日本テレビの氏家齊一郎元社長(C)日刊ゲンダイ

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【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】

榊英雄が2審も懲役8年…昔と違って、一度の過ちも許されない時代に

 日本テレビが「アメリカ横断ウルトラクイズ」を復活させる。

 1977年から92年までの16年間、2時間特番として4〜5週にわたって放送され、多くの人の記憶に残る番組だろう。日テレの看板番組として20%台半ばの視聴率を誇ったものだ。「ああ、懐かしい」という思いもあって、今、放送すればある程度の数字が取れるという思惑もあるのかもしれない。

「アメリカ横断」と耳にして僕が思い出すのは、亡くなった氏家齊一郎元社長のことだ。社長に就任してすぐ、“鶴の一声”で「アメリカ横断」の打ち切りを宣言したのだ。制作側の社員からは「そんなバカな。うちの看板番組ですよ」という声が多くあがったが、彼は「それがどうした。3億円もの赤字を出す番組など必要ない」と理由を説明した。もっとも、番組にかかわっていた制作会社などはその年度の番組制作をすでにスタートさせていて、急に仕事がなくなってしまい“真っ青”状態だったことを覚えている。

 それどころか、氏家元社長は赤字番組を許さなかった。いわく、「すべての番組が少しでも黒字を出せば、トータルとして会社は黒字ということになる。当然だ」。

 当時、僕は日テレのワイドショーの仕事で連日取材に出ていた。一日中現場での取材となるので、移動の途中でカメラクルーたちと昼食をとるのだが、ファミレスをやめて安い牛丼が続いたことを覚えている。

 氏家元社長は別の面でも凄い人だった。社長として君臨していた頃、次期社長候補を「これから手柄を立てた人物にする」と言い放ち、その結果、社長候補と目されていた実力者ふたりを系列局へ“飛ばし”、イエスマンとみられていた人物に社長を譲ったとされる。

 そして現在の日本テレビタワー(汐留タワー)を建設するのだが、銀行からの借金を「利子を払うのがイヤ」だったとかで、自分が関わっていた企業Sから数百億円を無利子で借り、あっという間に完済したらしい。

 氏家元社長は視聴率3冠王だった頃に社員たちを集合させ、「テレビ業界は衰退産業だ。このままならキー局でも赤字になる」と言ったが、その通りになっている。当時は「まさか?」と思っていた社員たちも、今はその言葉を噛みしめているに違いない。

(城下尊之/芸能ジャーナリスト)