海賊版IPTVサービスがテロ組織による映像コンテンツを身近なものにしているという指摘

テレビ番組や映画、有料スポーツ中継などの映像コンテンツを違法に配信する「海賊版IPTVサービス」が、著作権や放映権を侵害しているだけではなく、禁止されているテロ組織関連のテレビ局を発信する場になっていると非営利団体のレポートが報告しました。同団体は、安全のためにサイト遮断を政府に要求しています。
Are Banned Terrorist Broadcasters Reaching U.S. Homes?

Report Links Pirate IPTV to Hezbollah TV, Calls for U.S. Site-Blocking * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/report-links-pirate-iptv-to-hezbollah-tv-calls-for-u-s-site-blocking/
著作権侵害とテロリズムとの関連性は2003年にアメリカ下院で「組織犯罪およびテロリズムとの関連性」という公聴会が開催された頃から指摘されるようになっています。同時期には国際刑事警察機構(インターポール)のロナルド・ノーブル長官は議会に対し、「知的財産犯罪が多くのテロ組織にとって好ましい資金調達手段となっている」と述べました。
著作権侵害とテロリズムとの関連性で最もよく引用されるのは2009年に映画業界の資金提供を受けたランド研究所が発表した映画の海賊版・組織犯罪・テロリズムを結びつけた報告書です。その後、近年ではインターネットの安全問題に焦点を当てたアメリカの非営利団体であるDigital Citizens Allianceがクリエイティブ産業の支援を受けて、著作権侵害とテロリズムとの関連性の調査に尽力しており、2017年には海賊版行為をイスラム過激派組織・ISISの勧誘ビデオやマルウェア、フェイクニュースと結びつけた報告書を発表したほか、2026年5月には海賊版IPTVを麻薬・武器・マフィアと関連付けて論じています。
そんなDigital Citizens Allianceが2026年9月に発表したインターネットセキュリティ企業のrisk3sixtyとの共同調査によると、親イランの政治・武装組織であるヒズボラ、パレスチナのスンナ派イスラム主義のパレスチナ民族主義政党であるハマースといった政治関連のチャンネルが、海賊版IPTVサービスを通じて視聴可能になっているとのこと。
報告書によると、調査対象となった海賊版プラットフォームの約68%が指定テロ組織または敵対的な外国と関係のある放送局のコンテンツを配信しており、アメリカの通常のインターネット接続から月額約15ドル(約2300円)でアクセスできるようになっていたことが判明しました。

ヒズボラ系列の衛星テレビ局であるアル・マナールは、2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降20年間にわたり、テロ組織の放送局がアメリカやヨーロッパの視聴者に情報を届けることを阻止するため禁止されていました。2004年にはアメリカ政府によりアル・マナールの衛星放送が遮断され、配信業者を訴追した上でドメインが押収されています。しかし、海賊版プラットフォームがひっそりとアクセスを回復させており、今回の調査では、禁止コンテンツを配信していたすべての海賊版プラットフォームで、アル・マナールを配信していることが発見されました。
配信禁止となった放送局は、海賊版IPTVサービスの中で、特に隠された階層に配置されているわけではなく、番組表の単なる項目として紛れ込んでいます。しかし、そもそもプラットフォームが階層化された再販業者とクレジットシステムを通じてアクセス権を販売していることで、コンテンツを配信する主体と、そのコンテンツの内容に気づく可能性のある人との間に距離が生じていると報告書では指摘されています。

risk3sixtyで脅威インテリジェンスを担当するスティーブン・グリス氏は「我々の調査によると、海賊版IPTVサービスは、テロ組織が支配する放送局のコンテンツを日常的な娯楽コンテンツに紛れ込ませることで、従来の安全対策の対象外となる配信経路を作り出していることが判明しました。過激派コンテンツがスポーツ・映画・ニュースと同じインターフェースに組み込まれると、過激化工作を特定し阻止しようとする人々にとって、その存在ははるかに見えにくくなります」と語りました。
報告書の内容を踏まえた上で、Digital Citizens Allianceは海賊行為を国家安全保障上の脅威として捉え直し、アメリカにおけるサイト遮断法制化を潜在的な解決策として提案しています。
