名古屋にうまいものなし、と言われる。本当か。会食専門家のyuuuさんは「名古屋めしは、味が濃い、大味、B級グルメなど大雑把なイメージで語られがちだ。しかし、それは名古屋の食文化のほんの一面に過ぎない」という--。
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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/7maru

■ほとんどの人が知らない名古屋の食の「真の姿」

今年7月、料理研究家のリュウジさんがSNS投稿をきっかけに大炎上し、謝罪に追い込まれるという出来事がありました。

内容は「あーーーごめんなさい名古屋はマジで美味しい店ないです東京よりないです。マジで名古屋の美味しい店教えてほしい、名古屋の人に旨いもん聞くとチェーン店勧めてくるから食に興味ない人多そう」というもの。この投稿は、名古屋の食文化を愛する多くの人々の反感を買い、大きな議論を巻き起こしました。

会食専門家として全国を飛び回り、かつては電通で名古屋のテレビ局を担当していた私から見ても、名古屋の食の「真の姿」を捉えきれていないと感じました。

名古屋の食文化は外から来た人にとって少し特殊に映るかもしれません。しかし、「おいしい店がない」と切り捨てるのはあまりにも早計です。名古屋には、他県の人にはまだ知られていない、驚くほどレベルの高い名店が数多く存在しているのです。

本稿では私が実際に足を運んで感動した「本物の名古屋めし」の魅力をお伝えします。

■他県から「誤解」されやすいワケ

なぜ名古屋の食文化は他県の人から誤解されやすいのでしょうか。

その背景には、名古屋という土地が持つ歴史と産業の特性が深く関わっています。名古屋は江戸時代から、たまり醤油や八丁味噌といった独特の発酵文化が根付いている土地でした。それに加えて、製造業や商業が盛んな街として発展してきた歴史があります。

そのため、労働で疲れた身体を癒すために、味が濃くてカロリーを素早く摂取できる、わかりやすいおいしさが求められる土壌があったのです。

さらに「名古屋めし」と聞いたときに、あんかけスパゲッティ、ひつまぶし、台湾ラーメンなど、ジャンルがあまりにも多岐にわたり、カテゴリーとしての統合性がないことも誤解を生む要因です。

その結果、他県の人の頭の中では、名古屋めし=「味が濃い」「大味」「B級グルメ」という大雑把なイメージだけで片付けられてしまうことが少なくありません。しかし、それは名古屋の食のほんの一面に過ぎず、その裏には全く異なる顔を持つ極上の食空間が広がっているのです。

■東京では食べられない「本場の味」

ここからは、私が自信を持っておすすめする「本当においしい名古屋めし」を具体的に紹介していきましょう。

まずは名古屋めしの代表格であるウナギ(ひつまぶし)です。

名古屋に足を運んだら絶対に食べていただきたいのが【うなぎ家 しば福や】です。ここのウナギは、とにかく焼きの技術がダントツで高く、脂の旨味が格別です。とくに白焼きは感動を覚えるほどのおいしさで、これだけでも名古屋を訪れる価値があります。

そして、外せないのが「味仙」の台湾ラーメンです。味仙は名古屋市内や東京に複数の店舗がありますが、私が強くおすすめするのは【矢場味仙】です。

味仙は創業家の兄弟がそれぞれ独立して店舗を構えているため、お店によって全く味が異なります。その中でも矢場味仙は、いい意味でクセが強く、ニンニクがガツンと効いたパンチのある味わいが特徴です。「アフリカン」や「イタリアン」といった独特な名前が付けられた辛さのバリエーションもあり、本場のパワーを存分に体験できます。

■実は「フレンチ」のレベルが高い街

B級グルメのイメージが先行しがちな名古屋ですが、客単価が1万円を超えるような高価格帯のお店に目を向けると、日本を代表するような名店がひしめき合っています。

会食や接待で重宝する和食のジャンルでは、予約が極めて困難な【吉い】や、すばらしいクオリティでありながら比較的使い勝手の良い【ふじ原】などが挙げられます。どちらも東京の超高級店に引けを取らない洗練された味わいです。

