ミライアルは予想16.4%超えでも1.48%安、アイルは7.15%安|決算ウォッチ
この記事でわかること
・予想を超えても売られた──8日付けの記事で挙げた3社
・8日の東京市場──朝方392円高から、終値は安値引け
・☆S級 三井ハイテック(6966)──1Qで30.6%、2Qで折り返しに乗るか
・★要注意D級 ANYCOLOR(5032)──レンジ予想の下限なら10.8%減益
・本日の決算発表は11社──プライムは5社
・今後の決算発表予定──11日に74社、メジャーSQと米CPIが重なる
予想を超えても売られた──8日付けの記事で挙げた3社
8日付けの記事で見どころを書いた3社が、その日のうちに市場の評価を受けた。結果は三者三様に分かれている。
注目してほしいのはミライアルだ。 2Q累計の営業利益は5億5900万円で、会社予想4億8000万円を16.46%上回った。売上・利益とも予想超えで、8日付けの記事で私が置いた「2Q単独の営業利益が1Q単独を上回っているか」という線も、3億2000万円対2億3900万円で満たしている。数字は文句のつけようがない。それでも株価は1.48%安だった。
日中は一時1731円まで売られている。前日終値からは8.32%安になる。そこから1860円まで戻して引けた。
よい決算が出ても株価が下がることはある。 『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたように、株が動くのは決算の良し悪しそのものではなく、市場が見ていた線との差だ。予想を超えたかどうかと、株価が上がるかどうかは別の問題になる。
アイルは8日付けの記事で「着地は計画超え、来期は減益計画、中計は3年で戻す形。この3つのどれに反応するかで方向が変わる」と書いた。市場が選んだのは来期の減益計画だった。 寄り付きから6.42%安で始まり、終値は7.15%安。出来高は65万2200株と前日の2.9倍、売買代金は14.24億円で20日平均の5.3倍に膨らんでいる。
萩原工業は寄り付きで8.94%高まで買われたあと、終値は5.10%高まで押し戻された。3社に共通するのは、寄り付きが一日の高値圏だったことだ。 発表直後に飛びつくと不利になりやすいことが、そのまま出た形になる。
8日の東京市場──朝方392円高から、終値は安値引け
8日の日経平均は3営業日ぶりに反落した。朝方は392円高の6万6791円84銭まで買われたが、そこから値を消して終値は安値引けになっている。 ローソク足は下ヒゲのない「陰の大引け坊主」で、終値は25日移動平均線を再び下回った。
プライム全銘柄では値上がり362銘柄に対し値下がりが1159銘柄と、74.5%が下げている。 前日7日は日経平均が2.12%高でもプライム平均は0.02%安という逆行だったが、8日は指数も中身もそろって下げた。2日続けて、指数だけを見ていては分からない日になっている。
11日にはメジャーSQ算出日と米8月CPIの発表が重なり、15日からのFOMC、17日からの日銀金融政策決定会合が控える。大きな材料を前に、方向感の定まりにくい相場が続きそうだ。
☆S級 三井ハイテック(6966/電気機器)──1Qで30.6%、2Qで折り返しに乗るか
モーターコアとリードフレームを手がける。電気自動車向けのモーターコアが主力になる。本日9日に1月期の2Qを発表する。
中身:1Qは売上618億8600万円で前年同期比13.2%増、営業利益44億3300万円で27.8%増、純利益45億8400万円で373.2%増。増収増益で、純利益は前年の4.7倍になっている。
サプライズ:1Q発表の翌日に通期予想を上方修正した。 売上を2330億円から2540億円へ9.0%、営業利益を110億円から145億円へ31.8%引き上げている。理由は販売好調と為替影響で、中東情勢による資材価格上昇を増収効果が上回るという説明になる。1Qの営業利益44億3300万円は、上方修正後の計画145億円に対して30.6%にあたる。
初動:8日終値は903円で前日比5.45%安。売買代金は19.69億円と20日平均12.82億円の1.5倍に膨らんだ。日経平均が1.70%安の日に5.45%安で、指数以上に売られている。時価総額は1782億円になる。
スイング目線:上方修正を織り込んだあとの2Qになる。上方修正の翌四半期は、引き上げた計画に実績が追いつくかが問われる。 決算の開示は引け後の見込みで、本日の値動きは決算を見ていない値段だ。答えが出るのは明日10日になる。
Point:私が見るのは進捗が折り返しに乗るかどうかだ。上方修正後の計画145億円の半分は72億5000万円で、1Qの44億3300万円に対して2Q単独で28億1700万円あれば届く。前年の2Q単独は28億7800万円だった。前年並みで50.4%に乗る計算になる。
