孫正義氏に「日本に貢献」の意思はあるのか…あの手この手で“超節税” 時価総額トヨタ超えでも「大いに異なります」
孫正義氏(69)はソフトバンクグループ(SBG)の会長兼社長として1250社のグループ企業を統べる。今年は一時、トヨタを抜いて株価時価総額国内1位を達成した。だが、租税回避を行うなど利益を最優先する経営手法に、専門家は疑問を投げかけるのである。
***
【写真を見る】「富裕層」にお呼ばれしたら…FPが教える意外な“正解”ギフトのヒント
売り上げを「1兆、2兆」と数えられる企業に
孫氏は日本ソフトバンク(ソフトバンクの前身)創業時、初めて雇った社員二人にこう宣言したという。
「いつの日か売り上げを豆腐のように1兆(丁)、2兆と数えられる企業にしてみせる」
その45年前の言葉通り、孫氏が率いるSBGはAIブームを背景に巨額の利益を稼ぎ出している。2026年3月期連結決算の最終利益は前期比4.3倍の5兆22億円に急拡大した。株価も6月1日、時価総額で48兆7848億円を記録。時価総額首位の座を一時、トヨタから奪い取ったのである。

もっとも、SBGは巨額の利益をたたき出しながら長年、法人税の支払いを回避する姿勢を貫いてきた。
「日本経済新聞が22年、SBGについて、07年3月期以降の15年間で法人税が生じたのはわずか4期だったと報じて話題となりました」(経済部デスク)
では、SBGはこれまで、いかなる仕組みで法人税の負担を抑えてきたのか。
税理士の菅隆徳氏が言う。
「親会社が子会社から受け取る配当金には『益金不算入』が適用されて、法人税が課されません。これは、子会社がすでに法人税を納めた後の利益を原資とする配当にまで課税すると、同じ利益に二重に課税することになるためです」
「益金不算入」が適用
肝心なのは、SBGが純粋持株会社であることだ。
「SBGは傘下企業からの配当金が主要な収益です。配当金に『益金不算入』が適用されるため、会計上の巨額な収益の大部分が法人税の課税対象にはなりません。SBGの法人税負担が小さい理由です」(菅氏)
ここ数年はアリババ株の売却益などで、配当以外の利益も増えた結果、法人税額は増えているが、
「基本的な仕組みは変わっていません」(同)
税制改正で封じられた節税策
16年、SBGが英国の半導体設計大手・アームHD(AHD)を買収した際に行った節税策も問題視された。
早大大学院会計研究科教授の本田光宏氏が言う。
「SBGはAHDを3.3兆円で買収後、AHDの子会社株の75%、2.6兆円相当をSBG側に現物配当しました。結果、AHDの資産は配当という形でSBG側に移り、AHDの株式価値は大きく低下。SBGは価値が目減りしたAHDの株式の大部分をグループ内の投資ファンドに売却して巨額の『株式譲渡損失』を発生させた。その損失と利益を相殺し、課税所得を圧縮させたのです」
のちに、この節税手法は国を動かすことになった。
「20年の税制改正でSBGが16年に使った節税策は封じられました」(同)
SBG広報に聞くと、
「当社グループは、各国の税務関連法令を順守し、適正な納税義務を果たしており、『租税回避の姿勢』とのご指摘は当たりません。当社単体の営業収益の大半は関係会社からの受取配当金で、その大部分は非課税です。純粋持株会社である当社単体の営業収益の大半は子会社・関連会社からの受取配当金です。子会社・関連会社はそれぞれの利益に対して法人所得税を納め、その残りの利益から配当金を支払います。このため、その受取配当金の大部分は当社では課税の対象外となっています」
経済ジャーナリストの町田徹氏が言う。
「孫氏は通信事業が儲からないと、投資ビジネスに傾注するようになりました。投資先は検索エンジンのヤフー、中国ECサイトのアリババ、AIなどその時々ではやっている分野。彼には日本に貢献しようというマインドはなく、国内雇用を減らしづらいトヨタなどとは大いに異なります」
「節税男」は日本がお嫌い?
「週刊新潮」2026年9月10日号 掲載
