」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

眠れない(不眠)

朝早く目が覚める

昼間の強い眠気

集中力の低下

頭がぼーっとする

強い疲労感・だるさ

食欲不振

便秘・下痢

イライラ・不安感

頭痛

これらはすべて「体内時計のズレ」と「睡眠不足」が重なって起こりやすい症状です。

参考文献

Jet Lag Disorder - CDC Yellow Book.

Circadian Rhythm Sleep Disorders: Part I, Basic Principles, Shift Work and Jet Lag Disorders. Sleep.