若年性更年期障害とは?あらわれやすい症状や考えられる原因、婦人科で受けられる対処法を解説
更年期の不調は、閉経が近い世代に起こるものと思われがちです。しかし、20代や30代でも、更年期に似た症状に悩まされることがあり、若年性更年期障害と呼ばれることがあります。年齢が若いからと見過ごしてしまい、つらさを我慢している方も少なくありません。ここでは、若年性更年期障害であらわれやすい症状や考えられる原因、婦人科で受けられる対処法について解説します。
監修医師:
中里 泉(医師)
2008年宮崎大学卒業後、東京都立大久保病院にて初期研修。東京大学医学部付属病院産婦人科に入局。東京大学医学部付属病院、東京北医療センター、JR東京総合病院などの勤務を経て、現在は生殖医療クリニックに勤務。日本産科婦人科学会専門医。
若年性更年期障害とは

若年性更年期障害は、若い世代にあらわれる更年期に似た不調を指す呼び方です。ここでは、その特徴について解説します。
一般的な更年期との違い
一般的な更年期は、閉経の前後にあたる45歳から55歳ごろに起こることが多いとされています。卵巣のはたらきが低下し、女性ホルモンの分泌が減っていくことで、心身にさまざまな不調があらわれます。年齢とともに自然に訪れる変化のひとつです。
これに対して、若年性更年期障害は、まだ更年期にあたらない若い世代に、更年期と似た症状があらわれる状態を指します。同じような症状に見えても、原因や背景は年代によって異なることがあります。そのため、症状だけで判断せず、原因を確かめることが大切です。気になる不調が続くときは、婦人科で相談してみるとよいでしょう。
20~30代でも起こることがある
更年期のような不調は、20代や30代でも起こることがあります。若い世代では、ストレスや無理なダイエット、生活習慣の乱れなどによって、女性ホルモンのバランスが崩れることがあるためです。年齢が若いからといって、無関係とは言い切れません。
なかには、通常よりも早い時期に卵巣のはたらきが低下し、更年期に近い状態になっている場合もあります。こうした状態が関わっていると、月経の乱れや、ほてりなどの症状としてあらわれることがあります。
若い世代の場合、更年期の不調だとは思い至らず、原因がわからないまま過ごしてしまうこともあるでしょう。気になる症状が続くときは、年齢にとらわれず、一度相談してみることが大切です。
症状の後ろにほかの病気が隠れていることもある
若年性更年期障害に似た症状は、ほかの病気によって起こっていることもあります。たとえば、甲状腺の病気や貧血、心の不調などでも、だるさや気分の落ち込みといった、似たような症状があらわれることがあります。
そのため、更年期の不調だと自分で決めつけてしまうのは避けるべきです。ほかの病気が隠れている場合、その病気に応じた対応が必要になることがあります。原因を確かめないまま過ごすと、対応が遅れてしまうこともあります。
婦人科では、症状の背景に何があるのかを、検査を通して調べていきます。似た症状でも原因はさまざまなため、専門的に確認してもらうことが大切です。気になるときは、早めに相談しておくと安心です。
若年性更年期障害であらわれやすい症状

若年性更年期障害では、心と身体の両面に症状があらわれることがあります。ここでは、あらわれやすい症状について解説します。
ほてりや発汗
若年性更年期障害では、ほてりや発汗といった症状があらわれることがあります。急に顔や身体が熱くなる、汗が出るといった状態は、ホットフラッシュと呼ばれることもあります。季節や気温に関係なく起こることがあるのが特徴です。
こうした症状は、女性ホルモンのバランスの乱れが関わって起こると考えられています。突然あらわれることもあり、人前で汗が出ることを気にしてしまう方もいるでしょう。日常生活のなかで、負担に感じることもあります。
ほてりや発汗は、ほかの原因でも起こることがあります。症状だけで判断するのは難しいため、続くようであれば、婦人科へ相談しましょう。原因を確かめることが、対処への第一歩になります。
気分の落ち込み
気分の落ち込みや、イライラ、不安感なども、あらわれやすい症状のひとつです。理由がはっきりしないのに気分が沈む、ささいなことで落ち込むといった変化に、戸惑う方もいるでしょう。
こうした心の症状も、ホルモンのバランスの変化が関わって起こることがあると考えられています。気持ちの問題として片づけてしまいがちですが、身体の状態が背景にあることもあります。自分を責める必要はありません。
一方で、心の不調は、更年期に似た状態以外の原因で起こることもあります。つらさが続くときは、ひとりで抱え込まず、相談することが大切です。必要に応じて、心の不調を扱う診療科と連携することもあります。
月経周期の乱れ
月経周期の乱れも、若年性更年期障害で見られやすい症状です。周期が不規則になる、月経の量が変わる、月経が来ない期間が続くといった変化があらわれることがあります。若い世代では、こうした変化に気づきやすいでしょう。
月経の乱れは、女性ホルモンのバランスが関わって起こることがあります。ただし、ほかの原因や病気によって起こる場合もあるため、注意が必要です。妊娠の可能性など、確認しておきたいこともあります。
月経の状態は、身体のサインのひとつです。以前と違う、乱れが続くと感じたときは、そのままにせず、婦人科で相談してみましょう。記録をつけておくと、受診の際に状態を伝えやすくなります。
若年性更年期障害で考えられる主な原因

