「水戸黄門」でも「相棒」でもない――心霊系YouTubeで俳優・原田龍二が「霊に触られたいし、取り憑かれたい」を目指す理由

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硬派な二枚目俳優として知られる原田龍二。コロナ禍でスタートした自身のYouTubeチャンネル「ニンゲンTV」も6年目に突入した。温泉から心霊テーマへ転換し、ありのままの原田さんの姿が映し出される同チャンネルは約39万人が登録する人気コンテンツだ。

前半記事『原点は伝説の霊能力者と恐怖の金縛り体験−−心霊スポットYouTuberとして活躍する「俳優・原田龍二」が見せた「もう一つの顔」』ではチャンネル開設秘話について聞いた。

特に原田さんが長年、関心を持ち続けているのが“心霊”。その思いについてさらに掘り下げていく。

インチキをするくらいならやらない!

1992年のデビュー以降、『相棒』や『水戸黄門』など数々のドラマや映画、舞台のヒット作に出演し、硬派な二枚目俳優としての地位を確立してきた。その一方で、芸能界屈指の温泉通としても知られ、温泉にまつわる著書の出版や、自身がプロデュースする入浴剤を手がけるなど、その活動は多岐にわたる。

そんなマルチな活躍を見せる原田さんが新たな場として選んだのがYouTubeだった。

原田龍二の『ニンゲンTV』」は2020年にスタートしたYouTubeチャンネルで、現在、登録者数は約39万人。全国各地の心霊スポットやいわくがある場所へ"体当たり潜入"し、幽霊や不可思議な現象の真相に迫っていくのが主な内容だ。画面越しでも漂う緊張感と、原田さんの飾らない人柄や旺盛な探求心がチャンネルの魅力になっている。“硬派な二枚目俳優とオカルト”--その意外なタッグに驚いたファンも少なくないはずだ。

―硬派な役者というイメージが強い、原田さんには意外な一面のように感じます。

「『なんで原田が!?』と驚かれた方もいたでしょうね。僕は霊能者でもないし、“視える人”でもないです。

ただ、始めてから『心霊コンテンツの動画は役者が一番やってはいけないジャンルかもしれない』と気付きました。僕が会いに行く相手は“目には見えない存在”で、役者はそれに対して演技ができてしまいますから」

―つまり、“やらせ”ができるってことですね。

「僕はそんな演技は絶対にしたくないし、そんなインチキをするくらいなら心霊番組なんてやりません。僕は単純にオバケが見たいんです。

小さい頃から興味があったし、『目に見えない世界がある』というのは確信しています。それを大前提とした一方で、心霊写真やよくわからない不鮮明な映像の類いは一切信じていないタイプなんです」

―金縛りという実体験があるのに信じていなかったんですか。矛盾しているようにも感じますが……。

「ええ。実体験があったにも関わらず、テレビの心霊映像は否定的に見ていたわけです。だからこそ、そんな自分がガチでやる姿を見せたら、視聴者にも『これは信憑性あるんじゃないか』と、感じてもらえるのではないかと。その思いで今日までやっていますが……いまだに見えないですけどね」

心霊スポットには全裸で行く方がいい

―毎回見えないまま企画が続いている、というのもすごく面白いですね。

「当然、『見えない葛藤』もあります。自分は『霊を見たい』という意識でやっているので。でも、最近どこかで『これ見えちゃったら面白くないな』と思い始めていて。『見たい』『見えないほうがいい』、『でも見たい』『いや見えたらどうしよう』という気持ちが錯綜しています」

―もし見えたら、番組としてゴールになるのでは?

「むしろ新たなジャンルが開けるのではないか、と思っています。霊体にもいろいろな種類がいるようですし。単に『見える』だけではなく、さらなる能力の開化があるかもしれない。そうなれば、霊とセッションができるのではないか、次のフェーズに行けるのではないか、と思って。ですから、霊が見えるようになったからゴール、ではなく、番組は続いていくと考えています。そんな兆しは一切ないので、まだ遠い先の話ですけど(笑)」

心霊スポットなどを訪れる際、未知への期待はあっても「ちょっと怖いから行きたくない」と躊躇することはありますか?

