祖母からもらった現金「100万円」を自分の口座に入れたら、銀行から使い道を確認されました。家族から受け取ったお金でも、説明しないと入金できないのでしょうか?
100万円を入金しただけで違法になるわけではない
自分が祖母から正当に受け取った現金100万円を、自分名義の銀行口座へ入れること自体に問題があるわけではありません。
犯罪収益移転防止法では、金融機関における200万円を超える現金の受け払いなどを、取引時確認が必要になる大口現金取引の一つとしています。そのため、銀行で200万円を超える現金を一度に入金する場合などに、本人確認や取引目的の確認が行われることがあります。
今回の100万円は、この「200万円超」という金額には達していません。
しかし、「100万円以下なら銀行から何も聞かれない」という意味ではありません。金融機関は、不正利用を防ぐため、金額だけでなく、職業や収入、資産の状況などを含めて確認することがあります。
普段はほとんど現金を扱わない口座に突然まとまった現金が入れば、銀行から理由を聞かれることも考えられます。
銀行は金額にかかわらず取引目的を確認する場合がある
金融庁は、マネー・ローンダリングやテロ資金供与を防ぐため、金融機関に継続的な顧客管理を求めています。2018年に、金融機関における基本的な考え方を明らかにした「ガイドライン」が作成され、2021年にはさらなる明確化が図られています。
「犯罪組織やテロ組織が資金獲得の手口を日々巧妙化し、一般利用者に紛れて気づかれることなく取引を行おうとする中で、金融機関は、取引に不自然な点があれば、利用者に質問をしたり必要な情報の提供をお願いするなど、厳格な確認を求められることがあります。」と同庁は警戒を高めています。
したがって、金融機関は、金融庁が公表するガイドラインに基づき、必要に応じて、氏名、住所、職業、取引目的などの情報を確認します。また、取引の内容や状況によっては、資産や収入に関する資料、追加の説明を求めることもあります。
そのため、100万円だから質問されたというより、銀行の確認手続きの一環と考えたほうがよいでしょう。
聞かれた場合は、「祖母から贈与として受け取った現金です。自分の預金として保管します」など、事実をそのまま説明すれば構いません。
現金を渡してもらった日、金額なども記録しておくと安心です。祖母の口座から100万円を引き出した記録や、贈与についてやり取りしたメッセージなどがあれば、資金の出所を説明する材料になります。
確認を拒み続けた場合は、取引内容によって入金手続きを保留されたり、追加確認を求められたりする可能性があります。必要な範囲で協力するのがスムーズです。
銀行への説明とは別に贈与税も確認する
銀行が入金を認めたからといって、税金の問題まで確認されたことにはなりません。銀行の確認と贈与税は別の話です。
贈与税の暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計から、110万円の基礎控除を差し引きます。
祖母からもらった100万円だけで、その年にほかの人から贈与を受けていないなら、通常は110万円以下なので贈与税はかかりません。
しかし、同じ年に父から50万円をもらっていれば、合計150万円になります。贈与税の110万円は「贈ってくれた人ごと」ではなく、原則として自分が1年間にもらった暦年課税の贈与を合計して考えます。
なお、「祖母から借りた100万円」である場合は、贈与とは扱いが異なります。
国税庁は、親と子、祖父母と孫など特殊の関係がある間での金銭の貸借で、返済能力や状況などから真に金銭の貸借であると認められる場合、借入金そのものは贈与にならないとしています。ただし、「出世払い」など「借金」とは名ばかりであるなら、贈与と判断される可能性があります。
まとめ
祖母からもらった100万円を銀行口座へ入れること自体に問題があるわけではありません。100万円は、大口現金取引として取引時確認の対象になる「200万円超」には達していません。
ただし、銀行はマネー・ローンダリングや詐欺対策として、金額にかかわらず取引目的や資金の出所を確認する場合があります。「祖母から贈与された100万円」と事実を説明すればよいでしょう。
一方、銀行の確認が終わったからといって税金の確認まで済んだわけではありません。その年にもらった贈与の合計が110万円を超えていないかも確認してください。現金を家族から受け取るときは、日付、金額、理由を簡単に記録しておくと、銀行にも税務署にも説明しやすくなります。
出典
警察庁 犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和7年)
金融庁 金融機関におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策について
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4410 複数の人から贈与を受けたとき
国税庁 No.4420 親から金銭を借りた場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

