アメリカのVast(バスト)社は2026年9月9日付で、同社によるISS(国際宇宙ステーション)へのPAM(Private Astronaut Mission=民間宇宙飛行士ミッション)にギリシャのAdrianos Golemis氏が参加する契約を、フランス・パリで開催された国際宇宙サミットにおいてESA(ヨーロッパ宇宙機関)との間で締結したと発表しました。同ミッションが実施されれば、ギリシャにとって初の有人宇宙飛行となります。


【▲ ISS(国際宇宙ステーション)を離れるCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船(Credit: NASA)】

ESAのフライトサージャンとして活躍

VastはISSにおける6回目のPAMを実施する企業として、2026年2月にNASA(アメリカ航空宇宙局)に選定されました。これまでにクルーとしてフランスのThomas Pesquet氏がコマンダーを、チェコのAleš Svoboda氏がパイロットを務めることが発表されています。


NASAがISSへの新たな民間ミッションでAxiom SpaceとVastを相次ぎ選定(2026年2月17日)

Golemis氏はESAで宇宙飛行士の健康管理を担ってきたフライトサージャン(航空宇宙医学の専門医)で、本ミッションではミッションスペシャリストを務める予定です。今後、ISSに参加する5つの宇宙機関(※)の代表によるMCOP(多数者間搭乗員運用パネル)の承認を経て正式に決定する見通しで、ISSでミッションにあたる初のギリシャ人宇宙飛行士となります。


※…NASA、ESA、Roscosmos(ロスコスモス)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、CSA(カナダ宇宙庁)の5つ。


これまでのPAMと同様に、本ミッションではアメリカのSpaceX(スペースX)社が運用する有人宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」が使用されます。本ミッションのクルーは4名の予定で、Vastによれば4人目は後日発表されるということです。



【▲ 国際宇宙サミットにおけるAdrianos Golemis氏のPAMミッション参加発表時の様子(Credit: Vast)】


ポストISS時代が垣間見えるクルーの出身国

なお、ISSにおける4回目のPAMとしてアメリカのAxiom Space(アクシオム・スペース)社が2025年6月から7月にかけて実施した「Ax-4」ミッションでは、インド、ポーランド、ハンガリーから1名ずつ宇宙飛行士が参加しました。これら3か国にとっては、旧ソ連時代に初の有人宇宙飛行が行われて以来、40年以上ぶりの有人宇宙飛行となりました。


民間有人宇宙飛行ミッション「Ax-4」クルー4名が地球に無事帰還(2025年7月15日)

ISSにおける6回目のPAMとしてVastが実施する本ミッションは、ギリシャだけでなくチェコにとっても初の有人宇宙飛行となります。複数のESA加盟国の宇宙飛行士が参加するこのミッションは、ISS運用終了後の商業宇宙ステーション時代に向けて、幅広い国々が有人宇宙活動に参加する先例のひとつとなりそうです。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


関連記事NASAが第7回ISS民間ミッションにVoyager Technologiesを選定 打ち上げは2028年以降米Vastが商業宇宙ステーション「Haven-1」の統合作業開始 打ち上げは2027年第1四半期の予定JAMSSと米Vastが戦略的MOU締結 民間宇宙ステーション「Haven-1」の利用拡大へ参考文献・出典VAST - European Space Agency Signs Agreement with Vast for Historic First Greek Astronaut Mission as Part of the Sixth Private Astronaut Mission to the International Space Station in Partnership with NASA