伝説の『アメリカ横断ウルトラクイズ』来年復活へ 番組を取り巻く環境の激変で日テレに突きつけられた課題
伝説のクイズ番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ系。以下『ウルトラクイズ』)が、50周年を迎える2027年に向けて復活することが発表された。現時点では放送日は未定で、具体的な内容も明らかになっていないが、単なる記念番組ではなく、かつての番組を思わせる大規模な企画になることが期待されている。
【もっと読む】「ウルトラクイズ」復活で気になる福留功男の近況 元気でもテレビ出演は丁重に“お断り”
1977年にスタートした『ウルトラクイズ』は、後楽園球場をスタート地点に、勝ち抜いた参加者がアメリカ大陸を横断しながらクイズに挑む、それまでにないスケールの番組だった。「ニューヨークへ行きたいかー!」という掛け声や、敗者が受ける「罰ゲーム」など、数々の名物企画を生んだ。
■SNSによるネタバレ、大き過ぎるクイズ研究会の存在感
その人気は根強く、復活を望む声は絶えなかったが、日本テレビは50周年の節目に満を持して復活させる。しかし、期待が大きいからこそ復活には課題も少なくない。レギュラー放送が1992年に終わり、1998年に特番が放送されたが、それから約30年。番組を取り巻く環境は当時とは大きく変わった。その1つがSNSの存在だ。
「これだけ規模が大きい企画だと、SNSでのネタバレを防ぐのはほぼ不可能です。かつての大会では、結果がどうなるかは放送を見るしかありませんでした。しかし現代の場合、たとえ出場者のSNSは管理できたとしても、友人や知人から結果が漏れたり、ロケに居合わせた人がSNSに投稿する可能性もゼロとはいえません。
参加者がネットで晒されるリスクもあります。『ウルトラクイズ』では、クイズによっては特定の参加者が“悪役”になることがあります。そんな時、かつてならテレビの前で悪態をつかれるぐらいで済んだものが、ネットで個人情報が調べ上げられ、素っ裸にされるかもしれない。また、参加者の過去のSNSでの言動がほじくり返され、炎上することも十分に考えられます」(スポーツ紙芸能担当者)
万が一、放送前に決勝の結果がネタバレしてしまうようなことがあれば、番組への興味が大きく削がれることは間違いない。一方で、クイズを取り巻く状況も変化している。『ウルトラクイズ』や『アタック25』などの出場経験があるクイズマニアのFさん(50代/男性)は、こう話す。
「かつての『ウルトラクイズ』は、一般人がクイズに挑戦し、勝ち進む過程そのものが番組の大きな魅力でした。知識量だけではなく、運、体力、度胸、キャラクター、そして他の参加者との人間関係までがドラマになったからこそ、伝説の番組になったんだと思います。
しかし現在、同じ形式をそのまま復活させるのは難しいでしょう。最大の懸念は、クイズ研究会などで日常的にクイズに取り組んでいる“セミプロ”のような人たちの存在です。30年以上前のレギュラー放送の時点で、すでに大学のクイズ研究会やOBたちは目立っていましたが、現在はその傾向がさらに強まっており、クイズで“一般人”が“セミプロ”に勝つのは至難の業です。
象徴的なのが『高校生クイズ』です。長年にわたって形式が変化する中、近年は超進学校のクイズ研究会に所属する生徒が上位を占めるようになりました。もちろん、優勝に向けて日頃から努力するのは素晴らしいことですが、『普通の高校生でも楽しめる大会の方が良いのでは』という議論もありました」
『ウルトラクイズ』が圧倒的な支持を集めたのは、「この人は次も勝てるのか」「この人に残ってほしい」といった参加者への感情移入が生まれたことも大きい。クイズ研究会の強者が順当に勝ち続ける展開では、知識勝負としては面白くても人間ドラマは生まれにくいだろう。
■名物企画罰ゲームの成立を阻む数多くの制約
そして、罰ゲームも難しい。
「『ウルトラクイズ』といえば、過酷な移動や珍しい場所でのクイズとともに、敗者への罰ゲームが名物でしたが、時代が進んだことによりその制約は大きくなっています。危険性、安全管理、差別的表現、動物の扱い、現地の文化への配慮など、チェックすべき項目は幅広い。参加者本人が納得していたとしても、視聴者から問題視されるケースもあるでしょう。
名物なのでやらないわけにはいかないし、ヌルい罰ゲームでは番組的に面白くない。かといって参加者がケガでもしたら大変で……。クイズの問題や方式を考えるよりよっぽど大変かもしれません」(民放バラエティ番組制作関係者)
さらに、制作関係者はこう続ける。
「番組を見る多くの人は、何十年も待たされたことで期待値のハードルが上がりまくっています。櫻井翔が司会を務めることで、“やっぱり福留功男じゃないと”という感想が上がるのは仕方ないでしょうが、昔の演出を踏襲すれば“古臭い”、新たな趣向を取り入れれば“こんなのウルトラクイズじゃない”といった声が上がるかもしれません。
そうはいっても、テレビ史に残る超大型企画の復活ですから、仮に大晦日の放送なら、紅白歌合戦とも良い勝負になると思います。テレビ界では近年、スケールの大きな企画がなかなか実現しなくなっているので、業界関係者の期待は大きいですね」
昔と同じことをやればいいわけではない。だからといって、無難な『ウルトラクイズ』では意味がない。数々の課題を抱えながら、どこまで“あのウルトラクイズ”を令和に持ち込めるのか。そこに今回の復活の面白さがある。