「それだったらこのコンテンツはやっていません。苦痛ですから。そもそも『興味があって、続けられるもの』というのがこのコンテンツの始まりなので、『行かない』という選択肢はありません。それは、多分、僕が心霊的な意味での怖い思いをしたことがないから。そういう感情は、きっと想像や先入観からきているものなんだろうけど、今の僕にはそれがない。ただ、暗闇に突き進んで行くと、視覚という五感の一つが奪われているので『見えない怖さ』を感じることはあります」

―では、原田さんが「怖い」と感じるものは?

廃墟でコンクリートブロックが落ちてきたり、建物が崩壊したりしそうなところは『これ当たったら死ぬな』と、恐怖を感じます。

あとは人間ですね。でも、今のところ『さっきまでいただろうな』という気配はあっても遭遇したことはないので、人か霊なら圧倒的に霊のほうが怖いかな。だって、見えないから対処できないじゃないですか。たまに触られたような感覚があっても、ほぼ『気のせい』で済ましています。掴まれた跡でも残っていれば別ですが。そういう時は、緊張感のある研ぎ澄まされた状態ですから、いつも以上に敏感になっています。だから、僕は、ダイレクトに実感するためには、“全裸”で行くべきだと思っています」

強力な霊がいるなら俺に憑りつけよ!

―再生回数は伸びそうですが、いろいろな意味でだいぶ危険ですね。

「とくに、冬場はいろいろなアウターを着ていますし、『怪音を耳にしたとしても、何かがこすれたのかな』などと、僕は全部疑いますからね。自分のことは特に。現場には霊能者が同行しますが、『そこにいます』と言われても、僕には見えない。

なので、いつも『見たい!』という歯がゆさを感じています。いるのはわかりました、でも僕には見えません。見たいんですよ!という葛藤が繰り広げられています」

―撮影中に取り憑かれたことなどはあるんですか?

「“いわゆる憑依状態”になり、心霊スポットで撮影中に倒れたことがあるんですが、僕の中の『取り憑かれた』という感覚とは違います。僕が考えているのは、突然倒れて、違う人格が出てきて大騒ぎするような、“人格を奪われる”くらいのニュアンスです。

スタッフに『大丈夫ですか?』と起こされて、『俺、どうなってた?』と聞くと、『これ見てください! 原田さんですよ!』と意識がないときの映像を見せられる。そこで言うんです。『俺、こんなになってたの!?』って。そのくらいが理想ですし、その場面を一番見たいのは僕です。強力な霊がいるなら俺に取り憑けよ!と思いますね」

―そこまでいけばバッチリですね

「僕は触ってほしいし、恐ろしい声も聞きたいし、なんなら取り憑かれて倒れたい。そうなれば、声を大にして『オバケっているんですよ!』と言えますから。むしろそうなりたいですね」

(取材・文/櫻田真紗子・当山みどり)

自分が見たもの以外は信じない――それは原田さんの誠実さの表れ。続く後編記事『心霊系YouTube番組で全国を飛び回る俳優・原田龍二が自宅に招いた「座敷わらし」からもらった「幸運」』では、思いもよらない話も飛び出した。

原田 龍二(はらだ りゅうじ)

1970年10月26日生まれ、東京都出身の俳優・タレント。1990年に第3回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞し、1992年にドラマで俳優デビュー。1996年には映画『日本一短い「母」への手紙』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。ドラマ『水戸黄門』の助さん役や『相棒』の陣川公平役で知られるほか、「温泉俳優」としても注目されている。最近では映画やドラマのほか、バラエティ番組やYouTubeでも活躍している。公式YouTubeチャンネルは『原田龍二の「ニンゲンTV」』は現在約39万人が登録している人気コンテンツ。

【つづきをよむ】心霊系YouTube番組で全国を飛び回る俳優・原田龍二が自宅に招いた「座敷わらし」からもらった「幸運」