若年性更年期障害には、いくつかの原因が関わると考えられています。ここでは、主な原因について解説します。
女性ホルモンの分泌の乱れ
若年性更年期障害の背景には、女性ホルモンの分泌の乱れがあると考えられています。女性ホルモンは、脳と卵巣が連携しながら分泌を調整しています。このバランスが崩れると、心身にさまざまな不調があらわれることがあります。
若い世代では、卵巣のはたらき自体は保たれていても、ホルモンの調整がうまくいかなくなることがあります。また、なかには、通常より早く卵巣のはたらきが低下している場合もあるでしょう。原因によって、対応の仕方は変わってきます。
ホルモンの状態は、検査によって調べることができます。分泌の乱れがどの程度あるのかを確かめることで、対処の方向性が見えてきます。気になるときは、婦人科で相談してみるとよいでしょう。
過度なストレスや生活習慣の影響
過度なストレスや、生活習慣の乱れも、症状に関わると考えられています。強いストレスが続くと、ホルモンの分泌を調整する脳のはたらきに影響し、バランスが崩れることがあります。心と身体は、互いに影響し合っています。
睡眠不足や不規則な生活、疲労の蓄積なども、症状を強める要因になることがあります。忙しい毎日のなかで、こうした負担が積み重なっていることもあるでしょう。自分では気づきにくいこともあります。
生活習慣は、見直すことのできる部分でもあります。すべてを一度に変える必要はありませんが、できるところから整えていくことが、症状の軽減につながることもあります。無理のない範囲で取り組んでみましょう。
無理なダイエットや急激な体重変化
無理なダイエットや、急激な体重の変化も、女性ホルモンのバランスに影響することがあります。極端な食事制限によって栄養が不足すると、身体がホルモンの分泌を抑えてしまうことがあると考えられています。
体重が短い期間で大きく変わると、月経が乱れたり、止まったりすることもあります。見た目を整えようとした結果、かえって体調を崩してしまうこともあるでしょう。身体にとって、急な変化は負担になりやすいものです。
健康的に体重を管理するには、バランスのよい食事と、無理のない方法が大切です。ダイエットのあとに月経の乱れなどが続くときは、婦人科で相談してみましょう。自己流で続ける前に、専門家の意見を聞くことがすすめられます。
若年性更年期障害への主な対処法

