特別支援学校が夏の大会に初出場 夢の舞台へ!白球追いかけた夏・広島
今年、高校野球、夏の大会に挑んだ球児たちの中に、特別支援学校から参加した生徒たちがいました。創部からわずか1年、仲間とともに戦った高校球児たちの姿を追いました。
ここは黒瀬特別支援学校のみのお分校。
2025年、この学校に野球部が誕生。中四国では初めて特別支援学校の高野連への加盟が認められました。
キャプテンの南昊雅(こうが)さんには、軽度の知的障害があります。
■3年生 キャプテン 南 昊雅 さん
「物事を覚えるのが難しい。周りの人よりサインを覚えるのが遅い。覚えられたら、だんだんできるようになるという感じです」
■南 昊雅 さんの母 南 沙織 さん
「『みんなができることが僕にはできない』と言ったのは、小学校2年生くらい。個性なのか、支援がいるのか」
そんなころ、ある出会いがありました。
■3年生 キャプテン 南 昊雅 さん
「友達が野球に障がいは関係ないって言ってくれた」
■南 昊雅 さんの母 南 沙織 さん
「気づいたら『野球やりたい』って言い出してました。それって純粋ですよね。野球好きなんだからやろうよ。障がいがあるとかないとか関係なく」
すべての始まりは、まだ野球部がなかったころ。南さんは、ある行動をおこします。
■南 昊雅 さんの母 南 沙織 さん
「『字がこれで合ってるか?』って聞いてきた。何してるの?と聞いたら、手紙を書いてて」
宛先は当時の校長先生。そこには強い筆圧で野球を愛する南さんの熱い思いが、つづられていました。
■3年生 キャプテン 南 昊雅 さん
「野球部ができて、ありがたいって気持ちです」
黒瀬特別支援学校は、ほか3校(黒瀬高校・大柿高校・忠海高校)と連合チームを結成。夏の大会を目指します。
「絶対勝つぞ、笑顔、最高!」
チームの息が揃うのは、少し時間がかかりそうです。
■黒瀬特別支援学校 野球部 栗原 庸輔 監督
「きょう初めてこのチームで試合に出た子もいるので、難しさはあると思う。生徒同士でまだコミュニケーション取れないし。同じチームとして、どう高めていくかが課題。谷が、ちょっときょう暑さもあってダウンしちゃった」
黒瀬特別支援学校もう一人の部員、谷駿汰さん。人前で話すことが苦手な場面緘黙(かんもく)の症状があります。
■谷 駿汰 さん母 谷 幸代 さん
「中学校でも友達とも、先生とも話せなかった」
野球は少しづつ、谷さんを変えていきました。
■2年生 谷 駿汰 さん
「しゃべれるようになった」
■ディレクター「自信がついた?」
■2年生 谷 駿汰 さん
「はい。自分でもできるかもって思った」
■3年生 キャプテン 南 昊雅 さん
「(カメラ)持っていいですか?」
■ディレクター「いいよ。南くんカメラで、チーム撮ってきてよ」
■3年生 キャプテン 南 昊雅 さん
「今日のヒーローインタビュー、林田選手です。10奪三振どうでした?」
■黒瀬高校 林田 騎士(ないと) さん
「10奪三振じゃありません。12失点」
■3年生 キャプテン 南 昊雅 さん
「はい、谷くん」
■チームメイト
「やめたれ、やめたれ」
待ちに待った背番号です。
■黒瀬特別支援学校野球部 栗原 庸輔 監督
「9番 頑張ってください。しっかりね」
■3年生 キャプテン 南 昊雅 さん
「すげぇ、新品」
■2年生 谷 駿汰 さん
「楽しみ」
■黒瀬特別支援学校野球部 栗原 庸輔 監督
「頑張れ!頼むよ!9番」
大会前、最後のノックが始まりました。
■黒瀬特別支援学校野球部
「いいね 、ナイスボール」
「ナイス 今の入り、いいよ」
2人で過ごす最後の夏。
■黒瀬特別支援学校野球部 栗原 庸輔 監督
「ラストね!ラスト!」
■黒瀬特別支援学校野球部 栗原 庸輔 監督
「もうやるだけ。頑張りましょう。3年生は最後よ。悔いなく全力出し切るだけです。ミスしても丁寧に。ポロポロしても丁寧に。勝ちましょうよ。がんばりましょう!」
■3年生 キャプテン 南 昊雅 さん
「頑張ります」
■黒瀬連合・生徒
「おはようございます」
いよいよ願い続けた夏が始まります。初戦の相手は舟入高校。
南さんは先発メンバーとして出場。谷さんもベンチから仲間を支えます。南さんの1打席目・・・。
四球で、この日チーム最初のランナーになります。その後2アウト満塁と先制のチャンス・・・。
しかし、得点には結びつきませんでした。その裏、ミスが重なり一気に点差を広げられます。
■3年生 キャプテン 南 昊雅 さん
「声出していこう」
声を出し合いながらピンチを切り抜けます。
8点を追う3回、1塁にランナーを置いて打席には南さん。その初球、送りバントでチャンスを広げます。続く打者がタイムリーヒット。仲間とつないだ一点です。
■3年生 キャプテン 南 昊雅 さん
「黒瀬連合の攻撃ここからじゃあ!」
それでも舟入高校の攻撃は止まりません。試合終了まで、あと1点・・・。
仲間と駆け抜けた夏が終わりました。
【試合結果】
黒瀬連合 1-11x 舟入高校(5回コールド)
■黒瀬特別支援学校野球部 栗原 庸輔 監督
「ごめんね。こんな試合できると思っていなかった。あの1点、やばかったね。みんなでつないで。このチームで目指していたところがあの1点に表れていたと思います。本当によく頑張ったと思います」
■谷 駿汰 さん母 谷 幸代 さん
「駿汰が泣くのは貴重です。悔しさと南くんと、チーム最後というのもあって」
■南 昊雅 さんの母 南 沙織 さん
「昊雅も、この先の未来、この高校野球のことを胸に、つらい時も乗り越えられると思います」
■3年生 南昊雅さん
「悔しいです。(まだ)やりたかった。(野球は)続けます。ずっと続けていけたらいいなと思います」
【テレビ派 2026年9月8日 放送】
