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予期せぬ妊娠を防ぐため、性交後に飲む緊急避妊薬(アフターピル)が、女性本人であれば未成年を含め、医師の診察を受けずにドラッグストア・薬局で買えるようになってから半年、実情と課題をまとめました。

■緊急避妊薬とは?1錠飲むと妊娠を8割の確率で防止

緊急避妊薬は、避妊なしの性交やコンドームが破けた、性加害にあったなどの場合、性交後72時間以内に女性が飲むことで、排卵を抑え、妊娠を81%の確率で防ぐことができるというもの。今年2月2日からは医師の診察を受けなくても薬局で購入できるようになりました。薬局で買える緊急避妊薬は2種類あり、成分、効能は同じです。

⚫ノルレボ(7480円、第一三共ヘルスケア)
⚫レソエル72(6930円、アリナミン製薬)

買えるのは女性本人のみで、友人やパートナーが代理で購入はできません。(未成年でも保護者の付き添いなしで購入可能)本人が店頭でチェックシート(性交の日時、その前にいつ生理があったかなど)を記入し、薬の説明を受け、薬剤師の目の前で1錠飲むのがルールです。(3週間後、妊娠検査薬か産婦人科受診で妊娠していないかチェックが必要、こうした薬があるから避妊は不要というのではなく、自分にあった避妊法を選ぶことが推奨されています)

すべての薬局で買えるわけではなく、専用の研修を受けた薬剤師がいる、プライバシーに配慮し個室やついたてがある、近隣の産婦人科などと連携体制があるという条件を満たしたドラッグストア・薬局でのみ購入できます。この薬を扱う店舗一覧は厚生労働省のHPにあり、第一三共ヘルスケア、アリナミン製薬のHPでは店舗の場所が検索できます。

■購入者の約7割が20〜30代、約2割が40代

ノルレボを販売する第一三共ヘルスケアによりますと、2月の発売直後に比べてこの薬を扱う店舗が増え(7月1日時点で全国約1万5300軒)、今年7月の出荷量は約1万3000個(参考値)。購入者の約7割が20〜30代、約2割が40代で幅広い年齢の人が買っているそうです。

この薬を扱う薬局などを検索するWEBサイトへのアクセスは日曜日〜月曜日に多く、ゴールデンウイーク付近での販売数も多かったことなどから、医療機関の休業などとも関連して需要が高まる傾向にあると推察しているということです。6月5日にはLINEアカウントを開設し、購入前のセルフチェックから服用後の体調管理までをサポートすると説明しています。6月には英語のWebサイトを公開し、チェックシートや製品情報(添付文書など)は6つの言語に対応しているということです。

■薬局に行く前に専用のLINEやWEBでチェックシートを書いておくと時間短縮に

3月9日にレソエル72を発売したアリナミン製薬によりますと、レソエル72のLINEのチャットボットを使うと、「緊急避妊薬を買いたい」と口に出さずにLINE画面を見せれば薬剤師に伝わるほか、店頭で記入するチェックシートの内容を事前に自宅などで確認できるということです。このLINEがあると(時間短縮でき)助けになるという声が薬局などから寄せられているといいます。

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LINEとは別に、レソエル72のWEBサイトもあり、チェックシートをオンラインで入力できます。PDFを印刷または保存して薬局などに持っていくと購入がスムーズになるということです。

■薬剤師が語る課題は…

東京・荒川区にある「りんごちゃん薬局」の薬剤師、鈴木怜那さん(一般社団法人SRHR pharmacy PROject代表)に緊急避妊薬の実情を聞きました。「販売している薬局がなかなか見つからなかった」という人や鈴木さんが勤務する薬局が日曜、祝日にも営業しているので助かったと話した人もいたということです。

鈴木さんは課題の一つとして運用ルールの複雑さをあげました。「この薬を販売できるのは専用の研修を受けた薬剤師のみ、など様々なルールがあります。国からの通達も複雑で、未成年にも販売できるのに、年齢制限があると誤解した薬剤師もいました。」「(ほかのお客さんに聞かれないように)個室などに移動して、チェックシートを書いてもらい、薬の説明をし、服用してもらうので10〜15分ほどかかります。薬剤師1人が営む薬局では、ほかのお客さんが待つ長い列ができたと聞いたこともあります。海外ではこの薬を買う際『直近の生理日』などを答えるチェックシートはないといいます。日本でもこの薬について必要な情報をもれなく簡潔に伝える仕組みを整備しつつ、販売ルールを簡素にできると、買う方もチェックシートの項目が多すぎて不安といったことがなくなり、販売側の時間や人材確保のためにもいいと思います」

■何度も買うのは悪いことなのか…女性の背景に理解を

「緊急避妊薬を何度も買いに来る女性を問題だと考える人もいますが、私はぜんぜん悪いことじゃないと思います。薬局を頼れる場所として見つけて、つながってくれたということですので。そうした女性の背景には家庭内暴力や性暴力があるかもしれないし、避妊の説明をきいても言葉で理解するのが難しい方もいます。『2回も買いに来るなんて』と偏見を持つのではなく、女性の背景を理解し支援する視点が求められていると感じます」「何らかの支援が必要そうな方には、役所や相談支援センターなどに橋渡しする役割も薬剤師は担っています。本当はサポートが必要なのに抜け落ちてしまっている女性に、緊急避妊薬を買いに来てくれたことをきっかけにセーフティーネットをかけられれば」

■緊急避妊薬を扱う薬局の数に地域差…熊本県と埼玉県で少ない現状

緊急避妊薬の薬局販売を求めてきた「#なんでないのプロジェクト」代表で東京大学特任研究員の福田和子さんは、今の課題について次のように述べました。「学生たちと話すと、緊急避妊薬をどこで買えるかよく知らない人が多いので周知が必要。学校での生命の安全教育に組み込むなども検討してほしい」「薬剤師の前で服用するルールはなくすべき。他の薬にはないものですし、販売資格を持つ薬剤師がいない時間帯もあり、やっとの思いで薬局に行っても買えないのは問題です」また緊急避妊薬を扱う薬局の数の地域差も課題です。「産婦人科との包括連携がなされないと決まった熊本県と埼玉県では圧倒的に数が少ない。運用ルールの厳しさが地域間格差をもたらした形で、改善が必要です」福田さんは薬剤師の対応のばらつきも問題だと指摘。「薬局が女性の家から遠いので、夜遅くまで待ってくれた女性薬剤師もいれば、『なぜ妊娠するようなことをしたのか』と薬剤師に責められつらかったという声もあります」

約7000円する緊急避妊薬を買えない人もいるため、性暴力被害者などに無料で提供する自治体もあるということです。

妊娠したかもという不安や恐怖の中にいる女性が緊急避妊薬にアクセスしやすい環境の整備が求められています。