コミュニティ・シールドでシティを3−0で下したアーセナル。充実ぶりを存分に発揮した。(C)Getty Images

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 8月21日、王者アーセナルと昇格組コベントリー・シティの一戦で、2026-27シーズンのプレミアリーグが幕を開ける。史上最多となる9クラブが新たな正式監督で開幕を迎え、W杯直後という特殊な条件も重なる今季。連覇を狙うアーセナルを中心に、例年以上に読みづらい優勝争いとリーグの行方を展望する。

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 昨季のプレミアリーグは、開幕前の予想を鮮やかに裏切った。英紙『ガーディアン』はリバプールを優勝候補に挙げていたが、実際は5位。6位予想のトッテナムは17位まで沈み、19位と見られていたサンダーランドは7位へ駆け上がった。18位予想だったブレントフォードは9位。前年の順位や戦力から描いた序列が、あっさり崩れた一年だった。

 今季は、さらに見通しを立てにくい。9クラブが新たな正式監督で開幕を迎えるのは、プレミアリーグ史上最多。しかも北中米W杯の決勝から約1か月でシーズンが始まる。休養も調整期間も選手によって違い、欧州カップ戦の有無によって秋以降の負荷にも差が出る。

 それでも、優勝候補の筆頭はアーセナルだろう。

 最大の理由は、昨季の優勝チームというだけでなく、完成形が最も見えていることにある。ミケル・アルテタ体制は継続し、昨季は22年ぶりにリーグを制し、欧州CLでも決勝へ進んだ。今夏はブルーノ・ギマランイスとクリストス・ツォリスの新戦力を加え、コミュニティ・シールドではマンチェスター・シティを圧倒した。周囲がチームを作り直すなか、王者には積み上げてきた土台がある。

 もちろん昨季と同じ条件ではない。長く待ち望んだタイトルを追う立場から、今度は追われる側になった。デクラン・ライスやブカヨ・サカにはW杯の疲労も残り、怪我を抱えるウィリアム・サリバの状態も気掛かりだ。勝つことに加え、王者らしく試合を支配することまで求められる。連覇への条件は整っているが、昨季とは別の難しさが待つ。

 対抗馬のマンチェスター・Cは、コミュニティ・シールドで不安を残した。1試合、それもシーズン前の一戦だけで判断するのは早いが、それでもアーセナルに中盤を握られ、自分たちのテンポへ持ち込めない時間が長かった内容は、少し心配になるほどだった。

 ジョゼップ・グアルディオラ監督が去っただけではない。W杯MVPのロドリはバルセロナへ移籍し、ベルナルド・シウバやジョン・ストーンズもいなくなった。1億1600万ポンドで獲得したエリオット・アンダーソンは大きな戦力だが、ロドリの役割をそのまま引き継ぐ選手ではない。

 そのロドリを失った中盤を、エンツォ・マレスカ新監督がどう組み直すのか。アーリング・ハーランドを擁する戦力を考えれば、いずれ持ち直すと見るのが自然だが、それでも例年のシティほど、迷わずアーセナルの対抗馬に推せる状態ではない。
 
 チェルシーは、また違った難しさを抱える。プレシーズン最終戦のレアル・ソシエダ戦を取材したが、シャビ・アロンソ新監督は3−4−2−1を軸に進めそうな雰囲気があった。2シャドーにはモーガン・ロジャーズとコール・パーマーを並べた。ロジャーズは随所で存在感を示した一方、パーマーはどこか窮屈そうで、その位置にまだ慣れていない印象も残った。

 問題はタレントの不足ではないだろう。ロジャーズとパーマーをどう活かし、他の実力者をどこへ配置し、どんな役割を与えるのか。シャビ・アロンソ監督には整理する仕事が残っている。

 ただし欧州大会がないのは大きそうだ。新しい戦術を落とし込む時間を取りやすく、シーズン中も主力を休ませられる。昨季10位からの大幅な浮上は十分にあり得る。
 
 リバプールは、アンドニ・イラオラ監督の就任そのものには期待を持てる。縦に速く、高い強度で相手へ圧力をかけるスタイルは、ユルゲン・クロップ監督の時代からクラブが好んできたスタイルとの親和性が高い。フロリアン・ヴィルツやアレクサンデル・イサクらを擁する攻撃陣を考えても、噛み合えば迫力は出るだろう。