《太田光も「国宝級」》サンド伊達みきおの「活動休止」であらためてわかった、その「愛され力」とテレビ界が今一番「オファーしたくなる理由」
サンドウィッチマン・伊達みきお(52歳)の脳梗塞による活動休止が発表され、番組への影響と心配の声が広がっている。ゴールデン帯での異例の同一局連続起用など、テレビ界で圧倒的信頼を得る理由とは──。その愛され力と、売れっ子芸人が抱える過密スケジュールの現状についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが分析する。
【写真】休養前、元気に番組でロケをするサンド伊達。他、休養前に野球観戦をする伊達や羽生結弦、山崎育三郎とのツーショットなども
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8月28日、サンドウィッチマンの伊達みきおさんが脳梗塞の診断を受けて活動休止することを発表しました。
「医療関係者の皆様に迅速にご対応いただいたこともあり、幸い大事には至らず、現在は入院治療を受けております」「当面の間は治療に専念し、休養させていただくこととなりました。現在、伊達は回復に向けて日々リハビリに励んでおります」という所属事務所の発表に安堵の声があがったものの、徐々に出演番組などへの影響が出はじめています。
そのレギュラー出演し、休むことになる番組を見ると、「なぜ伊達さんがスタッフや視聴者から必要とされ、愛されているのか」、その理由が見えてきます。
サンドウィッチマンと言えば、地元の東北を愛する姿など、芸能界トップの好感度を誇る芸人として知られていますが、あらためてどんなところが業界内で評価され、世間の人々から支持されているのでしょうか。
また、このところ今年4月の活動休止から復帰が遅れている同世代のバナナマン・日村勇紀さん、さらに1つ世代が上の石橋貴明さん、浜田雅功さん、松本人志さんらの体調不良や病気が相次いでいました。売れっ子芸人と体調不良や病気の因果関係はあるのでしょうか。
月曜と金曜に「2番組連続起用」
まずは地上波全国放送されているサンドウィッチマンのレギュラー番組を見ていきましょう。
月曜の『帰れマンデー見っけ隊!!』(テレビ朝日系、19時)と『サンド&キスマイの気になるマン』(テレビ朝日系、20時)、金曜の『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系、19時)と『ウワサのお客さま』(フジテレビ系、20時)は、それぞれ1つのテレビ局が2番組連続で起用しています。
どちらもゴールデンタイムのド真ん中。また、録画に加えて配信視聴も増えた近年では「最も視聴率獲得が難しい」と言われる19時台を任されています。これは子どもや高齢者を含む幅広い年代から支持されているサンドウィッチマンだからこそ可能なゴールデン帯での2番組連続起用でしょう。
同じタレントを同じ曜日のゴールデンタイムで2番組連続起用しているのは、チャンネルを変えられないための策でもありますが、これは裏を返せば「サンドウィッチマンはコケる不安が極めて少ない」ということ。好感度が普通レベルのタレントでは2時間ずっと他局の裏番組を見られてしまうリスクがあり、「サンドウィッチマンは2番組連続でも飽きられない」ということでもあります。
これ以外のゴールデンタイムでは、火曜の『バナナサンド』(TBS系、20時)、木曜の『THE突破ファイル』(日本テレビ系、19時)、土曜の『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系、18時56分)にレギュラー出演中。水曜と日曜以外はゴールデン帯でレギュラー番組を持っていて、さらに日曜朝の『かのサンド』(フジテレビ系、10時)、年3~4回ペースの不定期レギュラー番組『病院ラジオ』(NHK総合、次回は9月26日放送)にも出演しています。
特番に目を向けても、7月1日放送の『エンタの神様 2026夏』(日本テレビ系)、8月1日放送の『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ系)、さらに4月5日放送の『笑点』(日本テレビ系)、1月31日放送の『THE CONTE』(フジテレビ系)、昨年12月7日放送の『THE MANZAI2025』(フジテレビ系)などの大型ネタ番組にも出演。これだけ多くの冠番組を持ちながらネタ番組に出演し続けるのはサンドウィッチマンだけであり、番組の"格"と"質"を上げる存在として重宝されています。
また、今年1月3日、4月16日、5月14日、6月30日、7月8日、8月13日と6度も放送された『サンド屋台』(TBS系)、8月16日放送の『大泉サンドの年2会』(TBS系)、4月4日放送の『サンドの禁断の一騎打ち』(フジテレビ系)、3月13日放送の『坂上サンドの東北旅2026』(フジテレビ系)などの特番にも出演。こちらも冠番組ばかりであり、「サンドウィッチマン単独か、サンドウィッチマンと誰を組み合わせるか」を考えて企画・制作されている様子がうかがえます。
