配当をもらいながら優雅に暮らせたら--。そんな夢を見ている人も多いだろう。経済評論家の頼藤太希さんは「夢の配当生活を手に入れたいと思うなら、高配当株より高配当株ファンドのほうが手軽。その理由は主に4つある」という--。
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■高配当株ファンドの4つのメリットとは

高配当株とは、株価に占める配当金の割合(配当利回り)が高い銘柄のことです。一般的に配当利回りが3%を超えてくると「高配当」といわれます。「夢の配当生活」を送るなら、高配当株への投資は欠かせませんが、高配当株ファンドはそうした高配当銘柄を主な投資対象とした投資信託です。

高配当株ファンドに投資するメリットを整理すると、次のとおりです。

●メリット1:分散投資が手軽にできる

高配当株ファンド1本に投資するだけで、数十の高配当銘柄に分散投資ができます。

仮に組み入れられている銘柄のどれかの業績が悪化し、配当を減らす「減配」や配当をなくす「無配」が行われたとしても、他の銘柄でカバーできるというわけです。

高配当株ファンドには、高配当株価指数に連動するインデックスファンドや、配当利回りの高い銘柄の中から銘柄選定・見直しが行われるアクティブファンドがあります。いずれにしても銘柄は定期的に見直し・入れ替えを行っていますのでこの点も安心できます。

●メリット2:100円から1円単位で積み立てしやすく再投資しやすい

ネット証券を利用すれば、100円と少額から積立投資ができます。投資信託から得られる分配金も自動的に再投資ができるので、利益が新たな利益を生み出す複利効果も得られます。個別株にも積立投資サービスや配当金の再投資サービスを用意している金融機関がありますが、ごく限られています。投資信託のほうが積み立てしやすく再投資しやすいのがメリットです。

●メリット3:NISAと相性がよい

NISAで投資ができる高配当株ファンドが多くあります。NISAでは、投資した資産の値上がり益だけでなく、配当金や分配金も一生涯非課税にできます。

たとえば、NISAで高配当株ファンドに1000万円分投資して、そこから年4%の分配金が得られる場合、年40万円が非課税にできるというわけです。

●メリット4:暴落や下落相場に比較的強い

高配当株ファンドが投資対象とする銘柄は、配当金を安定して出している優良銘柄です。市場全体が暴落や下落しているときには、優良株であっても一時的に値下がりしますが、株価が下落すると高配当銘柄の配当利回りは上昇します。すると、割安感から買いが集まります。

暴落や下落局面では、高配当の優良銘柄が買われる傾向にあるので、値下がりしづらく、下がったとしてもいち早く値上がりする特徴があります。高配当株ファンドも、暴落や下落相場にも比較的強いです。暴落中や下落相場の間も定期的に分配金がもらえれば、心の安定を得ながら市場の回復を待ちやすいというメリットもあります。

■高配当株ファンドの4つの注意点

一方、高配当株ファンドにも注意点があります。

●注意点1:保有コストが高いファンドが多い

高配当株ファンドは投資信託ですので、保有中に信託報酬がかかります。信託報酬は「年○%」と年率で記載されていて、投資信託の純資産総額の中から毎日一定の割合で差し引かれていきます。個別株には信託報酬はありませんので、個別株の高配当投資と比べると保有コストは高配当株ファンドのほうが高くつきます。

近年、信託報酬の安い投資信託が増えていますが、オルカン・S&P500・日経平均株価などのインデックスファンドと比べると保有コストは高いファンドが多いです。

●注意点2:元本払戻金(特別分配金)を出すリスクもある

投資信託の分配金には、普通分配金と元本払戻金の2種類があります。

普通分配金は得られた運用益から支払われる分配金です。元本払戻金は、元本の一部を取り崩して支払う分配金です。「特別分配金」とも呼ばれます。

投資信託の運用がうまくいっているときは、無理なく普通分配金を出すことができますが、うまくいかないときは、普通分配金を出せなくなります。それでも分配金を出さなければならない商品の場合(毎月分配・隔月分配・四半期分配など)、投資家の元本を取り崩して分配金を出すことがあります。

