【熊本地震】「売上金を金庫に」店舗に戻り従業員が被災 “ウソ説明”で保身した会社の「法的責任」

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錯誤や保身があった

イオンモール熊本」で起きた爆発に巻き込まれて死亡した大竹玖瑠美さん(22)の通夜が8月2日に営まれた。この日、大竹さんが勤務していた雑貨などを扱う「ハビタ」の社長と営業部長が遺族のもとを訪れ、

「もし可能であれば売上金を金庫になおしてくれないか、もし入れるのであれば、と言いました」

と打ち明け、営業部長は「判断が間違っていた」と謝罪した。

これまで、会社幹部は遺族に対して保身とも取れる説明をしていた。

「Aさんという女性従業員も大竹さんと一緒に亡くなっているのですが、営業部長は当初、『Aさんが荷物を取りに行きたいと言ったので、2人は店に戻った』と大竹さんの遺族に説明していたのです。店に戻ると聞いたから、『可能なら売上金を金庫に入れてほしいと頼んだ』と。マスコミにもそう説明していました」(テレビ局ディレクター)

しかし、実際は会社側が指示して2人を店に戻らせていた。

「説明に違和感を覚えた遺族が追及すると営業部長はしどろもどろになり、錯誤や保身があった、会社が指示して店に戻らせたと認めたのです。謝罪の場にはマスコミのカメラや記者が複数入っていましたが、長くなるので営業部長がウソの説明をしたくだりをカットしたところもあった。ウチもニュース番組で第一報を報じた際は放送しなかった」(前出・ディレクター)

だが、放送時間に余裕があるワイドショーなどが営業部長のウソの説明を報じると、ハビタに批判が殺到した。

数百万〜数千万円の損害賠償が

大竹さんたちは即座に避難し、「店内には戻ってはいけない」というイオンの防災マニュアルを守っていた。爆発は予期できなかったとしても、壁や天井が崩落する可能性もあった。大地震が襲った後の建物に従業員を戻したことに対して、ハビタが責任を追及されても仕方ないだろう。

「森實法律事務所」の森實健太弁護士が言う。

「店舗側が従業員に対し、危険なことをわかっていながら戻るように指示をした結果、従業員が死傷した場合、業務上過失致死傷罪(刑法第211条)が問われます。本罪が成立すると5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科せられます。指示をした側がどこまで結果を予見でき、それを回避できたかといった過失の有無等が争われることとなるでしょう。

遺族が民事裁判を起こした場合、安全配慮義務違反として債務不履行や不法行為責任が考えられます。責任が認められた場合、損害としては、どの程度の収入を得ていたかや、企業側にどの程度の過失があったかなどにもよりますが、数百万〜数千万円の損害賠償が認められる場合もあります」

利益に目が眩んだ会社側の誤った判断で、助かったはずの未来ある若者2人の命が失われてしまった。