若年性更年期障害への対処には、いくつかの方法があります。ここでは、婦人科で受けられる主な対処法について解説します。
婦人科での検査と診断
対処の第一歩は、婦人科での検査と診断です。問診で症状や月経の状況、生活の様子などを確認したうえで、必要に応じてホルモンの状態を調べる検査などを行います。症状の背景を確かめることが大切です。
検査によって、女性ホルモンの分泌の状態や、ほかの病気が隠れていないかを調べていきます。原因がわかることで、その人に合った対処の方向性が見えてきます。似た症状でも、原因によって対応は変わります。
自己判断で対処を始める前に、まずは原因を確かめることが大切です。何が症状を引き起こしているのかがわかると、安心につながることもあるでしょう。気になる症状が続くときは、早めに受診しておくとよいでしょう。
生活習慣の見直しによるセルフケア
対処の基本となるのが、生活習慣の見直しです。十分な睡眠をとる、バランスのよい食事を心がける、適度に身体を動かすといった工夫が、症状の軽減に役立つことがあります。生活のリズムを整えることが土台になります。
あわせて、ストレスをためこまない工夫も大切です。自分なりにリラックスできる時間をもつことが、心と身体の負担をやわらげる助けになるでしょう。完璧を目指さず、続けられる形で取り入れることがポイントです。
生活習慣の見直しだけで、症状が楽になることもあります。ただし、無理をして続かなくなっては意味がありません。できることから、少しずつ取り入れていくことが大切です。
症状に応じた薬物治療
症状に応じて、薬を用いた治療が行われることもあります。症状や体質に合わせて、漢方薬などが使われることがあります。心の症状が強い場合には、それに応じた薬が検討されることもあるでしょう。
薬による治療は、医師の診断のもとで行われます。市販薬で対応している方もいますが、自己判断で使い続けると、かえって体調を崩すこともあります。気になる症状が続くときは、婦人科で相談することが大切です。
どの薬が向いているかは、症状の種類や程度、体質によって変わります。ほかに使っている薬や持病がある場合は、あらかじめ医師に伝えておきましょう。効果や副作用を確認しながら、調整していきます。
ホルモン補充療法
ホルモン補充療法は、不足している女性ホルモンを補うことで、症状の軽減をはかる方法です。ほてりや発汗などの症状に対して用いられることがあります。原因や状態に応じて、検討される治療のひとつです。
ただし、ホルモン補充療法は、すべての方に同じように行えるわけではありません。年齢や体質、持病によっては、向かないことや、慎重に判断すべき場合もあります。治療を検討する際は、医師とよく相談することが必要です。
治療を始めたあとも、定期的に受診し、体調や効果を確認していきます。気になる変化があるときは、そのままにせず、早めに相談しましょう。自分に合った方法を、医師と一緒に見つけていくことが大切です。
受診を考えるときの目安

どのタイミングで受診すればよいか、迷うこともあるでしょう。ここでは、受診を考えるときの目安について解説します。
日常生活に支障を感じる場合
症状によって、仕事や家事、人間関係などに支障を感じる場合は、受診を考える目安になります。集中できない、気分の波が大きい、疲れて動けないといった状態が続くと、生活の質にも関わってきます。
つらさを我慢し続けると、心身の負担が積み重なってしまうこともあります。年齢が若いからと、自分で抱え込んでしまう方もいるでしょう。しかし、支障を感じているのなら、それは相談してよいサインです。
生活に影響が出ているかどうかは、受診を判断するうえでの大切な手がかりです。無理をせず、つらいと感じるときは、婦人科に相談してみましょう。
症状が数か月以上続く場合
一時的な体調の変化であれば、時間とともに落ち着いていくこともあります。一方、症状が数ヶ月以上にわたって続く場合は、一度受診して確かめておくことがすすめられます。長く続く不調は、そのままにしないほうがよいでしょう。
症状がいつから続いているのかを振り返ることは、受診の目安になります。はっきり覚えていない場合は、これから記録をつけていくとよいでしょう。経過がわかると、受診の際に状態を伝えやすくなります。
長引く症状の背景には、ホルモンの乱れだけでなく、ほかの原因が関わっていることもあります。原因を確かめるためにも、続く不調は相談しておくことが大切です。
市販薬やセルフケアで改善しない場合
市販薬やセルフケアで様子を見ても、症状がよくならない場合は、受診を考える目安になります。自分なりに対処してみても改善しないときは、別の原因が関わっている可能性もあります。
自己判断での対処を続けるうちに、受診のきっかけを逃してしまうこともあります。よくならないと感じたら、無理に自分で解決しようとせず、専門家に相談することが大切です。
婦人科では、症状の原因を調べ、状態に合った対処を検討します。セルフケアで手応えがないときこそ、一度相談してみるとよいでしょう。早めの受診が、安心につながることもあります。
まとめ
若年性更年期障害は、20代や30代の若い世代に、更年期に似た症状があらわれる状態を指す呼び方です。ほてりや発汗、気分の落ち込み、月経周期の乱れなどがあらわれやすく、女性ホルモンの分泌の乱れや、ストレス、無理なダイエットなどが関わると考えられています。ただし、似た症状はほかの病気で起こることもあるため、自己判断は禁物です。婦人科での検査や診断、生活習慣の見直し、症状に応じた薬物治療、ホルモン補充療法などの対処法があります。日常生活に支障がある、症状が長く続く、セルフケアで改善しないといった場合は、我慢せずに婦人科へ相談してみましょう。
参考文献
早発卵巣不全患者の治療選択プロセス:不妊治療を施行した8症例を対象とした複線径路・等至性モデルによる質的研究
最近の更年期障害の管理

