大腸がんステージIVの告知を受けた「寝り子」さん

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 昨年、大腸がんステージIVの告知を受けた「寝り子」さん(33)。YouTubeなどで闘病生活のリアルを伝え、飾らずに前向きに生きようとする姿が多くの視聴者に支持されている。6月には抗がん剤の副作用で抜けてきた髪の毛を坊主にする動画を公開し、7月にはお姉さんとの生配信にも挑戦した彼女は、どのような思いで活動を続けているのだろうか。

【写真】現在33歳・ステージIVの大腸がんと闘う「寝り子」さん、抗がん剤のリアル、旅行の様子を投稿している

 30代ならではの悩みや今後の活動についてインタビューした。【全3回の第1回】

 Youtubeの登録者が14万人を超える寝り子さん。昨年5月に32歳で大腸ガンを告知された時には、すでに肺やリンパ節への転移があり、ステージIVと診断された。それ以前から出血など体の異変には気づいていたが、深刻に考えていなかったという。

「5年ほど前にになって病院を受診したことがありました。がんが見つかる半年ほど前から出血は増えていましたが、大事と考えずに仕事に遊び……生活を優先してしまったんです。食べたら吐くこともあったし、体調は悪かったのですが、旅行に行ったりもしていました。検査をしていなかったら、そのまま体力を消耗しながら遊び続けて、本当に死んでしまっていたかもしれない。ギリギリのところで見つかったと思います。

あとは大腸がんの血便って黒い血のイメージがあったんです。でも私は直腸だったので真っ赤な鮮血だったのもだと考えてしまった要因の一つです。早めに病院に行っていたらステージIIとかIIIで気づけたのではないかと、後悔しました」

がんの告知後、治療方針や薬を決めるまでの間に、寝り子さんは好きだった食事にも神経質になっていた。

「今もですが、本当に食べることが好きなんです。元々は、美味しいものを食べるためにダイエットをしていたくらい。でもがんになったから、できるだけ体に悪いものは食べないようにしようと思って、添加物も糖分も気にして、何も食べられなくなりました。元々体調が悪くて食べたら吐いていたこともあるんですが、抗がん剤で痩せたというより、薬の治療が始まる前にかなり痩せてしまいました」

最も体重が落ちた時期には、現在よりも14〜15キロも軽かったという。

「それまでの人生でずっと痩せる方法ばかり調べてきたんですが、太り方はわからなかった。医者の方から『野菜だけでは太れないから、お米を食べてください』と言われても、糖分はがんに悪いんじゃないかと考えると、食べるのが怖かったです」

 そして抗がん剤治療が始まると、副作用でさらに食べられなくなった。すると体だけではなく、心まで追い込まれていったという。

「最初は自分はもう長く生きられないんじゃないか、いつ死ぬんだろうって、そればかり考えていました。私はメンタルが強い方だと思ってずっと生きてきたので、まさか自分がこんな状態になるとは思っていなかったです。去年の7月には、姉と妹と3姉妹で東京に行ったのですが、電車の中で突然、呼吸ができなくなったんです。

 息ができなくなって涙が止まらなくなりました。パニック障害でした。でもそれがどういうものかも当時は知らなかったので、自分の体に何が起きているのかすらわからなかった。今思えば、電車の閉鎖的な空間だったことと、東京で3姉妹で遊ぶという楽しい時間だったからこそ、『こんなこともいつかできなくなるのかな』と頭のどこかで考えていたからなのかもしれません」

 医師からは、がんを告知された患者が精神的に不安定になることは珍しくないと説明され、精神科の薬を服用した時期もあった。

「先生に言われて安心しました。でも自宅に閉じこもると良くないことばかり考えてしまう。それで体調が少しでも良い時から徐々に外に出ていくようにしたんです。できるだけ大切な人や友達にも会おうと思いました。音楽も聞くようにして、楽しいことをする時間を自分で作ったんです」

 その中でも特に大きな支えになったのは「お笑い」だったという。

「メンタルが病んでいると、本当に笑えないですよね。でも口を開けて笑顔を作るだけでも、脳は笑っていると勘違いするらしいよ、と看護師さんから教えてもらったんです。今でもCTの結果が悪かった日は、家に帰ってずっと泣いて、何もやる気が起きないこともあります。でも夜の11時50分くらいに、今日1日は何も楽しいことがなかった、と思ったら、漫才の動画を1本だけ見るんです。3〜4分だけでも病気を忘れて、楽しいことを1回してから寝ようって」

 こういったことを意識的に繰り返して、辛い日々を乗り越えてきた寝り子さん。他にも自分の心を守るために心がけてきたことがあるという。

「同じがんサバイバーの人は"何ミリ小さくなった"とか、すごく細かく把握している方が多いんです。でも私は、少しの変化には一喜一憂しないようにしています。数ミリ大きくなったからといってすぐに死ぬわけじゃない。数ミリ小さくなったからといってすぐに治るわけでもない。ダイエットでも、1キロ2キロを気にしすぎるとご飯が食べられなくなるじゃないですか。だから私は数字よりも、自分の機嫌や体調で健康を測ろうと思っています」

こうしてメンタルを立て直していき、食事への考え方もまとまったという。

「私は大好きなラーメンも食べるし、コーヒーも飲みます。もちろん野菜や腸にいいスープも作って食べています。でも、全部を我慢するんじゃなくて、私は美味しいものも食べたい。もし1か月後に死ぬとしても、美味しいものを食べて死にたいと考えています」

 寝り子さんの前向きな表情が印象的だった。第2回ではSNSでの大反響が寝り子さん自身の生活をどのように変えたか、詳しく聞いた。

(第2回につづく)