【子育て世帯の夏休み問題】子どもの居場所・宿題をUR団地が解決! 涼しい集会所を無料開放、大学生による学習サポートも 「DANCHIつながるーむ」
夏休みは子どもにとって待ち遠しい一大イベント。一方で、保護者にとっては「日中をどう過ごしてもらおうか」と悩む時期でもあります。そんな夏休みの子どもの居場所づくりに取り組んでいるのが、独立行政法人都市再生機構(以下、UR都市機構)です。UR団地の集会所を、団地内外の子どもたちに広く開放し、楽しく学び、遊べる場を提供しています。
2023年夏の開始以来、リピーターも続出しているサマースクール企画「DANCHIつながるーむ〜夏休みは団地で楽しもう!〜」。今年も7月21日〜8月27日に開催ということで(団地によって開催日は異なる)、見どころや狙い、これまでの反響などについて、UR都市機構西日本支社にお話を伺いました。
夏休み期間、涼しい団地の集会所を、子どもたちの居場所として活用してほしい

(写真提供/UR都市機構)
全国のUR団地で展開している「DANCHIつながるーむ」。子どもからシニアまで多世代が集い、地域とのつながりを育む取り組みです。その一環として、関西エリア(大阪・兵庫・京都・奈良)のUR団地で夏休み期間中に開催されるサマースクール企画「〜夏休みは団地で楽しもう!〜」は、2023年夏にスタート以来、毎夏の定番として多くの親子に親しまれています。
きっかけは、共働き世帯を中心に、日中の子どもの居場所に悩む家庭が増えるなか、UR都市機構が「子育て世帯に対して、なにか出来ることはないか」と考えたことから始まりました。冷房の効いた集会所を開放し、団地に住む子どもたちはもちろん、周辺地域に暮らす子どもたちも広く受け入れることで、子育て支援やクールシェアにつなげたいと考えたのです。

(写真提供/UR都市機構)
初年度は大阪府と兵庫県の8団地で実施され、期間中には延べ1200人もの親子が参加。これが実現できたのも、UR団地には、団地にお住まいの方や、地域の人々が集える共用の空間が充実しているからこそ。団地内にとどまらない、地域にも開かれたUR団地ならではの取り組みといえます。
地域プレイヤーが主体となって、地域の魅力を育てていく

(写真提供/UR都市機構)
4年目を迎えた2026年は、初参加の団地も加わり、過去最多となる関西の20団地で開催。期間中は「サマースクール」として、工作教室やプログラミング教室、e-sports体験、移動博物館、縁日など、合計75を超える多彩なプログラムが行われます。
開催期間は各団地4〜5日程度。各プログラムを実施主体は、地元企業や近隣の大学、自治体や地域で活動する団体など、団地ごとに異なるのがユニークな点です。地域のプレイヤーと連携して取り組む理由は、「団地の集会所を起点にして、地域の方々とともに団地や”まち”の楽しみを耕していきたい」という思いがあるから。「主催する団体によって企画の組み立て方も異なり、それぞれのカラーが出た取り組みになっています。地域ごとの個性を生かしながら、団地の魅力を知ってもらえる機会になればと思っています」とUR担当者も話します。
こうした子育て支援を通じて、団地住民と地域住民、地域の企業や団体とのつながりを育み、多世代が共生するコミュニティづくりに注力している点が評価され、2025年には都市住宅学会賞・業績賞を受賞しています。
「また来たい!」の声が続出。親子に人気のプログラムとは
「DANCHIつながるーむ」のサマースクールでは、地域で活動されている方々や、地元の企業、近隣の大学と連携し、団地ごとに工夫を凝らしたプログラムを用意しています。夏休みの宿題のサポートはもちろん、ここでしかできない体験や思い出づくりのお手伝いとなるコンテンツが盛りだくさん。
「楽しかったから、また今年も参加した」という声も聞かれるDANCHIつながるーむのサマースクール。参加者アンケートによると、なんと全体の約3人に1人(約33%)が「2回以上参加しているリピーター」という結果に。なかには、参加者の半数以上(51%)がリピーターという熱量の高い団地もあるほどです。
一体どのような内容なのでしょうか? 過去の開催内容から、いくつかご紹介しましょう。
●涼しい集会所で楽しく習字。「習字の宿題を終わらせよう!」(中百舌鳥公園団地/大阪府堺市北区ほか)

