熊本地震から1か月あまり 取材記者が見た被災地の今
発生から1か月あまり。熊本地震の取材に行っていた広島テレビの久保田栄作記者が被災地の現状を伝えます。
8月31日から9月8日までNNN取材団として、地震で大きな被害を受けた熊本県の氷川町や八代市などを取材してきました。
発生から1か月以上が経ちますが、被災者は今も厳しい環境のなかでの生活を余儀なくされています。
■久保田 記者
「こちらの家、大きく崩れていますね。がれきが家の周りに散乱している状況です」
震源に近い氷川町を訪れました。
■久保田 記者
「氷川町の役場の近くに来ているのですが、家の屋根や外壁が崩れています。あちらの電柱は倒れそうになっています」
町では500棟以上の住宅が全壊し、5人が亡くなりました。
自宅の横にある倉庫で避難生活を送る男性に出会いました。
■自宅で被災 伊藤 三憲 さん(70)
「1・2分でこうなるんですからね・・・。たまらんですよ」
妻と2人で暮らしていた伊藤さんは、自宅で被災しました。全壊した家は建物危険判定で「危険」と判断され、家財道具などをほとんど1人で運び出しました。
■自宅で被災 伊藤 三憲 さん(70)
「(体も心も)だいぶダメージがきている。自分も年だから。『どっ』て音を聞いただけでも『おっ』となる。どうもないけど、体が覚えている。あの瞬間だけは忘れられない」
歩いて10分ほどの所に避難所がありますが、自宅の倉庫で生活しています。
■自宅で被災 伊藤 三憲 さん(70)
「とにかく離れたくないんですよ、この場所から。でも、家が壊されるところを見たくないんですよ」
9月4日。
■久保田 記者
「きのうからの雨の影響でしょうか。川の水が茶色く濁っているのが分かります」
被災地に台風が近づいていました。地震で瓦が落ちるなど、被害を受けた屋根のブルーシートに大粒の雨が打ちつけていました。
■氷川町民
「恐ろしいです、こんな雨も降って。(雨戸を)修繕してから雨戸が一番頼りです」
「心配ですよ。家の前が川になっちゃうから」
土砂災害への注意報が出され、被災地に不安が広がっていました。
生活再建への新たな動きもありました。5日、氷川町では熊本県内で初めて仮設住宅への入居が始まり、サプライズゲストとして「くまモン」も訪れました。
■入居者
子「開きましたー。おお~。お母さん上がってみて」
親「お邪魔します」
子「ただいまって言わないとね」
エアコンや冷蔵庫などの家電製品のほか、生活用品なども支給されました。
■氷川町民
「ありがたいです本当に」
「避難中は、シャワーと洗濯が本当に一番困って」
洗濯機と冷蔵庫を支援したのは、広島に本部を置く災害支援団体「ピースウィンズ・ジャパン」です。
■ピースウィンズ・ジャパン 坂本 陽 さん
「仮設住宅に入る人も道のりは長いと思うが、新たな生活の第一歩として踏み出せる、生活の支えの一つになれればと思っています」
ピースウィンズ・ジャパンは、地震発生当初から氷川町の避難所で、お風呂の設置など支援を続けています。
■ピースウィンズ・ジャパン 坂本 陽 さん
「ようやく仮設団地への入居が今日から始まったが、氷川町にも被災した人がまだ多くいる。できる支援は可能な限り行いたいと考えています」
今回の地震で深刻な打撃を受けているのが「観光」です。宿泊業界のキャンセル額は、熊本県全体で27億円にのぼります。 阿蘇地域では10月から始まる「九州ふっこう割」に先駆けて、宿泊料金を割り引く「阿蘇ふっこう割」が7日から始まりました。
■「阿蘇ふっこう割」を利用 愛知から
「ありがたいですよね、割引してくれるから。ちょっと行こうかなってなります」
■阿蘇プラザホテル 稲吉 淳一 社長
「もちろん大変なところはあるが、日々の生活を頑張っているところもあるので、熊本に来てもらって、1日も早く熊本として通常に戻れればと思っています」
地震から40日あまり、復旧・復興への道のりは始まったばかりです。
熊本県内では現在、約1900人が避難生活を送っています。
避難所を取材した八代市では、最大で4000人あまりの避難者がいましたが、1か月で1000人ほどになったことから、新学期が始まる学校の避難所などを閉鎖し、避難所を38か所から13か所に集約しました。
救援物資の集約など効率化は期待される一方で、避難所を移動する人が出てくるという課題が出てきます。
実際に避難所を引っ越した人に話を聞きましたが、やっと避難所の環境に慣れたところだったのに、新しい環境に適応できるか不安だという声が聞かれました。
【ボランティアの状況】
9月1日から熊本駅など熊本市内と氷川町などの被災地を結ぶ災害ボランティアバスが運行を開始しました。
地震から40日以上が過ぎた中で、ボランティアの確保と被災地への車の乗り入れによる渋滞の解消が課題となっています。
バスを利用したボランティアの中には現地まで、どの道が通れるのか分からないので、こういったバスは助かるといった声も聞かれました。
【今回の取材を通して感じたこと】
1か月が経って、今も避難所で生活している人や仮設住宅で生活を始めた人など、生活を立て直すスピードが一人一人違うと感じました。だからこそ「それぞれに寄り添った支援」が求められていると感じました。
【2026年9月9日 放送】
