〈中高生3人死亡〉助けに入った友人も流された…「危ない場所には最初から行かない」現役ライフセーバーが警告する“海で絶対にやってはいけないこと”

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夏休みの終わりを目前に、鹿児島県いちき串木野市で痛ましい水難事故が起きた。報道によると8月28日午後、照島神社付近の海で遊んでいた男子中高生ら5人のうち、4人が沖へ流された。最初に2人が溺れ、助けようと海に入った中学生2人も流されたという。

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12歳の男子中学生は救助されたが、高校生の下夷春樹さん(17)、弟で中学生の健誠さん(13)、竹本敬浩さん(14)の3人が死亡した。毎年のように繰り返される海や川での事故。水難事故から命を守るために知っておくべきこととは。

「泳ぎに自信がある人でも、離岸流には逆らえない」

今回、4人が沖へ流された原因が離岸流だったかどうかは、現時点では明らかになっていない。ただ、現場付近は離岸流が発生する可能性のある海域とも報じられている。

海での水難事故を考えるうえで、まず知っておきたいのが、この「離岸流」だ。

離岸流とは、海岸に打ち寄せた海水が沖へ戻る際に生じる、岸から沖に向かう強い流れのこと。海上保安庁によると、幅は10~30メートルほどで、場所によっては流れの速さが秒速2メートル程度に達することもあるという。

しかも厄介なのは、岸から海を眺めただけでは、その危険性に気づきにくいことだ。

海では「泳げるから大丈夫」という感覚をいったん捨てる必要があると、ライフセーバー歴25年の40代元消防士は話す。

「海で怖いのは、見た目がそれほど荒れていなくても流れがあることです。特に離岸流は岸から沖へ向かうので、一生懸命泳ぐと流れに逆らい続けることになります。『泳いでも泳いでも岸に近づかない』と感じると、人は焦ります。さらに泳ぎに自信がある人ほど、『自力で戻れる』と思って頑張りすぎてしまう。

離岸流に流されたと感じたら、まず慌てないこと。岸に向かって一直線に泳ぎ続けるのではなく、海岸線と平行に泳いで流れから外れる。泳ぐのが難しい場合は、無理に体力を使わず、浮いて救助を待つことも大切です」

海上保安庁なども、離岸流に巻き込まれた場合には、流れに逆らって岸へ戻ろうとせず、海岸と平行に泳いで流れから抜けることを呼びかけている。

そして、流されている人を見つけた側にも注意が必要だ。

「友人が流されれば、すぐ泳いで追いかけたくなると思います。でも、その人が離岸流に巻き込まれているなら、助けに行った人まで同じ流れに入る可能性があります。

まず周囲に助けを求めて、海なら118番に通報する。浮くものがあれば投げ渡す。自分まで要救助者にならないことが大切です」(前同)

海では、自分の泳力を上回る流れが存在することを知っておく必要があるが、より強く訴えるのは、流された後の対処だけではない。

そもそも、事故が起きやすい場所に近づかないこと。では、海や川で「危ない場所」はどう見分ければいいのか。

「一番大切なのは危ない場所には最初から行かないこと」

もちろん、水難事故への最善の対策は、そもそも事故に遭う可能性をできる限り下げることだ。海や川には、一見すると穏やかでも、岸からは分からない危険が潜んでいる。

海では離岸流のような強い流れが発生することがあり、川でも場所によって水深や流速が大きく異なる。晴れている場所でも、上流で雨が降れば水位が急激に上昇する場合がある。

水辺へ遊びに行くときほど「危険かどうかを自分の感覚だけで判断しないでほしい」と強調する。

水難事故を防ぐうえで一番大切なのは、危ない場所には最初から行かないことです。立入禁止や遊泳禁止の表示がある場所には入らない。当然のことのようですが、『ちょっとだけなら』『ほかの人も入っているから』と考えてしまうことがある。

でも、看板や柵が設置されているのには理由があります。また、禁止表示がなくても、波が高い、流れが速い、増水しているなど、いつもと様子が違うと感じたら入らないことです。せっかく遊びに来たからと無理をする必要はありません。危ないと思ったら帰る。その判断が命を守ります。

特に海や川では、見た目だけで安全を判断するのは難しい。水面が静かに見えても、場所によって急に深くなっていたり、強い流れが発生していたりすることがあります。事前に天気や波、水位などを確認して、現地の注意表示にも必ず従ってください」(前同)

また、水辺では一人で行動しないことも重要だ。

「海や川では、複数人で来ていても、それぞれが勝手に動くのではなく、互いの位置を確認してください。少し離れただけと思っていても、流されれば短時間で距離が開くことがあります。

ライフジャケットを着用する、天候や波の情報を確認する、危険な場所には近づかない。こうした基本的なことを面倒だと思わないでほしいんです。水難事故では、危険な状況になってからできることには限界があります。だからこそ、その一歩手前で引き返すことが大切なんです」(前同)

「せっかく来たから」と海や川に入る必要はない。危険を感じたときに遊ぶことをやめられるか。その判断もまた、水難事故から命を守るための重要な技術なのである。

取材・文/集英社オンライン編集部