その名も「トランプ口座」、社会にどんな影響を与えるか(C)ロイター

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【トランプ2.0 現地リポート】

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 赤ちゃんが生まれたら政府が1000ドル(約16万円)を出し、株式市場で運用する制度がアメリカで始まった。その名も「トランプ口座」だ。家族や企業なども追加拠出でき、18歳になると学費や住宅購入資金など一定の条件を満たせば引き出せる。すでに700万人以上が申し込んだと報じられている。

 支持派が評価するのは、これまで投資に縁がなかった子どもを株主にし、資本主義への参加を広げる画期的な政策だという点だ。それが社会にどんな影響を与えるのか。経済学者のアリソン・シュレーガー氏に取材した。

 彼女は、親の資産によって生まれるスタート地点の差を小さくし、低所得家庭の子どもの経済的な上昇を促す可能性があると評価する。

 アメリカでは、株式を持っているかどうかが、そのまま資産格差につながりやすい。シュレーガー氏の試算では、1995年に米国を代表する株価指数S&P500に50万ドルを投資し、そのまま保有していれば現在は840万ドル。実に約17倍に増えたことになる。

 アメリカ人の6割が、退職口座などを通じて何らかの株式を保有し、その恩恵を受けている。一方、「特に低所得層は、株式を保有している可能性がはるかに低い」と彼女は指摘する。トランプ口座によって、こうした家庭の子どもも投資家になり得る。自分の口座の値動きを見ることは、金融教育にもなる。

 もうひとつ彼女が評価するのが、民主党左派が掲げる富裕税とは正反対の発想だ。

中間選挙に向け富裕層批判に危機感

 富の再分配は必要だが、富そのものへの課税は資産評価が難しく、国外への資産移転や制度上の抜け穴を生みやすい。富裕層を罰して既存の富を分けるよりも、新たな富を生み出そうとする点が優れていると、彼女は強調する。

 もちろん批判もある。出発点は同じでも、多くを追加拠出できる富裕家庭と、できない家庭との差はむしろ広がるからだ。また、過去30年と同じように株価が上がり続ける保証もない。

 では今なぜ、トランプ政権はこの制度の施行に踏み切ったのか。その背景には、富裕層への怒りが強まりすぎたことへの危機感があるとシュレーガー氏は指摘する。

 中間選挙を前に勢いを増す左派ポピュリズムは、富裕税による再分配を求めている。それに対する「資本主義からの回答」が、トランプ口座なのかもしれない。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)