年に2回、公道が高速サーキットに ネバダ・オープンロード・チャレンジ(1) 愛車のフォルクスワーゲン・ゴルフで挑戦
世界最長の公道コースで競うオープンロード・チャレンジ
今や、300km/hでかっ飛ばせる公道は殆どない。アメリカも、スピード違反には厳しい。しかしカリフォルニア州のお隣、ネバダ州のルート318では、自分のクルマで限界へ挑むことが許される日がある。年に2回、公道は高速サーキットと化す。
【画像】世界最長の公道コースで競うネバダ・オープンロード・チャレンジ ゴルフ GTIとRも 全132枚
岩肌が露出した砂漠地帯に、彼方まで伸びる1本の道。ガードレールやランオフエリアは、基本的にない。タイヤバリアやネットもない。

ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑むフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI
今回筆者が挑んだ「ネバダ・オープンロード・チャレンジ」は、ルート318の151マイル、約243kmを2つのセクションに区切って競うイベント。公認の公道レースとして、コースは世界最長を誇り、毎年5月に開かれている。
毎年9月にも、「シルバーステート・クラシック・チャレンジ」が開かれている。こちらは90マイル(約145km)の区間で速さを競う1発勝負。1988年に始まったもので、知名度は高くないが、世界屈指にクレイジーなレースであることは間違いない。
勝敗は目標の平均速度へいかに接近できたか
オープンロード・チャレンジの拠点となるのは、ラスベガスから約320km北上した、イーリーという小さな町。色褪せたモーテルの看板が路肩に立ち、夜にネオンサインが灯るダイナーで提供されるのは、パンケーキとコーヒー。タイムスリップしたかのようだ。
だがレースウイークへ突入すると、通りはポルシェ911やシボレー・コルベット、ダッジ・バイパーといった、速さ自慢のマシンで埋め尽くされる。筆者の愛車、8代目フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIも、そこへ今回は加わった。

ネバダ・オープンロード・チャレンジの様子
誰もが楽しめる高性能ハッチバックとして、初代ゴルフ GTIが登場したのは50年前。今では2.0L 4気筒ターボを積み、最高出力は244psへ上昇したが、オープンロード・チャレンジでは控えめな側にある。ところが、これは問題にならない。
アクセル全開で、ひたすら飛ばすだけのレースではないからだ。複数にクラス分けされ、目標とする平均速度へいかに接近できたかで、順位が決まる。
心地良い草レースのような空気感
ツーリング・クラスの場合、平均時速95マイル(約153km/h)から110マイル(約177km/h)の4段階に分かれており、スーパースポーツ・クラスの頂点は時速180マイル(約290km/h)。ただし、アンリミテッド・クラスは上限がなく、最高速度を競う。
速さへ挑む人たちが醸し出す、真剣な雰囲気へ胸が高鳴る。同時に、クルマ好き同士が集まりイベントを作り上げる、草レースのような空気感も心地良い。

ネバダ・オープンロード・チャレンジの様子
本格的なトランスポーターにマシンを積んで、プロさながらの態勢で挑む人もいる。公道レースといっても、マシンは公道走行が許されている必要はない。それでも、自走して来る参加者は多く、ナンバー付きの車両が大多数を占める。
ちなみに、公道レース平均速度のギネス記録は、シルバーステート・クラシック・チャレンジで樹立された。ナスカー仕様の2001年式シボレー・モンテカルロを駆ったロバート・アリン氏が、2017年に時速219.64マイル(約353.48km/h)を叩き出している。
4件の重大事故で5名が命を落した過去
ツーリング・クラスは市販車が対象で、軽度の改造が許されており、バッテリーEVの参加も認められている。超高速で走り続けると熱くなるため、タイヤのバルブキャップは金属製が指定されるなど、複数の規定も設けられている。
参加前には、ラスベガスのスピードベガス・サーキットで、初心者向けのレース講習会を受講する必要がある。座学では、タイム計測の手順や安全規定、緊急時の対応方法などを習得。コース上での実技指導も実施される。

ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑む筆者、グレッグ・ケーブル(右)
ルート318へ移動し、コース上の基準点を確認するプログラムも含まれている。それでも、初心者はツーリング・クラスへ限定される。草レースのようと書いたが、主催者側は安全確保に抜かりない。過去に4件の重大事故が起き、5名が命を落としている。
30秒間隔で砂漠を貫く公道コースへ挑む
金曜日から土曜日のイーリーの町は、パレードやスピード・イベントなどが開かれ、お祭り騒ぎ。そして、決戦は日曜日。参加マシンは、隊列を組んでルート318を南下し、スタート地点の側にあるトラックステーションへ集合する。
ドライバーは、タイヤの空気圧を確認。コドライバーは、タイムシートに目を落とす。その様子を見守る地元の保安官も、真剣な眼差しだ。

ネバダ・オープンロード・チャレンジの様子
レースの口火を切るのは、アンリミテッド・クラス。スタートラインへ次々に移動し、30秒間隔で砂漠を貫く公道コースへ飛び出していく。
この続きは、ネバダ・オープンロード・チャレンジ(2)にて。