元本が少なくなるので、その後の値上がりの恩恵が受けにくく、普通分配金の額も徐々に少なくなっていきます。

写真=iStock.com/Thanakorn Lappattaranan
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●注意点3:値上がり益の期待は薄い

高配当株ファンドは配当利回りの高い銘柄から投資先を選定しています。成長株より割安株、優良株に投資しているというわけです。値上がり益でお金を大きく増やしたいのであればオルカン・S&P500・日経平均株価などのインデックスファンドに投資した方がベターでしょう。

●注意点4:NISAの非課税枠がいっぱいだと、NISA口座で再投資できない

NISAで高配当株ファンドに投資し、支払われた分配金を再投資するときには非課税枠を消費します。たとえば、NISAのつみたて投資枠で高配当株ファンドに年120万円いっぱい投資していた場合、高配当株ファンドから分配金が出ても、つみたて投資枠には空きがないため、再投資ができません。

このとき、成長投資枠に空きがあれば、成長投資枠で再投資ができます。成長投資枠も空きがないという場合には、課税口座(特定口座または一般口座)で投資ということになります。また、NISAで生涯投資枠の1800万円を使い切っている場合も、課税口座で投資されます。

■高配当株ファンドはどう選ぶ

高配当株ファンドを選ぶポイントをまとめると次のようになります。

(1) 分配金利回りの高さの根拠
・分配金健全度は100%に近いか:1年、3年、5年、10年をチェック
・どんな銘柄に投資をしているのか
(2)分配金利回りの推移……5年、10年と安定して高く、他のファンドよりも高いか
(3)トータルリターンの推移……5年、10年と安定してプラスで、他のファンドよりも高いか
(4)購入時手数料(販売手数料)は無し、信託報酬・実質コストともに低いか
(5)月次資金流入が堅調で、純資産総額と基準価額は右肩上がりか
・純資産総額50億円以上か(設定後1年未満は除く)
(6)業績が安定している「運用会社」か

高配当株ファンドを選ぶときにまず目がいってしまうのは分配金利回りです。分配金利回りは、高いほど投資金額に対して多くの分配金を得られることを示します。

しかし、それほどの分配金利回りを達成するためにどんな銘柄に投資をしているのか、どんなリスクを取っているのかは必ず把握しましょう。

前述のとおり、分配金が普通分配金なのか元本払戻金なのかの確認は重要です。日本経済新聞のWebサイトなどには「分配金健全度」といって、分配金に占める普通分配金の割合が示されていますが、100%(=すべて普通分配金)に近いかどうかを確認しましょう。

分配金利回りやトータルリターンは、あくまで過去の実績であって、将来も高い保証はありません。しかし、過去5年、10年ときちんとした運用を行い、実績がある高配当株ファンドのほうが信頼できるでしょう。

■投資信託のコストを比較する

そのうえで、低コストのファンドを選びましょう。購入時手数料(販売手数料)はなしのファンドであること、保有中のコストである信託報酬が安ければ、利益が出しやすくなります。また、信託報酬だけでなく実質コストも確認しましょう。

実質コストは、投資家が実際に負担した手数料のこと。前もって「いくら」と示せないため、ファンドの一定期間の運用結果をまとめた「運用報告書」に記載されています。「信託報酬が安いからと購入したにもかかわらず、実際には実質コストが高かった……」ということもありえますので、チェックしておきましょう。なお、設定後間もないファンドで、運用報告書がまだ出ていない場合などは、確認できません。

投資信託の運用にはある程度の資産規模が必要です。純資産総額は、新規設定されたばかりの投資信託を除き少なくとも50億円は欲しいところです。純資産総額が少ないと分散投資が実行しにくいですし、早期に運用を終了する繰上償還が行われる可能性もあります。

