「レアルに入れたのは9割運」10歳で下部組織に加入、16歳でトップチームの練習に初参加。欧州超名門での日々とは――「日本ではありえない過酷さ」【中井卓大インタビュー|中編】
世界最高峰の選手たちとともに汗を流した経験は、苦しい時期の支えにもなった。
「本当にトップチームの練習のおかげで、カスティージャで試合に出られなかった時期も、サッカーを楽しく、自信を持ちながらできていたと思います。練習に参加した時は、目の前にベルナベウで見ていた選手たちがいて、スピードや強度も高かった。周りもうまいからこそ僕も良いプレーができましたし、うまく活かしてくれる感覚がありました。
あとは、今まで一緒にサッカーをしてきた選手たちの中で、一番純粋にサッカーを楽しんでいる選手たちの集まりが、レアル・マドリーでした。もちろん仕事でもありますけど、本当に友だちに誘われて、公園に行ってサッカーをすると、きって楽しいじゃないですか。その感覚で彼らは練習場に来ていた印象があります。技術的に優れているのは当然ですけど、『サッカーを楽しむ』という姿勢には毎回、驚かされました」
そう語ったうえで、中井はカスティージャまでたどり着くまでの険しい道のりを振り返った。
「スペインに行って、最初の方は毎年クビがかかっていました。毎年7人から10人くらいのチームメイトが不合格になり、次の年に新しい10人が入ってくるという環境でした。日本ではありえない過酷さでした。
そのなかでアンダー10からカスティージャまで上がれたことは、簡単ではなかったと思います。あとは言語です。若い頃に行ったので、1年から2年で言葉を覚えられたのですが、当初は本当にきつかったです」
では、マドリーでのプレーを通して最も成長したのは? 中井が挙げたのは精神面だった。
「メンタル面が変わりました。技術面は昔からそれほど変わっていなくて、レアルで通用する技術はあると思っています。ただ、レアルは勝たなかったらファンからブーイングされ、勝ったら手のひらを返したように褒められるクラブです。そこに11年間もいられたのは、メンタルが徐々に強くなっていったからだと思います」
そうした厳しい環境を乗り越えた経験が、今につながっている。
「今治に加入させていただいて、人生で一番サッカーを楽しめています。毎日の練習も試合も本当に楽しいです。ずっとレアルでやってきて、トップチームの選手たちも見てきたからこそ、良い意味でプレッシャーを感じすぎず、リフレッシュして純粋にサッカーを楽しめています。僕が楽しんだら、ファンの皆さんにも楽しんでもらえるのかなと思っています」
異国の地でのキャリアを糧に、今治で新たな挑戦を始める。
取材・文●保坂悠輝(サッカーダイジェストWeb編集部)
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