愛子さま、黒田清子さん同様の「筋金入りの愛犬家」 津軽家の動物愛護精神を受け継がれた“女性皇族”の貴重なエピソード
愛犬家として知られる常陸宮妃華子さまが8月末、石垣の修理のために移動させていた弘前城(青森県弘前市)の天守を元の位置に戻すイベント「ひっぱれ!けっぱれ!弘前城」の開幕セレモニーに出席された。華子さまは弘前城を居城としていた旧弘前藩主津軽家出身。初代藩主の津軽為信の妻は「お戌(いぬ)の方」と呼ばれた人物で、「犬の保護活動の草分け的存在」(市関係者)と言われる。華子さまが名誉総裁を務める日本動物福祉協会の今年のカレンダーには、華子さまの愛犬の写真が掲載されている。20日からの動物愛護週間を前に、犬をこよなく慈しむ華子さまの動物愛を示す、様々なエピソードを紹介する。
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テレビ番組で保護犬支援
「最近、保護犬に対する関心の高まりを肌で感じることがよくあります」

と語るのは、東京近県の保健所で働く男性だ。
「『お前のところの保健所で犬の殺処分をしているだろう』と市民の方から言われることがありますが、それは誤解で、野犬化した捨て犬の保護と処分を行うのは動物愛護センターなんです」
困惑顔でこう話すが、さらに続ける。
「犬の殺処分はしないと明言する首長も増えましたが、坂上さんの影響は大きいと思いますね」
「坂上さん」とは子役出身の俳優、坂上忍さんのこと。坂上さんがMC(司会)を務めるフジテレビ系の「坂上どうぶつ王国」は2018年に放送が開始され、坂上さんが私財を投じて犬や猫の保護施設を建設。さまざまな保護活動を展開するドキュメンタリーバラエティー番組だ。多頭飼育崩壊などの理由で、野犬や野良猫となった動物の新たな飼い主を見つける内容が視聴者の支持を集めている。
もともと動物とのふれ合いを扱っていた日本テレビ系の「天才!志村どうぶつ園」がコロナで司会の志村けんさんが亡くなり、後継番組を任された共演者の相葉雅紀さんが「嗚呼!!みんなの動物園」の中で保護犬のシャンプーなどのトリミングを行うコーナーも、保護犬に対する関心の高まりに影響を与えているようだ。
「この手の番組が好評なためか、テレビ東京系でも昨春から『亀梨くんのワンにゃフル!』という同種の番組をやっていますね」(前出の男性)
日本動物福祉協会の2026年カレンダーには華子さまの愛犬で、ミニチュアダックスフントの「福姫」の写真が掲載されている。実は「福姫」が華子さまに抱かれた姿は、昨年11月に宮内庁が、常陸宮さまの卒寿(90歳)の誕生日に合わせ公開した写真にも写っている(常陸宮家と犬の歴史は古く、ご夫妻が結婚された1964年当時、常陸宮さまの誕生日に宮内庁が公表した写真に、初代の愛犬「モアナ」が一緒に写っている)。
愛子さまと黒田清子さん
その後も華子さまは犬を多数、ご飼育。2001年には日本動物福祉協会が発行する機関誌『JAWS REPORT(ジョーズ・レポート)』に、旅立ってしまったミニチュアダックスフントの「ココ」について綴った「ココの思い出」という詩を寄稿し、「生きる証拠を見せてくれた」と記されているという。
このほか、黒い大型犬の「リサ」やブドウの蒸留酒(ブランデー)から名付けられたミニチュアダックスフントの「ピスコ」、ピスコの子の「ナンシー」など、数々の犬たちを飼ってきた。
「福姫」は2020年にコロナ禍の中で「福が来るように」との願いを込めて、華子さまが命名された。宮内庁関係者は「皇室の中で愛犬家というと、やはり今は愛子さまのお名前がまずは上がるとは思いますが、華子さまの愛犬家ぶりは筋金入りでいらっしゃいますよ」と笑う。
愛子さまは幼少期から「ピッピ」と「まり」という犬を飼っており、2009年2月に「まり」が“他界”すると、生後2か月の柴犬系の雑種の保護犬を動物病院から引き取って「まり」に響きを似せた「由莉(ゆり)」とご命名。2025年6月に16歳4か月で老衰のため亡くなるまで、可愛がっていたことは有名だ。
また愛子さまの叔母で、天皇陛下の妹の黒田清子さんも、盲導犬の育成支援や普及活動に長年、尽力されてきた。学習院初等科の卒業文集に「盲導犬の指導員になりたい」と将来の夢を綴り、12歳の誕生日に上皇上皇后両陛下からプレゼントされた紀州犬の「千代」のしつけを、盲導犬育成の第一人者である「アイメイト協会(旧東京盲導犬協会)」を創設した塩屋賢一氏に依頼した。
皇族時代を通じて地方のボランティアイベントなどで自らアイマスクを着用して盲導犬の歩行体験を行うなど、盲導犬の重要性を広く社会に伝える啓発活動に積極的に参加していた。結婚により皇籍を離脱した後も盲導犬育成団体が主催するチャリティーコンサートなどに毎年、出席を続けている。
「ですが、華子さまの犬に対する動物愛は、ご先祖代々から受け継がれた折り紙付きのものなのです」(前出の宮内庁関係者)
華子さまは、旧弘前藩主津軽家の14代当主だった義孝氏の4女。義孝氏自身は養子だが、実母は津軽家12代当主の娘であり、華子さまは初代藩主為信の妻(正室)で、犬の保護活動家の「走り」とも「草分け」とも称された津軽阿保良(おうら)のDNAを受け継ぐ。
犬が題材の児童書を翻訳
阿保良は戦国時代だった当時、領内の行き場を失った犬や野良犬を自ら引き取り、熱心に世話をした数々の逸話が残り「お戌の方」とも呼ばれていた。青森県など、東北で犬のトリミングサロンを数店舗経営する女性はこう絶賛する。
「『お戌の方』は今の時代で言うところの“殺処分ゼロ”や“動物保護シェルター”を、江戸時代の『生類憐れみの令』より100年近くも前に、個人として実践していた人物です。現代の災害救助犬や警察の警備犬の先駆けとなるような、犬と人間とのパートナー関係を築いた先駆者そのものなのです」
その江戸時代には、津軽藩が田畑を荒らすクマやイノシシなどの害獣から農作物を守り、藩の経済(石高)を維持するための最重要防衛手段として、日本犬保存会創設者の斎藤弘吉が後に「津軽犬」と分類した幻の絶滅犬種を猟犬とするマタギ(猟師)集団を重用した。
津軽家が猟犬の保護に熱心だったことも華子さまが名誉総裁を引き受けた背景にはある。華子さまは児童書の日本語訳も数多く手掛け、2005年出版の『しょうぼう犬ドット』はよく知られる。また2000年の『ハニーが盲導犬になるまで』や1996年の『せかいでいちばんおりこうないぬ』も有名だ。
また、華子さまは2023年11月、都内で開かれた日本動物福祉協会が主催する「第64回動物愛護の作文コンテスト」の表彰式にご出席。「行き場のない犬たち」などの作品が賞を獲得し、受賞した小中学生に賞状が渡されると、拍手を送って祝福された。その後、受賞した児童生徒は作文を次々に朗読し、華子さまは1人ひとりに「おめでとうございました」と声をかけながら、お祝いの品を手渡された。
「阪神・淡路大震災の際、華子さまは神戸市に設置された動物救護センターを訪問され、保護されていた被災犬の子犬に直接手を触れ、この縁がきっかけとなって、子犬は殺処分されることなく新しい飼い主に引き取られた、という心温まるエピソードがあります」(同)
この子犬は「ダビドフ」と名付けられ、震災時の動物救援を象徴する存在となっている。熊本地震の被災地でもペットとの共生が課題として浮上した。20日からの愛護週間を前に華子さまのお取り組みを参考にして、愛犬・愛猫との暮らしを見つめなおすきっかけにしてはいかがだろうか。
朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。紙媒体やWEBでロイヤルファミリーの記事などを執筆する。
デイリー新潮編集部
