大阪・神戸・京都いずれも下落 近畿圏中古マンション㎡単価7か月ぶり下げ、売り出しと成約の差569万円【2026年8月/近畿レインズ】

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この記事でわかること
・6か月続いた中古マンションの単価上昇が止まった
・在庫が6か月ぶりに増加へ転じた
・エリア別は12地域中10地域で成約件数が減少
・戸建ては成約2か月連続増、在庫は50か月連続増
・土地は成約4か月連続減、在庫44か月連続増
・売り手と買い手の差はどこまで開くか

中古マンション:6か月続いた単価上昇が止まった

近畿レインズ(公益社団法人近畿圏不動産流通機構)が9月11日に公表した「マンスリーレポート2026年8月度」によると、近畿圏の中古マンション成約㎡単価は45.33万円/㎡で前年同月比マイナス4.8%と7か月ぶりに下落した。前月比も5.5%下げている。

7月まで6か月連続で前年を上回っていた流れが、ここで途切れた。

成約価格も3087万円(同マイナス3.6%)と、2025年5月以来15か月ぶりに下落。前月比は4.0%下げ、7月の3214万円から127万円下がっている。1年以上続いた価格の上昇が止まった形だ。

成約件数は1374件で前年同月比マイナス7.2%と7か月連続の減少。減少率は7月のマイナス4.5%から広がった。新規登録件数は5646件(同プラス3.0%)と2か月連続で増加している。

在庫が6か月ぶりに増加に転じた

数字の向きが変わったのは単価だけではない。

在庫件数は2万1596件で前年同月比プラス0.5%と、ほぼ横ばいながら6か月ぶりに増加した。3月から7月まで5か月続いた減少が止まったことになる。

先月は、売れ残りが積み上がる首都圏に対して近畿圏では市場に出ている物件そのものが減っていた。8月はその違いが薄れ、近畿圏も首都圏と同じ向きに揃いはじめている。

一方、売り出し側の数字は8月も上がり続けた。
新規登録㎡単価は57.98万円/㎡(同プラス13.9%)と2024年6月から27か月連続、在庫㎡単価は57.34万円/㎡(同プラス18.3%)と2024年9月から24か月連続で上昇している。在庫価格も3656万円(同プラス18.5%)と26か月連続の上昇だ。

区分 件数 前年同月比 ㎡単価 前年同月比 価格 前年同月比 成約 1,374件 -7.2% 45.33万円/㎡ -4.8% 3,087万円 -3.6% 新規登録 5,646件 +3.0% 57.98万円/㎡ +13.9% 3,734万円 +14.4% 在庫 21,596件 +0.5% 57.34万円/㎡ +18.3% 3,656万円 +18.5%
近畿圏 中古マンション(2026年8月)

※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年8月度」より作成

成約㎡単価45.33万円/㎡に対し、在庫㎡単価は57.34万円/㎡。その差は12.01万円/㎡ある。価格でみると在庫3656万円と成約3087万円の差は569万円で、7月の378万円から1か月で191万円広がった。

在庫2万1596件を成約1374件で割ると15.7か月分になる。売り出し中の物件を売り切るのに1年4か月かかる計算だ。

エリア別:12地域中10地域で成約件数が減少

エリア別の成約件数は、対象12地域のうち10地域が前年を下回り、減少エリアは前月から2地域増えた。

近畿圏で最も取引の多い大阪市は382件(同マイナス8.6%)で7か月連続の減少。京都市も105件(同マイナス2.8%)と7か月連続、大阪府北部は172件(同マイナス8.5%)と5か月連続で減っている。神戸市177件(同マイナス13.2%)、阪神間147件(同マイナス10.9%)、奈良県41件(同マイナス18.0%)は2ケタ減となった。増えたのは大阪府南部の115件(同プラス18.6%)だけで、和歌山県の14件は前年と同数である。

