【高山 一恵】手取りの6割超を投資にまわし、冷暖房や米を絶っても現金枯渇…若者のNISA貧乏「資産5000万円でもカツカツ」のナゼ
最近、「NISA貧乏」というワードがSNSを中心に流行しています。NISA貧乏とは、特に若年層が今の生活や自己投資を犠牲にして、NISAへの投資に資金をまわしすぎて、日常生活が苦しくなることを指します。なぜ、多くの若者がNISAの沼にハマってしまうのでしょうか。事例をご紹介しながら沼にハマる原因や問題点について解説します。
実録「NISA貧乏」
最近、「NISA貧乏」というワードが目を引くようになりました。将来への強い不安から必要以上にNISAで投資をして、いまの生活を蔑ろにしている若者が少なくないようです。
SNSなどでは「毎年の非課税投資枠は最速で埋めないと損!」といった極端な内容も散見されます。こうした声に焦って投資をしてしまう人も多いようです。
実際、私のお客様のなかにもまさにNISA貧乏の沼にハマっているかたたちがいて驚きました。
今回は3名のかたの事例をご紹介します。
(相談者のプライバシーに配慮して、今回紹介した登場人物の情報は一部変更しています。あらかじめご了承ください)
壊れた椅子で冷房我慢 〜大手メーカー勤務・20代男性Aさん〜
Aさんは、大手メーカーに勤務する20代男性会社員。マネー相談のためにAさんのお宅にうかがったとき、大変失礼ながら「本当に大手メーカー勤務なの?」と思ってしまうような生活ぶりでした。
まず、駅から遠く離れたアパート住まいで、猛暑のなか、クーラーを使わずに、扇風機で過ごし電気代を節約。ダイニングの椅子の背もたれは壊れていましたが、紐で縛ってなんとか保っている様子でした。
Aさんの月額の手取りのお給料は40万円程度でしたが、家賃も含めて15万円で生活し、残りの25万円はすべてNISAで投資しているとのことでした。
友人との付き合いはほとんどせず、食事はスーパーでのセール品で済まし、日用品の買い物も特売日以外はせず、出勤のための洋服などもすべてフリマアプリを利用して購入する、という徹底ぶり。NISAでの年間の投資上限金額は「つみたて投資枠」120万円、「成長投資枠」240万円で併用すると年間360万円まで投資することができますが、現在は年間300万円しか投資できていないので、上限の360万円まで投資できるようになるために、さらなる節約生活に励んでいるとのことでした。
NISAではひとりが非課税で投資できる上限金額は1800万円となっており、年間360万円まで投資することができれば、最速5年で1800万円の枠を埋めることができます。
Aさんも、投資系インフルエンサーなどの「最速の5年で枠を埋めるべき」という極端な発信を真に受け、焦っているようでした。
Aさん曰く「自分は親もそんなに裕福ではないし、自分の力でなんとかするしかない。自分たちの世代は、将来の年金ももらえるかわからない。少子高齢化でこれから税金や社会保険料も上がるかもしれない。将来に備えておかないと、とにかく不安」とのことでした。
資産5000万円、芋ともやしの日々 〜IT関連中小企業勤務・30代男性Bさん〜
Bさんは、IT関連の中小企業に勤務する30代男性会社員。中小企業に勤務しているため、お給料はあまり高くないようですが、Bさんの資産は既に5000万円超。
Bさんの生活ぶりを聞くと、まず、主食はまだまだお米は高いので芋を利用。お米よりも腹持ちも良いので重宝しているそうです。おかずも、安く買えるもやしなどを中心にレシピを研究して、食費もかなり節約しているとのことでした。
Bさんも節約したお金はすべてNISAでの投資にまわしているとのこと。Bさんは国内外の個別株を中心に投資しているようで、セミナーに参加したり、書籍を購入したりして、有望株の研究に余念がないようでした。5000万円の資産のほとんどは株式で保有していました。
Bさんの唯一の趣味は、ディズニーランドに行くこと。株主優待でもらえるパスポートを利用して、年に数回ディズニーランドに行って楽しむことが生きがいなんだそうです。
30代にして資産5000万円を持っているのであれば、そんなにストイックに投資を頑張らなくても良いのではと思い、Bさんに聞いてみたところ「これまでの人生で一度も彼女ができたことがなく、きっと自分は結婚できないと思う。給料もなかなか上がらないし、年金ももらえるのかわからない。一生ひとりで生きるにはたくさんのお金が必要。でも正直、資産は増えているのに実生活は苦しくなるばかり」とのことでした。
気持ちよくおごってもらう術を体得 〜20代派遣OL・Cさん〜
Cさんは、派遣で働く20代の女性会社員。Cさんは手取りのお給料が25万円程度のようですが、なんと毎月10万円をNISAのつみたて投資枠で投資しているとのこと。
Cさんの家計を見てみると、堅実そのもの。ポイ活にも余念がなく、日用生活品のほとんどをポイントでゲット。洋服はフリーマーケットや古着屋さんで安く購入し、お料理もオリジナルの節約料理をフル活用。自炊とお弁当を基本にして、食費も3万円程度に抑えていました。住居も都心部から電車で40分程度の家賃が安いエリアのアパートを借り、住居費も抑えています。
そして、職場でのランチ代・夕食代なども節約するために、上司に気持ちよくおごってもらうためのコミュニケーション術を勉強し、ほとんど毎回タダ飲みをしているとのことでした。
こんなにも投資にハマってしまったきっかけは、勤務先の友人たちがNISAで「全力投資」をしていることを知ったことでした。ここでもやはり「自分たちの世代は、年金がどうなるかわからないし、とにかく老後が不安。できる限り投資して、お金を増やす必要がある」ということをみんな熱心に語っていたそうです。
気になってSNSでリサーチしてみると、同世代の人たちがNISAでかなり投資している投稿が多く、なかにはお給料の半分以上をNISAでの投資にまわしている人たちもいて、かなり衝撃だったそうです。
焦ったCさんは、「自分も同じように頑張らねば!」と、趣味の推し活もやめ、毎月10万円以上をNISAでの投資にまわすようになった、とのことでした。
【後編を読む】著書累計200万部超の人気FPが直伝…目的、時期別で投資先を選ぼう 「NISA貧乏」に陥らないための超簡単な「見える化」
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