マンションの修繕積立金を30年間払い続けてきました。それでも大規模修繕があるからと一時金を請求されています。理不尽に感じるのですが、受け入れるしかないのでしょうか?

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マンションの修繕積立金を30年間払い続けてきたのに、大規模修繕のために一時金を求められると、「今まで払ってきたお金は何だったのか」と感じるでしょう。理不尽に思うのは自然です。   ただし、総会で適正に決議された一時金であれば、区分所有者として負担が必要になることがあります。まずは金額の根拠と決議手続きを確認しましょう。

修繕積立金を払っていても不足することはある

修繕積立金は、マンションの外壁、屋上防水、給排水管、エレベーター、共用廊下などを将来修繕するために積み立てるお金です。本来は、長期修繕計画に基づいて、必要な工事費を計画的に集めます。
しかし、30年間払ってきたから必ず足りるとは限りません。物価や工事費の上昇、予想以上の劣化、機械式駐車場の修理、給排水管の更新などで、当初の計画より費用が増えることがあります。
国土交通省は、マンションの快適な居住環境や資産価値を維持するには、長期修繕計画を作成し、それに基づき修繕積立金を設定することが必要だとしています。また、計画は5年程度ごとに見直すことが推奨されています。
長年、修繕積立金の値上げを避けてきたマンションでは、大規模修繕の時期に資金不足が表面化し、一時金を求めざるを得なくなることがあります。これは住民にとってつらい話ですが、建物を維持するためには必要な場合もあります。
統計からも、積立金が不足しているマンションは少なくないことが伺えます。同省の「令和5年度マンション総合調査結果」によると、今後の修繕計画の費用に比べて、積立額が不足していると答えたマンションは36.6%です(図1)。
図1

出典:国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状 p.9
36.6%の内訳は、計画に対して「20%超の額が不足」が11.7%、「10%超~20%不足」が 3.7%、 「5%超~10%不足」が2.9%、「5%以下の不足」が18.3%となっています。これらを合計して36.6%です。
一方で、「計画に比べて残高に余剰がある」と答えたのは39.9%、「不明」が23.5%となっています。

一時金は総会決議と根拠資料を確認する

一時金を請求された場合、まず確認したいのは、管理組合の総会で正式に決議されたかどうかです。理事会だけの判断や、口頭のお願いだけで高額な一時金を当然に請求されるなら、手続きに問題がある可能性があります。
確認すべき資料は、総会議案書、総会議事録、長期修繕計画、修繕積立金残高、工事見積書、修繕項目の一覧です。なぜ一時金が必要なのか、1戸あたりの金額はどう計算したのか、借入や工事内容の見直しを検討したのかを見ましょう。
また、専有面積に応じた負担なのか、全戸同額なのかも重要です。管理規約にどのような負担方法が定められているか確認してください。規約に合わない方法で請求されているなら、見直しを求める余地があります。
納得できない場合でも、感情的に「払わない」と言う前に、資料を求め、総会で質問しましょう。必要なら、マンション管理士や弁護士相談することも考えられます。

払えない場合は分割や借入の検討を求める

一時金が数十万円、場合によっては100万円近くになると、年金生活や子育て中の家庭には大きな負担です。支払う必要があるとしても、一括で払えないことはあります。
その場合は、分割払いができないか、管理組合に相談しましょう。管理組合側も、未払いが増えると工事資金に影響します。全員から一括で集めるより、分割や借入を組み合わせたほうが現実的な場合もあります。
管理組合として金融機関から借入を行い、毎月の修繕積立金に少しずつ上乗せして返済する方法もあります。ただし、借入には利息がかかるため、総負担額は増える可能性があります。どちらがよいかは、管理組合全体で検討する必要があります。
また、今回の一時金だけでなく、今後の修繕積立金の水準も確認しましょう。一時金を払っても、数年後にまた不足するなら根本的な解決になりません。段階増額積立方式を採用していたなら、今後は均等に積み立てる形へ見直すことが大切です。

まとめ

30年間修繕積立金を払い続けてきたのに、大規模修繕のために一時金を求められると理不尽に感じるでしょう。しかし、工事費の上昇や計画不足により、積立金が足りなくなることはあります。
総会で適正に決議され、管理規約に沿った一時金であれば、区分所有者として負担が必要になる可能性があります。ただし、無条件で受け入れる前に、工事費の根拠、積立金残高、長期修繕計画、負担方法を確認しましょう。
支払いが難しい場合は、分割払いや管理組合の借入、工事内容の見直しを提案できます。大切なのは、一時金への不満だけで終わらせず、今後また不足しない積立計画へ見直すことです。建物を守りながら、住民の負担をできるだけ平準化する話し合いが必要です。
 

出典

国土交通省 マンション管理・再生ポータルサイト これだけは知っておきたい!マンションの管理状況チェックシート
国土交通省 マンション管理・再生ポータルサイト 「長期修繕計画作成ガイドライン」では、5年ごとに計画を見直すことが推奨されていますが、なぜ見直しが定期的に必要なのですか。
国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状
国土交通省 段階増額積立方式を採用しているマンションは早めに均等積立方式に切り替えよう!
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー