県職員は直立不動、敵対勢力には人事で報復....揺れる福岡県議会「地方議会の異常な旧態依然」

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県職員が直立不動で挨拶

議長ポストを巡る金銭授受疑惑や高額な海外視察、そして県議会議員の内部告発--。

福岡県議会を取り巻く一連の騒動を受け、“県議会のドン”と呼ばれた藏内勇夫前議長(72)と疑惑を指摘された県議4人が辞職。今月9日、議長選挙が行われ、自民党会派の大島道人氏(74)が後任に決まったが、いまだ地元民からは県政に懐疑的な目線が向けられている。地元紙記者が言う。

「県職員のみならず、地元マスコミも藏内氏を筆頭とした県議会の重鎮にはかなり気を使っていました。県職員なんて『藏内先生!』と直立不動で挨拶していましたからね。マスコミも藏内さんには直接質問せず、周辺から情報を集めていました。唯一、西日本新聞だけが一連の疑惑について内偵取材をしていたようですが、藏内氏は『実際に“攻撃”はしてこないだろう』とタカをくくっていた節がある。

実際、問題が明るみに出た後も、弁護士や危機管理のプロフェッショナルに依頼をした形跡がないですからね。藏内氏に限らず、県議、職員、マスコミによる馴れ合いの関係が県政には染み込んでいた。県や重鎮県議たちの地元の市町村に抗議の連絡が殺到していますよ」

問題の根源が県政の“馴れ合い”にあることは、すでに何度も報じられてきた。議会にも藏内氏への過度な配慮があったという証言が聞こえてくる。しかし、「最も罪深いのはドン本人というより、その周辺だ」という声も根強い。福岡県政の関係者が言う。

敵対勢力には人事で冷や飯を

「藏内先生ご本人は実際に会うと気さくな方。近しい人間で悪く言う人は少ない。自分に懐かない議員やカネを払わない人間を的にかけるような体質を作っていったのは藏内先生ですが、直接手を下すのは先生ではなく、彼の周りの議員たちでした」

ドンの影響力は国政にも及んでいた。県政関係者が続ける。

「麻生太郎先生(85)や武田良太衆議院議員(58)ら閣僚クラスとはさすがに距離がありましたが、大家敏志参議院議員(59)とは近かった。栗原渉(60)、井上貴博(64)、鬼木誠(53)衆議院議員らは元福岡県議で、福岡は県議会出身者が国政を占める割合が非常に多い。以前は国会議員が自民党福岡県連の会長を務めたこともありましたが、近年は県議会議員が会長に納まっています。麻生さんも藏内さんには配慮していたのでしょう」

国会議員ですらドンに苦言を呈すことができなくなる“事件”も起きていた。

「’16年、福岡6区の補選の際、藏内先生の長男・謙氏が、地盤の7区から6区に鞍替えしたところ、6区の人々が大反発。鳩山二郎衆議院議員(47)との保守分裂選挙となりました。補選では鳩山氏が勝利しましたが、藏内先生の怒りを買って県連から外されています。人事面での報復を恐れ、国会議員もおいそれとは藏内先生に異を唱えることができなくなったのです」(同前)

だが、吉松源昭県議(58)らが「議長に就任する前に自民会派の複数の幹部から総額約2000万円を要求されて支払った」と証言したことで報道が過熱。藏内一派は追い詰められていった。

「吉松氏とその後ろ盾とされる当選11回の重鎮・中村明彦氏(71)は、かつて自民党の会派を追い出された過去がある。’25年4月、藏内氏は目の上のたんこぶのような存在だった中村氏に対し、自民党会派を一度解散して即日に再結成したうえで、会派から外すという荒技に出たのです。この無茶苦茶な対応に中村氏の怒りが爆発。後の内部告発につながった」(前出・地元紙記者)

福岡県連でまかり通ってきた常識は、地方議会の旧態依然とした体質を示すほんの一例である。県政の混乱はいまだ沈静化の兆しが見えない。