前歯がむし歯で欠けた子どもの患者さん

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熱中症対策として飲んでいるスポーツドリンクが「歯」に影響を及ぼします。
では、夏休みを迎えた子どもたちはどうでしょうか。

週末の公園遊びや家族旅行など、良かれと思って選んだ「熱中症対策ドリンク」が、知らないうちに子どものむし歯リスクを高めている可能性があります。事実、歯科医院ではこの時期、むし歯リスクの高まった子どもたちを診る機会が少なくありません。

今回は、保護者が知っておきたい「夏休みのむし歯対策」を歯科医師の視点から解説します。

◆なぜスポーツドリンクがむし歯のリスクを高めるのか

前回の記事では、スポーツドリンクなどに含まれる「酸」が歯を溶かす「酸蝕症(酸蝕歯)」について解説しました。一方、子どもの場合は、それに加えて特に「糖」にも注意が必要です。

スポーツドリンクは、運動時の水分や電解質補給に役立つ飲み物ですが、多くの商品には糖が含まれています。この糖が、むし歯の原因菌のエサになることが問題です。むし歯菌は糖をエサにして酸をつくり出し、その酸によって歯の表面は少しずつ溶かされ、むし歯が進行していきます。本来であれば、唾液の働きによって溶けだした歯の表面は修復されます。しかし、スポーツドリンクを少しずつ何度も飲んだり、長時間かけて飲み続けたりすると、唾液の働きが追い付かず、むし歯ができやすい状態が続いてしまいます。

子どもの歯は、生えたばかりの頃はエナメル質がまだ十分に成熟していません。永久歯も生えてから数年かけて唾液中のミネラルを取り込みながら強くなっていくため、大人の歯に比べてむし歯になりやすい特徴があります。

つまり子どもにとっては、「飲み物の酸」と「糖」のダブルパンチで歯に負担がかかることになるのです。

さらに、夏休みは生活リズムが乱れやすく、歯磨きがおろそかになったり、寝る前にジュースやスポーツドリンクを飲んでしまったりすることも少なくありません。こうした習慣が重なることで、むし歯のリスクはさらに高まります。

◆角砂糖8個分!? 意外と知らない「子ども用ドリンク」の落とし穴

飲み物にはお菓子以上にたくさんの糖が入っていることもあります。「ジュースは甘いから気を付けているけれど、スポーツドリンクは熱中症対策だから大丈夫」と考える保護者は少なくありません。しかし、多くのスポーツドリンクには糖が含まれています。もちろん運動時には必要な場合もありますが、普段の水分補給として毎日飲み続けるのはおすすめできません。

例えば、500mLのスポーツドリンクには、商品にもよりますが角砂糖約7〜8個分に相当する糖が含まれているものもあります。子どもは一度に飲み切らず、何度も口にすることが多いため、糖が口の中にとどまる時間も長くなりがちです。また、乳酸菌飲料やフルーツジュースなどもたくさんの糖が含まれているため、「体によさそう」というイメージだけで選ぶのではなく、糖の量や飲む頻度にも目を向けることが大切です。

診療をしていると、「寝る前に乳酸菌飲料を飲ませています」という保護者の方に出会うことがあります。しかし、寝ている間は唾液の分泌が減るため、糖が口の中に残りやすく、むし歯のリスクが高まります。寝る前のジュースや乳酸菌飲料は避け、水やお茶を選ぶ習慣をつけましょう。

◆「ダラダラ飲み」が引き金に。夏休みに激増するむし歯リスク習慣

大人がデスクワーク中にスポーツドリンクを「ちびちび飲み」することでも、歯が酸にさらされる時間が長くなり、酸蝕歯のリスクが高まります。この「少しずつ何度も飲む」という習慣は、子どものむし歯でも大きな問題になります。

夏休みは学校がない分、生活リズムが乱れやすい時期です。「今日は特別だから」と、ついジュースやアイスを口にする機会が増える家庭も多いでしょう。しかし、その「少しの油断」が積み重なることで、むし歯のリスクは高まります。