【30年ぶり】長期金利が高水準に…その要因・影響について県民の受け止めは?専門家の解説も(静岡)
9月1日、日本の債券市場で長期金利の指標となる10年物国債の利回りが一時3%まで上昇しました。これは1996年9月以来、30年ぶりの高い水準です。中東情勢の不透明感から原油価格が上昇し、アメリカのインフレ懸念が高まっていることや、日銀が早期に利上げを行うのではないかとの観測が強まっていることなどが要因です。
長期金利の上昇は預貯金金利が上がる半面、住宅ローン金利が上がるなど私たちの生活へ影響があります。また、企業にとってもお金を借りる際の金利が上がり設備投資などを控える動きにつながります。
「長期金利が30年ぶりに高水準となった今、県民の皆さんはどう受け止めているのでしょうか」
(70代)
「もう銀行に預かってもらうだけでOK。利息は別にあんまり考えたことがない。だけど金利の上昇によって、若い人たちが家などのローンをこれから払っていくことを考えると、すごい大変だと思う」
(30代)
Q.金利が上がってしまうことで家を買うの控える?
「それは思いますね。賃貸でもいいのかな。願わくば、自分の家は持ちたいというのはあります」
経済の専門家に長期金利が上昇している要因を聞きました。
(野村総合研究所 木内 登英 エグゼクティブエコノミスト)
「1つ目は、やはり物価上昇率が高まっていることがありまして、物価上昇懸念の分、長期金利が上がる傾向があります」
2つ目の理由として、原油高やAI関連投資の増加による世界的な長期金利の上昇が影響していると言います。さらに…。
(野村総合研究所 木内 登英 エグゼクティブエコノミスト)
「国内要因としてそれに加えて、財政の悪化懸念というのが、金利の押し上げに大きな影響を与えてるんではないかなと思います。この1年間で、10年の国債利回りは、3%まで1.4%程度上がったが、そのうち、国内の財政悪化のリスクによって0.6%ぐらい上がったという試算をしている、日本での長期金利の上昇は多くの部分はこの財政リスクの高まりというのを背景にしているのではないかなと思います」
先日、アメリカのベッセント財務長官は日銀の利上げへの期待を表明しました。専門家は今後もアメリカが日本の金融政策へ注文をつけてくる可能性を指摘します。
(野村総合研究所 木内 登英 エグゼクティブエコノミスト)
「7月末に日米協調介入を実施したわけですけども、アメリカ側としてはですね、円安が進むと物価高になりますので長期金利も上がりやすいと。これが日本だけの問題ではなくて、アメリカにもマイナスの影響が出てくる。例えば円安が進み、その結果、アジア通貨全体が下がっていくとドルは強くなり特にアジア向けを中心に貿易赤字が拡大してしまうアメリカの企業の輸出競争力が下がってしまう不安があります。やはり円安に長年苦しんできた日本に協力してあげたので、当然アメリカとしてはもっと、従来以上に言いたいことが言えるようになると、日本の政策に介入してくるきっかけになっている」
また、財政悪化の懸念により、高市政権が目指す成長戦略も見直しが迫られる可能性があるといいます。
(野村総合研究所 木内 登英 エグゼクティブエコノミスト)
「もちろん経済を強くしようというのは正しい考えだが、政府がいろいろなかたちでお金を使って日本の経済の力が強くなるかどうかは、ちょっと疑問なところがあります。やはり重要なのはですね、いかに民間の投資を引き出すかということで、政府がやるべきことは、その企業が設備投資を踏み切るその背中の最後のひと押しをするのが、政府の役割だと思います。それが呼び水となるような投資だったりということなんですが、現状で見るとですね、こう呼び水よりももっと政府が積極的に投資などをやるような政策に見えますので、それは一時的に景気を強くすることがあっても、結局はですね、財政の悪化につながりますね」
(スタジオ解説)
(徳増 ないる アナウンサー)
原油高や財政悪化への不安といった懸念が高まり長期金利が一時3%に上昇。青山さんはこの流れどのようにご覧になっていますか?
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
今は世界的に長期金利は上がっているんですが、日本については財政に対する不安も一つの要因になっているのは間違いないんです。そもそも焦点になっている長期金利というのは、10年ものの国債の価格なんです。日本の財政に不安があると国債を買う人が減って価格が下がる。そうすると金利を上げて、「もうかりますよ」ってことで売ることになるわけなんです。こうした状態が続くと国債の価値…「格付け」っていいますけど…これが下がることもあり得る。そうなると、ますます日本政府が国債を売りにくくなったり、企業の資金調達や銀行の経営にも影響する可能性があるんですね。また金利が上がることで利払いが増えていくと、ますます財政を圧迫します。なので国債の価値の下落、金利の上昇を一定程度抑える政策、つまり日本の財政の信任を保っていくことは必要なんです。
(レギュラー コメンテーター 津川 祥吾 氏)
高市内閣としては、国はお金を…借金を増やしてでも使うけれども、それを上回って日本の経済全体が成長・拡大すれば「問題ないんだ」と。「むしろ経済は強くなるんだ」と言ってますよね。民間も含めた投資を呼び込んだとしても、実際に日本経済が拡大してくるのは数年後じゃないですか。ですから、その間、今みたいに、いわゆる市場が「ちょっと大丈夫ですか?」っていうふうに、「金利が高い」みたいなシグナルを出したとしても、高市内閣としては「いやいやこれからまだ成果が出るのは先だから…まだまだこれを続けます」ってやるのか、「ちょっと市場が厳しいシグナル出してるから、ちょっと変えようかな」と言ってるのか…今どうですか?
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
今はですね、高市さんは積極財政を売りにしてます。一応「責任ある」とは付けていますけれども、お金を使って国の投資を増やす方向を向いてるわけですね。ただそれは、津川さんが言ったように一種の「賭け」で、それで本当に日本が成長して税金として戻ってくればいいけれども、先ほど専門家の人も指摘していましたが、必ず投資分だけ成果が上がるとは限らないんですね。仮に赤字になってしまった時はますます財政状況が悪化することになります。、アメリカも、それを今懸念しているわけです。そういう賭けに出ているといっていいと思います。
(レギュラー コメンテーター 津川 祥吾 氏)
もう一つ気になるのが、自民党内にも、いわゆる「財政規律をもっと重視すべきだ」といっていた議員さん…て結構いたと思うんです。そういった皆さん、今、与党の中でどんな動きをされてるんですか?
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
もちろんですね、慎重意見もあるんですが、高市さんが積極財政を掲げて総理大臣になり、そして総選挙でも公約に掲げて勝った。こういう中で、なかなかものが言いにくくなっているんですね。ただ一方で、イラン情勢など不測の事態も起こりましたし、「放漫財政」と見られたら、円安も物価高もどんどん進む可能性があるので、どういう形で抑制を利かせるか、今、非常に苦心しているというところです。ただ高市さんとしては「積極財政」の方向性に逆に非常にこだわっています。
(徳増 ないる アナウンサー)
高市政権が目玉に掲げる積極財政…今後どうなっていくのでしょうか。