(写真提供/UR都市機構)
堺市の小学校では、毎年夏休みに習字の宿題があるのが恒例。そこで、「こどもらうんじ」に集まって、みんなで習字を学ぼうという企画が人気を集めています。半紙や筆など必要な道具は準備されており、手ぶらで参加できるのも魅力です。「自宅で習字の練習をすると、机を汚してしまったり、後片付けが大変だったり。親がつきっきりで教えることも難しい」という声もあり、保護者にも喜ばれているプログラムです。
●地元企業が先生に。「まち工場のモノづくり体験」(洛西境谷東団地/京都府西京区)

(写真提供/UR都市機構)
団地近くで自動車部品の製造や線材加工を手がける上田製作所が講師を担当。金属にまつわるクイズを楽しんだ後は、レーザー彫刻機などを使い、金属の棒に文字を刻印する体験を行いました。さらに、金属を曲げる工具を用いたカラビナやS字フックづくりにも挑戦。普段なかなかふれることのない工具やレーザー加工の技術に、子どもたちは興味津々です。

(写真提供/UR都市機構)
保護者からは「家庭ではできない体験ができてうれしい」「地元の企業さんを知る機会になった」といった声も。UR担当者は「子育て世帯の助けになるとともに、若い世代がこの地域に戻って子育てをするきっかけになればうれしいです」と話します。
●「マルシェ・ツクル・ゼミ」卒業生によるワークショップ(シャレール東豊中団地/大阪府豊中市)

(写真提供/UR都市機構)
プロのクリエイターを講師に迎え、マルシェイベントへの出店や運営をめざす「シャレール東豊中団地」の地域密着育成型プロジェクト「マルシェ・ツクル・ゼミ」。その卒業生が今度は講師となって、サマースクールで子ども向けのワークショップを開きました。
講座は、布やレース、ビーズを使った「お魚マグネットづくり」や、「消しゴムはんこで『お名前はんこ』をつくろう!」など。丁寧に教えてもらいながらつくったハンドメイド雑貨は、夏のいい思い出に。
「地域のクリエイターにとっても活躍の場となり、自己表現の機会につながっています」(UR担当者)
●シニアvs子どもが真剣勝負!「みんなでボッチャを楽しもう!」(南港しらなみ団地/大阪府大阪市住之江区ほか)

(写真提供/UR都市機構)
年齢、性別、障がいのあるなしに関わらず、すべての人が一緒に競い合えるヨーロッパ生まれのスポーツ、ボッチャ。住之江区社会福祉協議会の指導のもと行われたイベントでは、シニアメンバーと小学生が対戦しました。初めて挑戦する子どもたちは、真剣なまなざしでみるみる上達していったとか。最後は、負けてしまった悔しさから涙を流す子も。ゲームと向き合う姿勢やルールを守ること、周囲とのコミュニケーションの大切さを学ぶいい時間になったようです。
●自治会や大学生と楽しむ「しらさぎ夏まつり〜みんなでごはんを食べようあそぼう!」(白鷺団地/大阪府堺市東区)

(写真提供/UR都市機構)

(写真提供/UR都市機構)
白鷺団地では、DANCHIつながるーむを通して多世代交流が広がっています。自治会の方々による「喫茶サロン」では、お菓子やコーヒーがふるまわれ、子どもだけでなく大人ものんびりくつろぐ姿が見られました。大阪公立大学の学生は、縁日をテーマに、わにゲームや魚釣り遊びなどを手づくり。「子どもたちは普段ふれあう機会の少ない大学生のお兄さん、お姉さんと遊べて大喜び。大学生にとってもフィールドワークとして得るものが大きいはず」とUR担当者は話します。

(写真提供/UR都市機構)
地域団体「こども夢くらぶ」による「こども食堂」に、今回は認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえを通じて、支援企業から食品が届けられました。子どもや親子連れだけでなく、70代、80代の方々、近隣住民の方々も訪れ、世代を超えて食事や会話を楽しめる場となりました。
予約不要・無料で何時間でもOK。気軽に利用できる「こどもらうんじ」
こうしたサマースクールのプログラムやイベントを入り口に、がぜひ注目したいのが、UR都市機構が主催する「こどもらうんじ」です。各団地のサマースクール開催期間中、集会所の一室を朝から夕方まで開放するもので、通常、集会所の利用にかかる料金もかかりません。2026年は20団地で実施し、どの団地でも予約不要で利用できます。

