井筒和幸監督、中村ゆりさんを追悼 映画「パッチギ!」で才能見いだす「人並み外れた女優魂。もう一度、一緒に仕事をしたかった…」
1日に直腸がんで死去した女優・中村ゆりさん(享年44)の悲報から一夜明けた15日、芸能界にも悲しみが広がった。映画監督の井筒和幸氏(73)はスポーツ報知の電話取材に応じ、中村さんを追悼した。メガホンを取った映画「パッチギ!LOVE&PEACE」(2007年)で才能を見いだした“育ての親”とも言える存在。人知れず病と闘った中村さんに「人並み外れた女優魂」と敬意を表した。
言葉を失った。14日夜、突然の悲報に触れた井筒監督は「ビックリしました。病気のことも聞いてなかったのでまさかと思いました」と驚きを隠しきれない。
昨年2月、中村さんから所属事務所「アルファエージェンシー」の万代博実社長(享年74)が亡くなったという連絡を受けた。「育ててくれた人だから、恩返しをしないといけないよ」と返事をしたのが、最後のやりとりになった。
出会いは在日韓国・朝鮮人の家族が日本でたくましく生き抜く姿を描いた映画「パッチギ-」のヒロインオーディション。中村さんが目をキラキラさせ、「絶対に私がこの役をやります!」と気合十分に語る姿が忘れられない。「背負っているものが他の人と違う」と感心して合格を告げた。
撮影中も、その情熱に何度も圧倒された。「俺が『OK』と言っても、納得できないと『ダメです。もう1回やらせてください!』と食らい付いてくる。こっちも油断できない。毎日が真剣勝負だった」。芸能界での成功を夢見て奮闘する役どころとも重なった。「肝が据わっていてナイーブな芝居をする。自分らしさも出せて、可憐(かれん)で気丈な役柄が似合う」と演技力をたたえた。
「パッチギ-」公開後も「同じ釜の飯を食ったパッチギファミリー」として交流は続いた。最後の仕事は映画「黄金を抱いて翔べ」(2012年)。井筒監督が20年に映画「無頼」を公開した際には、観賞した感想と「私も出たかった」というメッセージをもらった。
訃報と共に病気を公表せず仕事を続けていたことも知り「人並み外れた女優魂。あの子らしい。強い子です。もう一度、一緒に仕事をしたかった…」と別れを惜しんだ。(有野 博幸)