成約㎡単価は12地域中7地域が下落し、下落エリアは前月から4地域増えた。

大阪市は70.84万円/㎡(同マイナス7.1%)と2か月連続で下落。大阪府北部42.73万円/㎡(同マイナス7.0%)と神戸市38.50万円/㎡(同マイナス2.6%)は9か月ぶり、京都市53.19万円/㎡(同マイナス1.9%)は7か月ぶりの下落に転じた。滋賀県は32.67万円/㎡(同マイナス18.5%)と2ケタ下落している。

上昇したほうでは、京都府他が38.28万円/㎡(同プラス34.1%)と3割を超え、奈良県23.07万円/㎡(同プラス8.2%)、大阪府東部31.64万円/㎡(同プラス7.1%)が続く。大阪府東部は9か月連続、阪神間は5か月連続の上昇である。

エリア 成約件数 前年同月比 ㎡単価 前年同月比 価格 大阪市 382件 -8.6% 70.84万円/㎡ -7.1% 4,263万円 大阪府北部 172件 -8.5% 42.73万円/㎡ -7.0% 3,099万円 大阪府東部 84件 -9.7% 31.64万円/㎡ +7.1% 2,283万円 大阪府南部 115件 +18.6% 26.42万円/㎡ -4.2% 1,948万円 神戸市 177件 -13.2% 38.50万円/㎡ -2.6% 2,660万円 京都市 105件 -2.8% 53.19万円/㎡ -1.9% 3,264万円
中古マンション 主なエリアの成約動向(2026年8月)

※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年8月度」より作成

7月に34.1%上昇した京都市の㎡単価は、8月は1.9%の下落となった。月ごとの振れ幅が大きいのは成約件数が100件前後と少ないためで、1か月の数字だけで方向を決めつけないほうがよい。

中古戸建住宅:成約は2か月連続増、在庫は50か月連続で増加

中古戸建住宅の成約件数は1089件で前年同月比プラス9.0%と2か月連続の増加。マンションとは逆に取引が増えている。新規登録件数は4408件(同プラス9.7%)と6か月連続で増加、在庫件数は2万468件(同プラス6.0%)で2022年7月から50か月連続の増加となった。4年2か月にわたって在庫が積み上がり続けている。

成約価格は2395万円(同プラス3.1%)と2か月ぶりに上昇し、前月比も1.6%上げた。

売り出し側では新規登録価格が2757万円(同マイナス1.7%)と、2025年1月以来19か月ぶりに下落している。在庫価格は2728万円(同プラス3.2%)と2025年4月から17か月連続の上昇を保つが、前月比はマイナス0.4%だった。マンションの売り出し価格がなお2ケタ上昇を続けるのとは対照的である。

土地面積は136.76㎡(同プラス4.2%)、建物面積は108.56㎡(同プラス3.1%)とそろって2か月ぶりに拡大した。

区分 件数 前年同月比 価格 前年同月比 成約 1,089件 +9.0% 2,395万円 +3.1% 新規登録 4,408件 +9.7% 2,757万円 -1.7% 在庫 20,468件 +6.0% 2,728万円 +3.2%
近畿圏 中古戸建住宅(2026年8月)

※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年8月度」より作成

エリア別の成約件数は12地域中8地域が増加し、増加エリアは前月から2地域増えた。兵庫県他92件(同プラス31.4%)、滋賀県88件(同プラス27.5%)、奈良県95件(同プラス25.0%)、京都市91件(同プラス23.0%)、阪神間112件(同プラス21.7%)、大阪府南部167件(同プラス16.8%)が2ケタ増となり、兵庫県他は5か月連続で増えている。一方、和歌山県34件(同マイナス27.7%)と大阪府東部106件(同マイナス10.9%)は2ケタ減となった。

成約価格は12地域中7地域が上昇した。大阪市4213万円(同プラス14.8%)、京都府他1997万円(同プラス15.4%)、奈良県1737万円(同プラス16.0%)が2ケタ上昇し、大阪府南部と阪神間、奈良県は5か月連続の上昇である。逆に兵庫県他は1407万円(同マイナス15.7%)と2ケタ下落し、大阪府北部3781万円(同マイナス0.4%)は3か月連続で下落した。

