年金を受け取る人たちに、税制改正によって手取りが増えるはずなのに実際には増えていないという戸惑いが広がっている。制度が変わったと聞いて期待した分だけ、実感の乏しさに首をかしげる人も多いようだ。
 
脱・税理士の菅原氏は、今回の税制改正で年金にかかる基礎控除額が引き上げられたことに触れ、本来であれば受給者の税負担は軽くなり、手取りも増えるはずだと説明する。しかし現実には多くの受給者がその恩恵を実感できずにいるとし、その背景を順を追って解き明かしていく。
 
菅原氏によれば、年金の源泉徴収は年内の複数回にわたって旧制度の基礎控除額をもとに計算され続けており、新しい基礎控除額が反映されるのは年末にまとまって支給される回だという。そのため今年前半から中盤にかけての手取りは見た目上ほとんど変わらず、給与でいう年末調整に近い形で、これまでの支給分がまとめて精算される仕組みになっているそうだ。前払いという性質を踏まえ、後から調整される流れそのものには一定の合理性があるとも述べていた。
 
さらに菅原氏は、所得税が非課税になったからといって安心はできないとも語る。住民税所得税とは異なる基準で計算される仕組みであり、申告を怠ると配偶者や扶養親族といった情報が自治体側に伝わらず、本来よりも重い税額が通知されてしまう可能性があるという。放置していると不利になりやすい構造であることを、菅原氏は繰り返し強調していた。
 
加えて、こうした事態を防ぐための新たな仕組みが今年から動き出しているとも紹介する。対象となる受給者には自治体を通じて所定の書類が届く運びとなっており、必要事項を記入して提出するかどうかで、翌年以降の税負担に差が生じてくるという。提出を怠った場合に生じうる影響についても言及があり、思っている以上に差が広がるケースもあるようだ。
 
こうした事情を踏まえ、菅原氏は年金を受け取っている本人はもちろん、親世代がその立場にある家庭にとっても、見過ごすべきではない注意点があると提示する。年金を受け取っている人、あるいはその家族を持つ人にとって、思わぬ負担を避けるための大きなヒントになる内容だ。

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