“りくりゅう”こと三浦璃来と木原龍一ペア(時事通信フォト)

写真拡大

 フィギュアスケート・ペアの三浦璃来(24)と木原龍一(34)、通称"りくりゅう"が8月23日、婚約を発表した。世界の頂点を目指し、ともに歩んできた2人のうれしい報告には多くの祝福が寄せられている。

【写真を見る】「これは付き合ってる距離感…」婚約前からこんなに接近、“りくりゅう”の親密ショット

 その一方、SNSやネット掲示板では意外な反応も見られた。「恋人だったとわかったら、途端に普通の男女に見えてしまった」「恋人ではないのに、あれだけ信頼し合っている関係だから素敵だった」「なんだか魔法が解けた感じ」──。

 長年、競技パートナーとして唯一無二の関係性を築いてきた2人。リンクの上ではもちろん、リンク外でもハグをしたり、じゃれ合ったりと親密な姿をたびたび見せてきた。

 だからこそ、以前から2人の交際を予想する声もあった。それでも、実際に「婚約」という答えが示されると、祝福だけでなく「冷めた」という感情まで生まれてしまったのはなぜなのか。

 早稲田メンタルクリニック院長で精神科医の益田裕介氏は、2人の関係に感じられていた"希少性"を指摘する。

「恋人ではないのに深く信頼し合う男女という関係は、日常ではあまり見られないものです。『オリンピック選手ほどのスポーツマンであれば、男女の垣根を超えて信頼し合えるのか』と興味を持っていた人もいたのでしょう。それが恋愛だったとわかると、途端に日常的で、珍しいものではなくなり、興味の対象から外れてしまったのだと思います」

 恋愛関係ではない競技パートナーだからこそ、言葉では説明しきれない結びつきがあるように見えた。しかし婚約によって、その関係に「恋人」というわかりやすい名前がついたわけだ。

 さらに益田氏が挙げるのが、「想像の余白」だ。

「付き合っていないと聞いていたからこそ、若い男女の行く末を想像することができた。それが恋人だと知らされ、想像の余白がなくなったことで、途端に『陳腐になった』と感じる人もいるのだと思います」

 そして婚約発表後には、過去の2人の姿をめぐってこんな反応も出ている。以前から見せてきた2人のハグや親密なやりとりを振り返り、「結局公然イチャイチャを見せられてたってこと?」「恋人だったと思うと生々しい」といった声だ。

過去の映像まで「生々しく」見える理由

 同じ映像なのに、"2人が恋人だった"と知っただけで、なぜ見え方まで変わってしまうのか。

「記憶は録画のように固定されたものではなく、思い出そうとするたびに、最新の知見も含めて再構成されるものです。『婚約』という情報が加わったことで、以前は競技パートナーの信頼表現として理解していたものが、恋人同士の表現としてしか見えなくなったのでしょう」

 以前なら「固い信頼関係を築いたペアだからこそのスキンシップ」と受け取れたものが、婚約を知ったあとでは「恋人同士のスキンシップ」に見える。

 益田氏は、日本では人前でのスキンシップを好ましく思わない人も多いことから、それが「気持ち悪い」という反応につながった可能性も指摘する。

 もちろん、2人は婚約発表によって初めてプライベートな関係を公にしたにすぎない。それでも、見る側が作り上げてきた"りくりゅう像"は、たったひとつの事実によって姿を変えることがある。

「恋人ではない2人だからこそ特別だった」──そんな見る側の想像もまた、"りくりゅう"というペアの魅力の一部になっていたのかもしれない。