繰上償還とは、運用会社が運用を終了し、その時点での資産額で資金が返還されることです。繰上償還が行われる時点で運用損を抱えていたら、その損が強制的に「実現損」になってしまいます。その後の回復や値上がりを待つことができなくなるのですから、これはマイナスです。純資産総額が右肩上がりで増えていくためには、月次資金流入が堅調である投資信託が望ましいでしょう。

■運用会社の業績もチェック

運用会社の業績も必ずチェックしておきましょう。NISA対象ファンドも提供していた「PayPayアセットマネジメント」は、2024年10月11日、2025年9月末をめどに事業を終了することを発表しました。

事業終了の理由は、5期連続の赤字を計上していたためです。これにより、運用商品12本のうち、4本は繰上償還、8本はアセットマネジメントOne株式会社に変更され、引き続き運用が行われることとなりました。繰上償還は、このように運用会社の懐事情でも起こりうるということです。

財務情報(決算公告)は、各運用会社のウェブサイトに掲載されていますので確認し、事業継続に懸念がないのかを調べましょう。特に新興の運用会社は要注意です。

■プロが選ぶ日本の高配当株ファンド

ここまでの高配当株ファンドを選ぶポイントを踏まえて、5つの商品を厳選してみました。

なお、以下のデータは断りのない限り2026年8月25日時点のものです。

まずは日本の高配当株ファンドからです。

(1)Tracers日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)

日経平均株価の構成銘柄のうち、予想配当利回りの高い50銘柄に投資。「日経平均高配当株50指数」の動きに連動を目指す投資信託です。年6回、奇数月の30日に決算を行い、分配金を支払います。分配金は2024年9月30日から毎回100円出ていて、分配金利回りは3.69%となっています。分配金健全度(1年)は100%です。

(2)SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)

配当利回り水準が平均より高い銘柄を中心に投資する日本高配当株ファンド。信託報酬は年0.099%とアクティブファンドでありながら、日本高配当株ファンドの中で最安水準。年4回、1月・4月・7月・11月の10日に決算を行い、分配金を支払います。分配金健全度(1年)は100%です。

(3)日経平均高配当利回り株ファンド

日経平均株価の構成銘柄のうち、予想配当利回りの高い30銘柄程度に投資。年2回、6月・12月の15日に決算を行い、分配金を支払います。信託報酬がやや高いのですが、NISAの「つみたて投資枠」でも投資ができる点を評価しました。トータルリターン(5年)は日経平均株価やTOPIXを上回っています。分配金健全度(5年)は100%。

■プロが選ぶ米国の高配当株ファンド

次に米国の高配当株ファンドです。

(4)楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)

「シュワブ・米国配当株式ETF(SCHD)」に投資する投資信託です。SCHDはダウ・ジョーンズ US ディビデンド 100 インデックスへの連動をめざすETFであり、連続10年以上配当を続けている約100銘柄で構成。なお、SBI証券からも同様のファンド「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」[信託報酬:年0.1227%]が販売されています。

(5)SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)

「バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)」へ投資する投資信託です。VYMは大型株のうち配当利回りが市場平均を上回る銘柄で構成されるETFです。年4回、2月・5月・8月・11月の20日に決算を行い、分配金を支払います。分配金健全度(1年)は78.55%と、100%を切っているのが少々気になる点です。

値上がり益を目指しつつ、定期的にキャッシュフローを獲得できるのが「高配当株投資」の魅力です。定期的なキャッシュフローとは、いわゆる「不労所得」です。

夢の配当生活はしたいものの個別株投資には抵抗があるという方は、高配当株ファンドを活用してみてはいかがでしょうか。

*本記事で紹介した個別銘柄については、あくまでも参考として申し述べたものです。
投資の最終決定は各自の責任でお願いいたします。

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頼藤 太希(よりふじ・たいき)
経済評論家・マネーコンサルタント
Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。日経CNBCコメンテーター。確定拠出年金制度の運用改善等に関する有識者懇談会構成員。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ。」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「マネーアンドユーTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など書籍120冊超、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®・1級FP技能士)。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki)
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(経済評論家・マネーコンサルタント 頼藤 太希)