2Qで見る数字
前期の純利益は31億5100万円で、営業利益126億5100万円に対して小さい。今期計画の純利益100億円は前期比3.2倍になる。1Qですでに45億8400万円と45.8%まで来ているので、純利益の進捗は営業利益より先行している。 ここが2Qでも続くかは見どころになる。
上方修正後の計画に対して1Qが30.6%というのは、決して高い進捗ではない。 修正前の110億円なら40.3%だった。会社が計画を引き上げたぶん、ハードルは上がっている。
★要注意D級 ANYCOLOR(5032/情報・通信業)──レンジ予想の下限なら10.8%減益
「にじさんじ」を運営する。本日9日に4月期の1Qを発表する。要注意と付けたのは、今期の業績予想がレンジ形式だからだ。
中身:前期は売上556億8100万円で29.9%増、営業利益201億7200万円で23.9%増、純利益140億9100万円で22.4%増と大幅な増収増益だった。
サプライズ:今期の予想は幅を持たせた形で出ている。 売上560億円から600億円、営業利益180億円から200億円、純利益123億2600万円から136億9600万円になる。営業利益は下限なら前期比10.8%減、上限でも0.9%減で、どちらに転んでも減益計画だ。
初動:8日終値は2943円で前日比0.17%安。日経平均が1.70%安の日にほぼ横ばいで、逆行して踏みとどまっている。売買代金は10.99億円で20日平均14.13億円をやや下回った。時価総額は1798億円になる。
スイング目線:レンジ予想は、どの水準を基準に進捗を測るかが定まらない。 上限で見れば物足りない数字でも、下限で見れば順調ということが起こる。市場が下限と上限のどちらを見ているかは、決算が出るまで分からない。またぐには変数が多い。
Point:私なら前年1Qの営業利益70億300万円を上回っているかだけを見る。前年1Qは通期の34.7%を1四半期で稼いでいた。同じペースなら下限180億円に対して38.9%になる。レンジのどこを狙っているのかは、進捗率が教えてくれる。
本日の決算発表は11社──プライムは5社
本日9日の発表は11社で、うちプライムが5社になる。
売買代金が10億円を超えるのは三井ハイテックとANYCOLORの2社だけで、残る9社は1億円台以下になる。ベステラとステムリムがそれぞれ1.07億円、ほかは1億円に届かない。値が飛びやすい規模なので、板の薄さは先に確かめておきたい。
今後の決算発表予定──11日に74社、メジャーSQと米CPIが重なる
11日は74社の決算発表とメジャーSQ算出日、米8月CPIの発表が同じ日に重なる。 14日にも69社が続く。決算の中身とは関係のない需給で値が動く日が、今週後半に集中している。
昨日の3社が示したように、予想を超えても下げることはあるし、寄り付きが高値になることもある。 発表直後に飛びつかず、反応が出てからでも遅くない。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。
※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信(三井ハイテック:2027年1月期第1四半期決算短信、ANYCOLOR:2026年4月期決算短信、ミライアル:2027年1月期第2四半期決算短信、アイル:2026年7月期決算短信)および三井ハイテック「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年6月12日)にもとづく。株価・売買代金・日中値幅・時価総額はJPX公式のJ-Quants APIによる9月8日終値時点の値で、株式分割を調整済み。プライム平均株価は東証プライム全銘柄の前日比騰落率を単純平均した独自指標で、時価総額や株価水準で重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均・TOPIXの終値と騰落、9月8日の市況はフィスコの配信記事による。決算発表予定は日本取引所グループ(JPX)の公表資料による。
※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。
記事を書いた人
コマンドY
スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。
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