「ふらふらの状態で働く人も…」USJキャラクターの“中の人”が「酷暑労働」を告発〈熱中症警戒アラートでもショーは決行〉〉から続く

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(以下、USJ)で働くショーの出演者が、大阪府の最低賃金を下回る報酬で働いていることが「週刊文春」の取材でわかった。

【画像】9月11日にオープンする『バイオハザード レクイエム』 ザ・ダイブ

 9月11日にオープンする新アトラクション「『バイオハザード レクイエム』 ザ・ダイブ」でゾンビ役として働く出演者A氏が語る。

「もうすぐ本番を迎えますが、会社側からは『拘束時間は12時間以上になることもある』と言われています。ところが、報酬は交通費込みで1日、1万3000円。そこから税金などを引かれると手取りは1万1000円ほどです。正直、仕事内容に比べて、報酬が安すぎるかな、と」


25周年を迎えたUSJ ©時事通信社

拘束時間は12時間前後になる場合も

 今年6月、USJのキャスティングチームがゾンビ役を募る際に送った「オファーメール」にも、次のように記載されている。

<報酬:¥13,000- / 日
  ※交通費・源泉税・消費税・諸経費込み
  ※本番期間だけでなくリハーサル日も上記日額となります>

<拘束時間はシフトによっては12時間前後になる場合もあります>

 単純計算だが、1万3000円の報酬を拘束時間の12時間で割ると、時給は約1083円。USJがある大阪府の最低賃金は1177円で、10月1日からは1231円に引き上げられる。

 アクターたちは労働契約ではなく、業務委託契約を結んでいるが、法的な問題はないのか。

「労働契約か業務委託契約かにかかわらず違法性が疑われる」

 坂の上社労士事務所の前田力也・特定社会保険労務士は、「労働契約か業務委託契約かにかかわらず違法性が疑われる」と指摘する。

「出演時間や場所の指定に加え、演技の細かい指示など具体的な指揮命令下にある働き方は労働基準法上の労働者に該当する可能性が極めて高く、労働契約を結ぶべきです。その場合、最低賃金法違反や労働基準法違反(割増賃金の不払い)となり、過去に遡って未払い賃金の支払い義務が生じます。
 また、業務委託契約だとしても、実質的な拘束時間に見合わない著しく低額な報酬を押し付けている場合、フリーランス新法や独占禁止法上の優越的地位の濫用(買いたたき)に抵触する可能性が高い。立場の弱さにつけ込んだ不当な契約は民法第90条(公序良俗違反)に反し、法的に無効とされる余地すらあります」

 運営会社の「合同会社ユー・エス・ジェイ」に尋ねると、次のように回答した。

「今回のご質問には、当社の契約内容、個別の運用ならびに第三者からの主張に関する事項が含まれておりますが、従業員及び契約当事者のプライバシー、並びに営業上及び契約上の理由により、詳細な回答は差し控えさせていただきます。
 当社は、関係法令を踏まえ、必要に応じて運用の見直しや改善を行いながら適切な事業運営に努めております。今後も、一人ひとりの安全と尊厳を重視し、関係法令に則った適切な事業運営に努めてまいります」

 配信中の「週刊文春 電子版」では、4回出されると契約が打ち切られる「警告書」の存在に加え、着替え手当が支払われない正社員の過酷な労働実態についても詳報している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)