エリア 成約件数 前年同月比 価格 前年同月比 大阪市 84件 +1.2% 4,213万円 +14.8% 大阪府北部 81件 +5.2% 3,781万円 -0.4% 大阪府南部 167件 +16.8% 1,754万円 +4.2% 阪神間 112件 +21.7% 3,165万円 +6.5% 兵庫県他 92件 +31.4% 1,407万円 -15.7% 奈良県 95件 +25.0% 1,737万円 +16.0%
中古戸建住宅 主なエリアの成約動向(2026年8月)

※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年8月度」より作成

土地:成約件数は4か月連続減、在庫は44か月連続で増加

土地の成約件数は624件で前年同月比マイナス9.2%と4か月連続の減少。新規登録件数は3261件(同プラス8.3%)と3か月連続で増加し、在庫件数は1万8166件(同プラス7.0%)で2023年1月から44か月連続の増加となっている。

成約㎡単価は15.40万円/㎡(同マイナス3.5%)と2か月ぶりに下落し、前月比も5.4%下げた。成約価格は2454万円(同マイナス4.6%)で2か月ぶりの下落、前月比は5.7%下落している。在庫㎡単価は13.57万円/㎡(同プラス6.1%)と2025年2月から19か月連続で上昇した。

区分 件数 前年同月比 ㎡単価 前年同月比 成約 624件 -9.2% 15.40万円/㎡ -3.5% 新規登録 3,261件 +8.3% 17.49万円/㎡ +7.3% 在庫 18,166件 +7.0% 13.57万円/㎡ +6.1%
近畿圏 土地(2026年8月)

※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年8月度」より作成

エリア別の成約件数は12地域中8地域が減少し、大阪府北部55件(同マイナス26.7%)、阪神間51件(同マイナス28.2%)、京都市43件(同マイナス21.8%)、大阪府南部79件(同マイナス14.1%)、奈良県53件(同マイナス10.2%)が2ケタ減となった。大阪府南部は6か月連続、京都市は4か月連続で減少している。

売り手と買い手の差が、どこまで開くか

8月の近畿圏で最も重いのは、6か月続いた成約㎡単価の上昇が止まったことだろう。

7月までの近畿圏は、取引こそ細っていたものの単価は上がり続けていた。売り出し中の在庫も減っており、売り手が値を下げずに待てる状況にあった。その2つが8月に同時に変わった。単価は7か月ぶりに下落し、在庫は6か月ぶりに増えている。

とはいえ、売り出し価格のほうは何も変わっていない。在庫㎡単価は24か月連続で上昇し、在庫価格も26か月連続の上昇だ。動いたのは買い手が実際に払った金額のほうだけである。その結果、売り出しと成約の差は569万円へ広がった。7月の378万円から1か月で191万円開いたことになる。

首都圏では同じ差が1810万円まで開き、在庫は6か月連続で増えた。近畿圏の569万円はまだその3分の1にも満たないが、向きは同じだ。首都圏で先に起きたことが、近畿圏でも同じ順番で始まったと見ることもできる。

戸建てと土地に目を移すと、在庫はそれぞれ50か月、44か月と4年前後にわたって増え続けている。ただ戸建ては成約件数が2か月連続で増え、価格も2か月ぶりに上昇した。売り出し価格が2ケタ上昇を続けるマンションに手が届かなくなった層が、戸建てへ回っているとも読める。

売却を考えているなら、近隣の売り出し価格ではなく成約価格を見ておきたいところだ。8月の近畿圏では、その差は569万円ある。在庫が6か月ぶりに増えたということは、この差を埋められなかった物件が積み上がりはじめたということでもある。

買う側から見れば、待っていた局面が動いたといえる。成約単価が7か月ぶりに下がり、価格も15か月ぶりに前年を下回った。1か月の数字で流れが決まったと見るのは早いが、値引き交渉を持ちかける材料にはなるだろう。9月以降、この下落が続くのか、7月までの上昇に戻るのか――近畿圏の中古マンションは、その分かれ目に立っている。

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