守備でも粘り強さを見せた。相手にしつこく食らいついてボールを奪い、前へ持ち出そうとしたところで足を出されても失わず、そのまま味方へつないだ場面もあった。記録した4回のデュエルはすべて勝利。中盤での奪い合いにも力強さがあった。後方から左右へボールを散らしながら、試合の組み立てにも関わった。73分間の出場で「配球」や「ボール奪取」から「得点への関与」まで広く担った。

 63%を獲得したファン投票では、2位タリク・ムハレモビッチの9%を大きく引き離した。今季のリーグ初先発で、田中に支持が大きく集まった格好だ。
 
 ファルケ監督が使った「勇気」という言葉も興味深い。

 昨年12月のリバプール戦で、田中は積極的に前へ出たことで中盤にスペースを空けてしまった。試合後、ファルケ監督は「田中が前に出て、ギャップを開けてしまった」と指摘した。失点につながった守備の判断を厳しく問う言葉だった。

 積極的に前に出て、試合の主導権を掴もうとする。こうした動きは以前から田中の持ち味でもある。ただ、プレミア1年目には、いつ出るのか、どこまで出るのか、その判断を問われる場面があった。今季の序盤は、こうした積極性を失わずにチームの中で活かしている。

 昨季も、先発を外れた時期から巻き返した経験がある。

 年末あたりからレギュラーの座を離れたものの、カップ戦でアピールを重ね、シーズン終盤に先発へ戻った。

 今季も開幕戦で出番がなかったところから、リーグ杯で印象を残し、ブレントフォード戦では途中出場からチームが押し返す流れに加わった。ブライトン戦の1アシストやMOM以上に、その前の2試合で監督の評価を積み重ねたことが大きい。与えられた時間の中で、次も使いたいと思わせるプレーを残した。今、田中は開幕時とは立っている場所が違う。
 
 リーズの次戦は、9月14日にホームで行なわれるニューカッスル戦である。

 相手は、今季からドイツ人のマティアス・ヤイスレ監督が率いており、インテンシティの高いサッカーを志向している。田中にとってもリーグ戦で先発を維持できるかどうかは、大きなポイントになる。

 先発に名を連ねた際には、強い圧力のなかで中盤に落ち着きをもたらせるかにも注目したい。スタメンで起用されて、最高のプレーを見せられるか。ブライトン戦で得た手応えを、継続的な出場へつなげたい。

 田中の定位置争いは、ここからが本番だ。

文●田嶋コウスケ

「彼は卓越していた」“冷遇”から“勝者”へ…日本代表MFの評価が急上昇!「ファーストチョイスにしなければならない」