発生確率「最高18%」の危険な活断層…「日本の大動脈」分断と「トイレットペーパー消滅」の恐怖

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平成28年熊本地震令和6年能登半島地震令和8年熊本地震と、近年「活断層」による地震の発生および甚大な被害が続発している。当連載記事でも、それらの地震のリスクや被害実態、また「猛暑の地震」の警鐘について触れて来た。

都市直下の地震では、建物倒壊という被害に加えて火災の発生によって死傷、また自宅を失うことが最も危惧される。それらから運良く逃れられたとしても、停電でエアコンが止まり、断水によって水も飲めない過酷な環境が、もうひとつの致命的な死因である「災害関連死」となって人々を襲う可能性がある。

活断層による地震は、決して能登や熊本だけの特殊な事例ではない。それどころか、都市直下や市街地近郊に活断層が密集する日本列島において、これらの被害が、明日あなたの住む街で起きてもおかしくないのだ。

【前編を読む】発生確率「1%未満」でも巨大地震は起きた…大都市福岡の真下に眠る「割れ残り」活断層の恐怖

2. 首都圏の急所、孤立と津波の二重苦「三浦半島断層群」

首都圏でとくに注視すべきSランク活断層が、神奈川県の三浦半島を横切る「三浦半島断層群」である。複数の断層からなるが、主な断層の活動ではM6.6程度もしくはそれ以上の地震が想定されている。

この断層群が恐ろしいのは、活断層のズレによる直下型の強烈な揺れだけでなく、半島特有の「地形的孤立リスク」が重なる点だ。

三浦半島は私の生まれ故郷でもあり、育った地でもある。高低差が大きく、擁壁や崖地が非常に多い地域であり、1923年の関東地震(関東大震災)でも、横須賀市内には土砂崩れなどで被害を受けた際の石碑などが残っている。

大きな揺れに見舞われる横須賀市、逗子市、鎌倉市から横浜市南部のエリアは、海に迫る斜面地が多く、平野部が狭い。道路網も限られているため、地震による激しい揺れで斜面崩壊(土砂災害)が多発すれば、丘陵地を縫うトンネルだらけの主要幹線道路、高速道路が寸断され、半島内の多くの地域や、谷沿いの地域は「陸の孤島」と化すことが危惧される。

横浜市や川崎市なども広い範囲も震度6弱以上の揺れに見舞われるところと想定されている。丘陵地に住宅街が発達した地域では、盛土造成地の崩落も懸念される。がけ地に張り付いたような家屋では、崩落することも少なからずあるだろう。他方、限られた海沿いや川沿いの低地では、地盤の液状化による家屋やインフラの被害も重なる可能性がある。

真夏にこの地域が孤立すればどうなるか。救援物資のトラックも、給水車もたどり着けない。米海軍、海上自衛隊や民間の港湾を抱える港湾都市であるので、港湾が無事であれば海運が期待できるが、近隣直下の地震によって大規模な液状化現象などがあると、港湾も機能を喪失してしまう場合もある。

倒壊を免れた家に残ったとしても、水も電気もない状態で真夏日を過ごすことになる。仮に、大地震がリゾート地として夏の観光客が多いタイミングで発災すれば、被害や帰宅困難者、孤立者はさらに拡大するだろう。

近年の調査では、断層帯が相模湾の海底に延長していることも指摘されている。震源が海域に及んだ場合には、地震の規模がより大きくなる可能性に加えて、津波が発生することも想定される。陸域近傍で大きな津波があった場合、早期に津波が押し寄せる。様々な地形的な制約もあるなか、津波による被害を抑えることも急務だ。

3.南海トラフと連動の大地震と日本分断のリスク「富士川河口断層帯」(静岡県)

富士川河口断層帯は、富士山の南西山麓から静岡県東部の駿河湾奥に流れ込む富士川の河口付近、静岡県富士宮市~富士市、静岡市清水区にかけて、ほぼ南北に延びる活断層帯だ。Sランク活断層の中でも30年間の発生確率が10~18%程度と国内でも非常に高い活断層である。

富士川河口断層帯の最も恐ろしい点は、駿河トラフの陸側延長に位置していることだ。駿河トラフとは、南海トラフ地震の震源域の東の端にあたり、過去には南海トラフ地震に伴って活動した可能性が考えられている。今後、富士川河口断層帯が駿河トラフで発生した南海トラフ地震に伴って活動した場合、海溝型地震と合わせてM8クラスという、他の活断層の地震と比べて、非常に規模の大きな地震となることが危惧されている。

富士川河口部という立地には、日本の脆弱性の1つが集約されている。それは、内陸側から新東名高速道路、東名高速道路、東海道本線、東海道新幹線、国道1号線(富士由比バイパス)といった日本の大動脈が狭い範囲に通っていることだ。当然、富士川を渡るこれらの線路や道路は、いずれも富士川河口断層帯を横断している。

したがって、富士川河口断層帯が大規模に活動した場合、日本の物流の最大の要所を東西に分断してしまうことに繋がりかねない。

最悪の事態として南海トラフ巨大地震と連動した場合、巨大な津波と内陸直下の活断層の激しい揺れの双方が襲う可能性もある。

お盆や年末年始の帰省ラッシュ時に発生すれば、大渋滞の高速道路の車列や満員の新幹線など交通機関に閉じ込められた数十万人が猛暑の中で孤立することや、さらに沿岸部には巨大津波が襲いかかるという最悪の事態も絵空事ではない。

交通の難所である由比付近では土砂崩れにより東名高速道や国道1号線、東海道線が埋没、寸断という可能性もある。

このほか、富士川河口部にはもう1つの懸念がある。製紙業が盛んな富士市内では、全国で生産されているトイレットペーパーの約4割が生産されている(富士市HP)。富士川河口断層帯の活動で富士市周辺が地震で大きく被害を受け、さらに東西の交通網に大きなダメージがあった場合には、全国的なトイレットペーパーの生産と流通の双方に大きな影響がある可能性も否定できない。

これは、再三警鐘を鳴らしている「トイレ問題」に大きく影響することも懸念される。そうでなくとも地震や災害時には、店頭からトイレットペーパーは品切れとなり、すぐに買いだめ問題が起こってしまうことが繰り返されている。災害時には残った生産ラインでの増産が行われるが、品薄になることは容易に想定される。「非常用トイレは備えていたが、肝心の紙がなかった」といった悲惨なことがないよう、日ごろからの備えを進めて欲しい。

本記事は、活断層はいずれも要注意であるうえで、特に活動した際に社会的に影響が大きいことが想定される活断層を解説したものである。これらの活断層が当面活動しない場合や、記載されていない活断層や、地表に現れていない活断層が活動する場合もある性質のものだ。

繰り返し、大地震はいつどこで起きるかわからず、「基本的には日本全国、どこでも震度6弱程度以上の地震への備え」は怠らないで欲しいと考えている。その上で、Sランク活断層の近傍では、一層の備えの優先度を高めることが必要であると認識してほしい。

地震による被害は、立地や建物によって家屋倒壊(耐震性)、火災、津波、また地盤の液状化や盛土の崩落、がけ崩れなど全く異なってくることが想定される。地震時に、ご自身の住む立地や建物がどのような被害が想定されるかを考えた地震の備えを進めて頂きたい。

<前編を読む>発生確率「1%未満」でも巨大地震は起きた…大都市福岡の真下に眠る「割れ残り」活断層の恐怖