老朽化した下水道は放置するとどうなるか…大事故が起きる前に知っておきたい「インフラの現実」
日本はこのまま崩れ去ってしまうのか? 道路、鉄道、水道、インフラ、橋……なぜ全国各地で次々に事故が起きるのか? お金も人も足りない……打つ手はあるのか?
新書『日本のインフラ危機』では、私たちの暮らしを揺るがす「大問題の正体」を豊富なデータと事例から解き明かす。
(本記事は、岩城一郎『日本のインフラ危機』の一部を抜粋・編集しています)
下水道構造物の建設の変遷と現状
続いて取り上げるのは、インフラの中でも生活に密接な下水道です。
下水道施設は、道路よりも少し遅れて整備が始まりました。下水道施設の整備と聞くとイメージが湧きづらいですが、まずはトイレの水洗化という身近な問題に置き換えて考えてみましょう。
私の幼少期である1960年代は全国的に汲み取り式が一般的でしたが、その後大都市圏を中心に水洗化が進みました。1960年代後半、幼いながらに当時住んでいた東京都立川市の集合住宅のトイレが水洗になったことを今でも覚えています。
一方、1982年に大学生活を始めた仙台市のアパートではまだ汲み取り式だったことに驚きました。下水道施設は高度経済成長期から本格的な整備が始まり、ゆっくりと地方都市に拡がっていったのです。2024年度末における全国の下水道普及率は81・8%で、日本全国の下水道管路の総延長は約50万キロメートルとなっています。
年代ごとに造られた管路の管理延長を見てみましょう(図表1-8)。道路や鉄道と違って下水道管路管理延長は1960年代、1970年代はそれほどでもなく、1980年代以降も増え続け、2000年前後にピークを迎えています。
他のインフラに比べると下水道施設の経年数はそこまで経っておらず、新しいことがわかります。より具体的には、標準耐用年数50年を経過したものは2023年度で約4万キロメートルと全体の7%にとどまっており、10年後に約20%、20年後に約42%になると予想されています。
まだ新しいからといって、安心できるわけではありません。近年、老朽化した下水道管に土砂が流れ込み、その上の道路の陥没を引き起こす事故が頻発しています。国土交通省が発表した「(令和5年度)下水道管路メンテナンス年報」によると、下水道の管路に起因する道路陥没は2022年度に約2600件発生したとのことです。
このような状況下で、2025年1月28日に埼玉県八潮市で道路陥没事故が起きました。なぜこのような大きな事故が発生してしまったのでしょうか。
さらに、「日本はこのまま崩れ去ってしまうのか…意外と気づかない「インフラ危機」本当の実態」」では、いま大問題として迫っているインフラ老朽化問題をひきつづき見ていく。
