「一人一人の可能性を最大限に発揮させたい」と語る木口さん=大和市

 高校卒業からわずか半年余り。19歳の元高校球児が自ら会社を立ち上げ、メンタルトレーナーとして中高生の指導を始めている。横浜市出身の木口颯太さん。高校時代に大病を患い、死の淵に立った経験を踏まえ、「自分は新しい命をもらった。誰かのために生きる」。10代で起業という希有(けう)な道を選び、個々の可能性を引き出す方法を模索している。

 昨夏の高校野球神奈川大会で、16強入りした横浜商大高の主将を務めた木口さん。甲子園を目指した高校生活は苦難の連続だった。

 1年秋に校内の奥まった場所にある駐輪場で倒れ、発見まで数時間を要した。原因は分からず、その後も失神や体調不良を繰り返した。五つ目の病院でようやく気胸と判明。穴が開いた肺はゴルフボールほどの大きさまで縮み、医師から「あと少し遅ければ命は危なかった」と告げられたほどだった。

 試練はこれで終わらなかった。2年冬には突発性難聴を発症。右耳の聴力は一時ゼロになるなど苦しめられた。3年春には腎臓結石も見つかった。それでも、キャプテンとして70人超の部員を率い、最後の夏は再びスタメンに返り咲いた。

 折れそうな心を支えたのが、2年の秋口に出会ったメンタルトレーナーの友野貴弘さんだった。「よく生きていてくれたね」。その一言に救われたという。