病院で相次ぐサイバー攻撃、厚労省が対策強化へ…外部との回線集約化に助成・攻撃時の遮断が容易に
厚生労働省は、病院のサイバーセキュリティー対策の総合的な強化に乗り出す。
ネットワークを守るための対策や専門人材の活用などを支援し、増加する医療機関へのサイバー攻撃を食い止めたい考えだ。来年度予算の概算要求で、高市内閣が掲げる「強く豊かな日本」投資枠に関連予算137億円を計上した。
医療機関では、医療機器ごとにIT製品メーカー(ベンダー)が異なり、施設内のネットワークと外部を接続する回線が多いため、サイバー攻撃への対策が難しいという課題があった。このため、厚労省は外部との接続箇所の集約化を進める病院への助成を行う。監視が容易になり、攻撃を受けても遮断しやすくなる。病院が民間事業者に委託し、病床の規模別に基準額の上限を設定するが、全額を補助する方向だ。
医療機関では近年、身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」によるサイバー攻撃が相次いでいる。2022年には大阪市の大阪急性期・総合医療センターで、攻撃により電子カルテシステムに障害が発生し、手術や外来診療を大幅に制限する事態となった。今年2月には、川崎市の日本医科大学武蔵小杉病院も被害に遭い、約13万人分の患者の個人情報が流出した。
同省は、病院がサイバー攻撃を受けた場合、速やかに専門家を派遣できるよう、初動対応の支援も行う。さらに医療機関側が自前で対策にあたる専門人材を確保するのは難しいため、新たに「情報処理推進機構(IPA)」に登録されている人材リストの活用を促し、各病院とのマッチングを進める。病院の職員向けに行われる研修の実施費用も補助する。
先の特別国会で成立した改正経済安全保障推進法では、国がサイバー攻撃対策を主導する電気・ガスなど「基幹インフラ」に「医療」が追加されることになった。高度な医療を提供し、400床以上の病床がある特定機能病院(全国88か所)から指定される見通しだ。同省は特定機能病院に対し、専門事業者によるサイバーセキュリティーの点検も行う方針で、27年度の予算では約20か所分での実施を想定している。
