関連画像

写真拡大

ネット上で「ヤマトリノ」の名前で活動するインフルエンサーの女性が、麻薬取締法違反(所持)の疑いで、交際相手の会社役員の男性とともに現行犯逮捕されたと報じられました。

報道によると、逮捕は9月15日。自宅マンションの一室でコカイン約0.4グラムを所持した疑いが持たれています。調べに対し、女性は「(交際相手と)一緒に使っていた」と供述している一方、男性は否認しているといいます。

逮捕前、女性は飼い犬とされる「ハナコ」をSNSでも度々、アップしてきました。

そのため「犬には飼主を選べません。わんちゃんが無事でありますように。ただただ...それだけ願います」「愛犬のハナコがどうしてるのかが愛犬家として1番不安なんだが。大丈夫なんかな???」などと、逮捕後の世話を心配する投稿が相次いでいます。

逮捕により飼い主が身柄を拘束された場合、残されたペットはどのように扱われるのでしょうか。

●ペットは「物」であり「命あるもの」でもある

法律上は、ペットは「物」という扱いになってしまいます(民法85条)。

一方で、動物の愛護及び管理に関する法律2条1項は、動物が「命あるもの」であることを踏まえ、みだりに殺し、傷つけ、苦しめることのないよう適正に取り扱うことを求めています。

同法7条1項も、所有者・占有者に対して動物の健康や安全を保持するよう努める責任を課しています。つまりペットは、単なる「物」として放置してよい存在ではありません。

●警察はペットを預からない

逮捕時に自宅のペットが給餌・給水を受けられないまま放置されれば、そのままペットが死亡するおそれもありますし、動物虐待や遺棄につながりかねません。

しかし、警察署の留置施設はあくまで被疑者本人の身柄を拘束するための施設であり、ペットを預かってはくれません。

逮捕手続きの際に、警察官が被疑者本人にペットの有無や世話の依頼先を確認してくれることもあるでしょうが、常にそのような対応が取られているわけでもありません。

●一人暮らしの場合はどうするか

同居する家族や親族がいる場合は、そのまま家族が飼育・保管を続けることになります。

しかし、一人暮らしの被疑者の場合、身柄を拘束されている本人が直接自宅に戻って世話をすることはできません。

そこで、被疑者が「ペットの世話をしてほしい」と弁護人に依頼することもありますが、弁護人によって、またケースによって対応は異なります。

法的には、弁護人には依頼者のペットの世話に応じる義務はありません。

冷たい話に思われるかもしれませんが、弁護人が被疑者・被告人の自宅に立ち入ると、証拠を隠滅したと疑われたり、後で物がなくなったなどと疑われ、トラブルになる可能性もあります。

そこで、家族や知人に頼めるのであれば、そのほうがよい、とされています(東京弁護士会法友全期会刑事弁護研究会編集『新・刑事弁護マニュアル』(ぎょうせい、2022))。

私自身も刑事弁護人として被疑者のペットの対応をしたことがあります。基本的には親族などに対応してもらうようにしていますが、一人暮らしの被疑者の自宅から犬を救出してペットホテルに連れて行き、ホテルと契約して預けたこともあります。

●今回のケースに当てはめると

今回の事案について、報道からは本人が実際に飼育しているのかや、同居家族がいるのかは必ずしもはっきりしません。仮に同居する家族や親族がいれば、その家族がそのまま世話を続けることができ、法的に大きな問題は生じにくいといえます。

逆に、報道されている通り一人暮らしであり、かつ実際にペットを飼育しているのであれば、本人が接見などを通じて親族や知人、ペットシッター等への引き渡しを手配する必要が生じるおそれがあります。

いずれにしても、ペットは所有権の対象でありつつ「命あるもの」として保護されるべき存在でもあります。飼い主の身柄拘束が長期化する場合ほど、早期に周囲への引き渡し手配を進めることが求められます。

小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)