(写真提供/UR都市機構)
「多いのは、小学生が子どもたちだけで来るケースです。きょうだいで来たり、団地の外に住む学校や習い事の友達を誘って来たりする子も結構います。自分たちでオリジナルの遊びを創作したりして、楽しく過ごしています」とは言います。
また、一部の団地・日程では、近隣の大学生による宿題サポートも実施。親子にとって夏休みに欠かせない場所になっています。

(写真提供/UR都市機構)
時間内であれば好きなだけいられるとあって、未就学児の親子などは、お弁当を持参して一日中ここで過ごすことも。「お金をかけず、周りを気にせずに過ごせる場所がなかった、と喜んでくれる方も多いですね」とUR担当者。団地の集会所なら、家から歩いてすぐ行けるのもメリット。ここで親同士が顔見知りになり、新たな交流も生まれているようです。
暮らしを豊かにする、UR団地の新たな役割
こうした取り組みは、地域の魅力発信にもつながっています。
「UR都市機構では団地誕生から70年を迎えるにあたって『ゆるやかに、くらしつながる。』という新事業メッセージを掲げています。団地の空間を活用してもらい、ゆるやかなつながりの中で安心して毎日を過ごせる場所になればと考えています」。DANCHIつながるーむを通して、「近くにUR団地があってよかったな。このまちっていいよね」と感じるきっかけになればうれしいと話します。

(写真提供/UR都市機構)
団地を暮らしの場として提供するだけでなく、人や地域とのつながりを育む場に。団地への入居促進にとどまらず、「このまちに住みたい」「長く暮らしたい」という、地域への愛着を深める取り組みでもあります。今後も実施する団地は増えていく予定で、「DANCHIつながるーむ」のさらなる広がりがとても楽しみです。
今年の開催情報
各団地の詳細はこちらから
【大阪府】
・南港しらなみ団地(大阪市住之江区)
期間:8/3(月)〜7(金)
場所:31号棟集会所(大阪市住之江区南港中3-3)
・中百舌鳥公園団地(堺市北区)
期間:8/3(月)〜7(金)
場所:4号棟集会所(堺市北区中百舌鳥町6-998-3)
・泉北桃山台一丁団地(堺市南区)
期間:8/3(月)〜7(金)
場所:13号棟集会所・ももポート(堺市南区桃山台1-3-13)
・アルビス旭ヶ丘団地(豊中市)
期間:8/3(月)〜7(金)
場所:中央集会所(豊中市旭丘2-1)
・金剛団地(富田林市)
期間:8/6(木)、8/8(土)、8/20(木)、8/27(木)
場所:金剛地区魅力向上拠点 ∞KON ROOM(富田林市寺池台1-9-70 S3号棟)
・森之宮第2団地(大阪市城東区)
期間:8/17(月)〜21(金)
場所:8号棟集会所(大阪市城東区森之宮2-1-8)
・東豊中第2団地(豊中市)
期間:8/17(月)〜21(金)
場所:134号集会所(豊中市東豊中町5-2)
・中宮第3団地(枚方市)
期間:8/20(木)〜8/25(火)
場所:プール跡広場+キュウカンサ(枚方市上野2-9 52号棟)
【兵庫県】
・ルゼフィール名谷東
期間:8/11(火・祝)〜14(金)
場所:ルゼフィール名谷東集会所(神戸市須磨区中落合一丁目2番 421号棟北側)
・浜甲子園さくら街
期間:8/18(火)〜21(金)
場所:浜甲子園さくら街1号棟集会所(西宮市古川町3番)
・武庫川
期間:8/19(水)〜23(日)
場所:つどい場まんなか(西宮市高須町二丁目1番19号棟2階)
【奈良県】
・高の原駅西
期間:8/3(月)~7(金)
場所:高の原駅西9号棟集会所(京都府木津川台兜台1丁目2番地9号棟)
・奈良学園前・鶴舞
期間:8/5(水)~7(金)
場所:奈良学園前・鶴舞9号棟集会所(奈良県奈良市鶴舞西町1番 9号棟)
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●取材協力
独立行政法人都市再生機構 西日本支社
DANCHIつながるーむ
(塚田真理子)

