韓鶴子総裁に懲役2年の有罪判決が下るなか、旧統一教会が恐れる「内容証明」現物を入手

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収監中の元ナンバー2が教団に反旗を翻した

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のトップに有罪判決が下った。8月31日、韓国・ソウル中央地裁は政治資金法違反などの罪で教団の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁(83)に懲役2年を言い渡した(9月4日に控訴)。教団への支援を得る目的で、尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領(65)に近い国会議員に1億ウォン(約1150万円)を渡し、尹前大統領の妻の金建希(キムゴンヒ)氏(53)にシャネルのバッグなどを贈った事件だ。

だが今、教団を揺るがしているのは裁判の結果だけではない。本誌は、教団の元ナンバー2で現在収監中の元世界本部長・尹鍈鎬(ユンヨンホ)氏が8月13日に教団へ送った文書を入手した。15ページに及ぶ書類は「内容証明」と銘打たれている(1枚目写真)。尹鍈鎬氏は自身と妻の復権を要求し、応じなければ「内部不正」を告発し、メディアにも公表すると通告したのだ。

韓総裁らには’08~’11年に米ラスベガスのカジノで約600億ウォン(約69億円)規模の賭博を行った疑惑があった。前述した1億ウォンを受け取った議員から尹鍈鎬氏に捜査情報が伝わり、その後、教団内で会計データが削除・改変された--と特検(例えば汚職など特定事件を捜査する特別検察官)は見ていた。

ところが、内容証明にはこの疑惑の「資金の出どころ」に踏み込んだ記述があるのだ。文書には″約600億ウォンの賭け金には日本教団の資金が使われ、日本の指導部と信者1250名を組織的に動員して米国へ外貨を持ち出した″と記載されている。さらに米国での税務申告のために、約442億ウォン(約51億円)の教団資金を使ったと書かれている。

ほかにも、カジノで使った金額が教団幹部ごとに列挙されており、韓総裁の米国での税務申告資料にも幹部たちの名前や金額が掲載されていること、韓総裁らのカジノ利用内訳を警察へ提供した人物が存在することなど、細かい情報も書かれていた。

「尹鍈鎬氏から詳細な証言が得られれば、立件できていないカジノ資金の横領疑惑が、新たな刑事事件に発展する可能性があります」(韓国人ジャーナリスト)

捜査は教団の別のカネにも及んでいる。8月31日、警察検察の合同捜査本部は、韓総裁が暮らす天正宮(チョンジョングン)の寝室の金庫などから約260億ウォン(約30億円)の現金を押収したと発表した。’25年の別件捜索の際も、韓総裁の衣装部屋や寝室から30億円近い現金が確認されている。そこには2億円の日本円が含まれていた。

「札束には渋沢栄一の新1万円札も含まれていました。つまり、’24年7月以降も日本から本部に渡ったカネがあった可能性があるのです」(教団関係者)

合同捜査本部は韓総裁らが’17~’25年にかけて、教団資金約105億ウォン(約12億円)を横領したとして追起訴。政界工作とは別に新たな裁判が始まる。

尹鍈鎬氏の告発でラスベガス疑惑まで立件されれば、捜査は新たな段階に入る。

『FRIDAY』2026年9月25日号より

取材・文:甚野博則(ノンフィクションライター)