【内田雅也の追球】判断やバンバンの攻守
◇セ・リーグ 阪神5―3DeNA(2026年8月23日 横浜)
競り勝った阪神で光ったのは元山飛優の好判断だった。3―1の6回裏1死満塁のピンチで、内野陣は二塁での併殺体勢を敷いていた。
代打・松尾汐恩の一打はハーフライナーで遊撃やや右に飛んだ。打球が地面すれすれに落ちてくる所で元山はショートバウンドで捕球、二塁手にトスし6―4―3併殺でピンチを脱出したのだ。
ライナー性で直接捕球の可能性もあり、走者はスタートを切れない。あえてバウンドさせ捕球する頭脳的プレーだった。
この元山をはじめ、阪神はDeNA打線に2桁12安打を浴びながら、3失点でとどめたのは好守備があったからである。
それは間一髪のプレーにあらわれている。3回裏はリプレー検証で立て続けにアウトを奪った。無死一塁での捕前バントを2―6―3と転送した一塁がセーフからアウトに覆った。捕手・伏見寅威の早い出足、元山の素早い転送、体を伸ばした大山悠輔の捕球が相まっての併殺だった。続く投手左への緩いゴロの一塁は判定通りアウトだった。高橋遥人の俊敏な送球がなせる業だった。
これらは俗に「バンバン・プレー」と呼ばれる。バンは擬音語だ。この夜の場合で言えば、一塁手が送球をバンと捕るのと打者走者が一塁ベースをバンと踏むのと、どちらが早いか。肉眼でも判断しかねる間一髪をアウトに仕留めたわけだ。
チーム失策数59は中日に次いでリーグ2番目に多い。しかし、今月に入っての失策は9個と減ってきている。9試合連続無失策で通したこともあった。土のグラウンドで難しい甲子園球場を離れる長期ロードがあり、人工芝グラウンドが多いという事情もある。さらに、優勝という目標に近づき、集中力が高まってきているのだろう。
ヒーローはもちろん、先制ソロに決勝2点打の森下翔太だが、他にも殊勲者は多い。3回表の追加点は1死二、三塁で二ゴロを転がした大山で、監督・藤川球児もハイファイブで迎えた。
1点差に迫られた7回裏1死一塁で登板の神宮僚介はヘラル・エンカーナシオン、宮崎敏郎を切ってプロ初ホールド。育成出身の横手投げ新人は今月の初登板から6試合を無失点、右打者を12打数無安打と封じている。
藤川は一丸をたたえるように「練習の時からチームとして結束力高くできている。みんないい働きをしてくれた」と話していた。 =敬称略=
(編集委員)

