夢……叶わず市販化されなかったコンセプトカー

 数多くのコンセプトカーが登場した昭和のモーターショー。そのなかからここでは、当時大きな期待を集めながらも実現には至らなかった技術やデザインを与えられたクルマを紹介する。

昭和38年に登場した幻のコンセプトカー

 1963年(第10回)プリンス 1900スプリント
スカイラインGTを生み出すプリンス自動車が1963年のショーに参考出品し、クルマ好きを唸らせたのが「プリンス1900スプリント」だ。イタリアで活躍していたデザイナー、フランコ・スカリオーネとプリンス自動車の共同作品で、スカイライン1500のシャーシに美しいクーペボディを被せている。パワーユニットは、当時のグロリアに積まれていたGB4型4気筒OHVに、SUツインキャブを組み合わせた。

デザインはカロッツェリア・ギア

 1970年(第17回)いすゞ ベレットMX1600
1969年秋の東京モーターショーに参考出品され、話題をさらったのが「いすゞベレットMX1600」だ。トリノのカロッツェリア・ギアがデザインしたミッドシップスポーツで、低いノーズ先端にリトラクタブル式ヘッドライトと格納式のスポイラーを装備している。搭載するのは、117クーペのG161W型4気筒DOHCだ。1970年のショーには、丸目4灯式ヘッドライトのMX1600が登場。市販が期待されたが、叶わなかった。

リトラ&ガルウイングの和製スーパーカー

 1970年(第17回)マツダ RX500
マツダの創立50周年を記念して製作された、ロータリーエンジン搭載のエクスペリメンタルカーだ。リトラクタブル式ヘッドライトやガルウイングドアを採用し、ボディなどには積極的にFRPなどの軽量部材を使用している。ミッドシップに搭載するのは10A型2ローターREだが、3ローターや4ローターの搭載も考えていた。コスモスポーツの後継モデルと噂されたが、未完に終わっている。

車中泊ブームを先取り!?

 1972年(第19回)トヨタ RV-2
1971年のショーに出品したトヨタRV-1の続編として企画されたコンセプトカーが「トヨタRV-2」だ。時代に先駆けて提案したステーションワゴン型のキャンピングカーで、最大の特徴はサイドパネルとガラスが上に向けて大きく開くクラムシェルルーフを採用していることである。前後シートはフルフラットになるうえ、その後方の空間も広いので、4名が寝られるテント状の就寝スペースに早変わりした。

軽量軽快なライトウエイトスポーツ

 1985年(第26回)スズキ R/S1
スズキ渾身の力作が1985年のショーでベールを脱いだ「R/S1」だ。フルオープンのライトウエイトスポーツで、ドライバーの背後にカルタスの1.3リッターエンジンをDOHC16バルブ化して搭載した。サスペンションはダブルウイッシュボーンとストラットの組み合わせだと発表されている。720kgの軽量ボディゆえに、痛快なハンドリングを楽しめたはずだ。要望は多かったが市販されず、後に軽自動車の「カプチーノ」が発売された。

驚異の300km/h超えを達成!

 1987年(第27回)三菱 HSR
大胆なデザインで話題をさらったコンセプトカーが、三菱の「HSR」だ。搭載するのは、ギャランとランタボに積まれて知名度を高めた4G63型DOHCツインターボで、カリカリにチューニングされている。4WD、4WS、4ABS、アクティブECSなど電子制御デバイスもてんこ盛りだ。空気抵抗係数も驚異的なCd=0.20。実際に谷田部の高速試験場では323km/hをマークし、平成の時代まで発展型HSRがショーを彩った。

小排気量V6のミッドシップ

 1987年(第27回)ダイハツ TA-X80
長い歴史を誇り、三輪トラックの分野でも高い技術力で知られたダイハツの力作が「TA-X80」だ。創立80周年を記念して製作され、ミッドシップにトルクスプリット式4WDを組み合わせている。驚かされるのはパワーユニットだ。なんと排気量996ccながら、V型6気筒DOHCツインターボを搭載。最高出力は130馬力/9000rpmと発表されている。ナビや通信システムも装備するなど、最先端メカも満載だ。

EVやソーラー発電や着せ替えボディまで考えられていた!

 1954年に始まった日本のモーターショーの長い歴史においてはさまざまなコンセプトのクルマが発表されてきた。なかには、時を経て実用化されたものもあるが、その多くはあまりに突飛なコンセプトによりいまだ実現されていない。

時代を先取り!? EVコンセプトなクルマたち

 コンセプトカーは走行特性に主眼を置いたモデルばかりではない。ここでは現在に続くEVや再生可能エネルギーをテーマにしたコンセプトモデルを紹介する。

ソーラー充電も装備したEVコンセプト

 日産 FEV
1991年(第29回)に出展された日産のEVコンセプトカー。超急速充電を可能とし、40%までの充電を最短6分と短縮。ソーラールーフ発電は、快晴が続けば1週間で約50km分の充電が可能という。

MX-30のご先祖さま!?

 マツダ EX005
RX500とともに1970年(第17回)に登場したロータリーのハイブリットカー。200ccの1ローターエンジンに左右2個のモーターを組み合わせる。なお背中合わせに乗って4人の乗車が可能だ。

ダイハツの先見性を感じるEVカー

 ダイハツ BCX-III
1973年(第20回)にダイハツは電気自動車のBCX-IIIを展示。ベース車両はコンソルテクーペで、乗車定員は3名。最高速度は80km/h、最大航続距離は80kmだった。室内には電話やテレビなどを装備していた。

未来感バツグンのオープンカー

 トヨタ AVALON
1991年(第29回)にトヨタが発表したキャルティ・デザイン・リサーチによる4人乗りのオープンカー。リヤキャノピーには太陽光エネルギーを利用してバッテリーに蓄電する「多結晶シリコン太陽電池」を搭載した。

いま見ても斬新! オモシロコンセプトなクルマたち

 コンセプトカーの”コンセプト”とは、つまり「概念」や「構想」という意味。モーターショーの花形ともいえる、思わず「これぞコンセプトカー!」とうなってしまうような個性派モデルをセレクト!

未来のクルマってこういう感じ

 トヨタ ドリームカー
1965年(第12回)にトヨタがデザインスタディとして展示したらしい、その名も「ドリームカー」。全長2mの超ロングノーズ&ショートデッキが特徴。ちなみにこの年はトヨタ2000GT試作車も展示された。

着せ替えできるスポーツカー

 マツダ MX-04ロードスター
世界屈指のモーターショーになりつつあった1980年代後半。1987年(第27回)にマツダが発表したのは着せ替えのできる「モジュラー・スポーツカー」。ショー会場では実際に着せ替えを実演した。

ふたり乗りシティコミューター

 ホンダ EP-X
平成に入ると、コンセプトカーはより洗練され、コンセプトも明確になっていった。1991年(第29回)ではオールアルミボディを採用したEP-Xをホンダが発表。バイクのように前後に乗るスタイルだった。

使い勝手バツグンのスーパーカー

 いすゞ COMO
3.5リッターV12エンジンをミッドに搭載したいすゞ製スーパーカー……だが、乗車定員は4名で、後部にはピックアップのような広大なラゲッジスペースが用意されてる。1991年(第29回)に登場した。

※本記事は雑誌「CARトップ2025年12月号」の記事を再構成して掲載しています