また、意外に思われるかもしれませんが、名古屋はフレンチのレベルが非常に高い街でもあります。とくに新栄町エリアには名店が集まっており、【壺中天】などの有名店が名を連ねています。

中でも私のお気に入りは【アリーニュ】というレストランです。こちらはシェフがパティシエ出身ということもあり、料理だけでなくスイーツの完成度も群を抜いています。建物の1階で食事を楽しんだあと、2階に移動してスイーツをいただくという空間の演出も心憎い計らいです。

写真=iStock.com/wundervisuals
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/wundervisuals

これだけの体験を東京で求めれば、おそらく1.5倍の費用はかかるでしょう。驚くほど良心的であり、遠方からでも足を運ぶ価値は十分にあります。

■地元の食通たちが通う「究極の締め料理」

おいしい食事とお酒を堪能したあと、名古屋ならではの「締め料理」として地元の人々に愛されているメニューがあります。それはなんと、カレー煮込みうどんです。

名古屋の締めといえば味噌煮込みうどんを連想する方が多いかもしれませんが、お酒を飲んだあとの業界人や食通たちがこぞって足を運ぶのは【麺処 龍】というお店のカレー煮込みうどんなのです。

夜遅い時間帯でも店内は賑わっており、日本全国の締め料理ランキングがあったら間違いなく上位に食い込むであろう、クセになるおいしさです。スパイシーなカレーの香りとコシのあるうどんが、飲んだ後の身体にじんわりと染み渡ります。

もうひとつ、名古屋のディープな夜を体験したい方におすすめなのが【ピカイチ】という中華料理店です。ここは中日ドラゴンズファンの聖地として知られており、選手や芸能人もお忍びで訪れる名物店です。

料理の味もさることながら、ドラゴンズ愛に溢れた店内の熱気と独特の活気は、名古屋の文化を肌で感じられる空間として会食のあとの二軒目にも最適です。

yuuuさんへの取材を基に編集部作成

■「本物のおいしさ」に出会うには

ここまで名古屋の食の奥深さについて語ってきました。「名古屋にはおいしいお店がない」という評価は、単にその土地の歴史や文化に根ざした食のグラデーションを知らないだけです。

yuuu『ビジネス会食 完全攻略マニュアル すべての食事会を成功に導く最強の実務メソッド』(ダイヤモンド社)

味が濃く親しみやすい大衆的なB級グルメから、特別な日に訪れたい洗練された極上のレストラン、ディープで熱気あふれる地元密着型の名物店まで、名古屋というひとつの街の中にこれほどまでに多様な食の体験が詰まっています。そして、そのどれもが独自の進化を遂げ、確固たる魅力を持っています。

インターネット上の表面的な情報や、一部の偏ったイメージだけで判断してしまうのは、あまりにももったいないことです。もし次に名古屋を訪れる機会があれば、ぜひ固定観念を捨てて、ご自身の足と舌で新たな食の扉を開いてみてください。

街の文化を理解しようという姿勢で食事に向き合えば、きっとこれまで気づかなかった「本物のおいしさ」に出会えるはずです。名古屋の食のポテンシャルは、まだまだ計り知れません。

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yuuu(ユウ)
会食専門家・幹事研修講師
京都大学大学院修了後、非体育会系・アルコールに弱いにもかかわらず、新卒で電通に入社。入社当時は競合代理店である「博報堂の回し者」と社内で揶揄されるほどの落ちこぼれであったが、先輩の言葉をきっかけに会食に全力で取り組むように。最大28回会食/月に及ぶ苦戦苦闘の末に、すべての会食・食事会を誰もが成功に導くことができる、徹底的に実務に即した体系的な会食ノウハウ=「会食メソッド」を独自に生み出す。その後、自らセッティングした会食をきっかけに、念願のスタートアップ企業に就職。「会食メソッド」の一部を公開したnoteは大きな反響を呼び、noteでは異例の約30万PVを達成。X(旧Twitter)フォロワー数4万1500人(2025年5月時点)。著書に『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』(ダイヤモンド社)がある。
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(会食専門家・幹事研修講師 yuuu 構成=プレジデントオンライン編集部)