愛のあるツッコミとかわいいボケ
では伊達さんのどんなところが評価されているのか。これまで各局のテレビマンにヒアリングしたところ、主に2つの理由があげられました。
1つ目の理由は、相手を問わないトーク力と人懐っこいキャラクター。伊達さんは笑顔で人の懐に入るのがうまく、多くの冠番組を持つほどの大物になりながら若手や一般人に圧を感じさせることがありません。年齢性別や芸能人か一般人かを問わずトークを成立させられますし、親戚の叔父さんのような雰囲気で接するため、共演者たちは「優しかった」「やりやすかった」などと感じているようです。
それでいて「愛のあるイジリで笑いを誘い、フォローをきっちり入れられる」こと、「前に出てばかりではなく引いて共演者の持ち味を生かせる」ことも評価されるポイントの1つ。爆笑問題の太田光さんが「サンドウィッチマンの漫才は国宝みたいなもの」と言っていましたが、ゴールデン帯のバラエティにフィットするバランスのいいトークも、その評価に匹敵するものがあります。
2つ目の理由は、ボケの手数とかわいらしさ。もともとサンドウィッチマンはどちらもツッコミとボケをこなすコンビとして知られていました。ブレイク前に「ネタでは伊達みきおさんがツッコミ、富澤たけしさんがボケ」という形が定着しましたが、トークやロケでは現在も伊達さんのほうがボケて富澤さんがボヤくようにツッコミを入れるシーンが目立ちます。
小さなボケの数が多く、「ウケてもスベってもかわいい」と言われることも伊達さんの強みでしょう。トークでもロケでも自由にボケて富澤さんや後輩芸人のツッコミを待つような姿が視聴者の笑みを誘うとともに、番組のムードを明るくしています。
伊達さんは『M-1グランプリ2007』で優勝したブレイク直後から「コワモテなのにカワイイ」という声があがっていましたが、19年弱が過ぎた今なおその印象は変わっていません。特に少年っぽい無邪気な笑顔でロケをこなし、おいしそうに料理を食べる姿は52歳のベテランとは思えない若さがあり、若年層からの支持にもつながっています。
コンビ仲のよさで常に2人のオファー
サンドウィッチマンはこれだけのレギュラー番組や特番をこなしながら、ライブツアーにも精力的で、今年も『サンドウィッチマンライブツアー2026』が10月16日~12月6日に全国8都市12公演で開催予定でした。残念ながら今年は全公演中止が発表されましたが、いかに働き詰めの状態だったかがわかるでしょう。
身体的な負担の大きいロケの多さも含めて、視聴者から見たら「働き過ぎ」「休んでほしい」というレベルの忙しさではあるものの、ブレイクまでの期間が長かった苦労人の2人は今なお、あまり休まず笑いの現場に立ち続けています。
収録現場で何度か取材し、本人や周囲のスタッフに話も聞きましたが、やはりと言うべきか、悪い話が出てきません。伊達さんについては「売れっ子なのにいつも楽しそう」「スタッフもイジってくれる」「何気なく感謝の言葉を言ってくれる」「助けてもらったこともあるし、男気のようなものを感じる」などの声が多く、印象通りの気さくな人柄ばかりでした。
そしてもう1つ特筆すべきは、「コンビ仲がいいからやりやすい」という声が複数のスタッフから聞けたこと。打ち合わせから収録本番、さらにハプニングが付き物のロケでも、終始穏やかで談笑する姿にスタッフも癒されているようです。
だからこそ多忙と知っていても、快く引き受けてくれると知っていてもオファーを出したくなるのでしょう。また、これだけ売れたら個人出演も増えるものですが、コンビ仲がいいからどちらかではなく2人でのオファーになるようです。
売れっ子芸人が休もうとしない理由
最後に売れっ子芸人と病気・体調不良の因果関係についてふれましょう。
これも日村さんの活動休止があったので、今春以降さまざまな現場でスタッフやタレントに聞いていますが、「芸人は売れっ子になるほど休もうとしない」「忙しい人ほど、ロケ弁、グルメロケ、楽屋や前室に置かれたお菓子の影響はあると思う」などの声がありました。
確かにある芸人から「売れっ子になるほどオファーの質が上がり、さらにスケジュールのスキマを埋めるようなオファーが来るため休めないし、断りづらい」という話を聞いたことがあります。さらに「健康に気を配っているタレントはロケ弁に手を出さず、収録終了後にすぐ帰る」という売れっ子の姿を何人も見てきました。
なかには「気分的には、病気になるくらいでないと休めない」と笑う人もいましたし、体調不良の先輩や仲間を見ながらも自分からは変えられない売れっ子が多いのかもしれません。
サンドウィッチマンとバナナマン以外にもMCクラスのアラフィフの芸人は多く、各芸能事務所ではあらためて健康管理の徹底を呼びかけていると聞きました。伊達さんの元気な姿が一日でも早く見られることを願うとともに、富澤さんの健康も願っています。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。
