元OpenAI・CTOのミラ・ムラティ氏らが創業したAIスタートアップ・Thinking Machines Labの共同創業者で、同じく元OpenAIのリリアン・ウェン氏が健康上の問題を理由として、退職を表明しました。なお、OpenAIがウェン氏の再入社を明らかにしています。

Exclusive: Thinking Machines Cofounder to Return to OpenAI - The Information

https://www.theinformation.com/briefings/thinking-machines-cofounder-return-openai

Thinking Machines co-founder Lilian Weng left the company citing health reasons, then joined OpenAI | TechCrunch

https://techcrunch.com/2026/07/29/thinking-machines-co-founder-lilian-weng-left-the-company-citing-health-reasons-then-joined-openai/

ウェン氏は現地時間2026年7月27日、自らのXに以下のようなメッセージを投稿しました。

「1カ月も更新が途絶えてしまい申し訳ありません。すばらしい新製品のリリースおめでとうございます。『Inkling』は当社の歴史において画期的な節目です。しかし残念なことに、明日がThinky(Thinking Machines Lab)での私の最後の出勤日です。

新しい研究所の立ち上げには笑いも困難もありましたが、もはや、スタートアップに求められるペースで活動を続けていくのは、私には無理だと感じています。この7カ月間、私はこれまでの人生で経験したことがないほどに体調を崩していました。Thinkyの皆さんを失望させることは心苦しく、同時に、自分の健康状態も気がかりなので、今回の決断は非常に辛いものでした。しかし数カ月考え抜いた末、最終的に、絶え間ないストレスと膨大な仕事量が限界を超えていたのだということを受け入れざるを得ませんでした。『Inkling』のリリースに向けて全社一丸となっていたとき、私は病気休暇を取得してきっちり休もうとしました。罪悪感に苛まれながら休むというのは、あまり心地いいものではありません。プレッシャー軽減のために、役割の範囲を狭めることも考えましたが、それは私の性格に合いません。自分が責任を負うべきことに100%の力を注げないなら、役目を果たせていません。今でもAI分野の仕事は大好きで、最先端の動向を学ぶために論文を読むのも楽しみです。なので、共同創業者という立場ではなく、より見通しの立つ環境で、役割の範囲が明確な仕事の方が、私の人生の次の段階に適していると考えました。

このような決断を下すことになって、そして皆さんを失望させることになって、申し訳ありません。一方で、『Inkling』が大成功を収め、当社がより一貫性のあるビジョンに基づいて事業を展開していることを、とてもうれしく思います。共に構築し、成し遂げてきたことを誇りに思います。Thinkyは誕生前から私が携わってきた場所であり、その浮き沈みのすべてを目の当たりにし、体験してきました。20カ月という期間は、人生全体からすればそれほど長いものではありませんが、これほど競争の激しい世界では、まるで一生分の経験のようにも思われ、あらゆる面で充実したものでした。Thinkyはこれからも心の中の特別な場所であり、私は陰からみんなを応援します。築き上げる価値のある未来とは、人間そのものです」



ウェン氏はもともとOpenAIで安全チームの責任者を務め、2024年8月からは研究および安全担当ヴァイスプレジデントになっていましたが、2024年11月に退職を表明。当時、OpenAIからはAIの安全を担う役職を務めた幹部の離職が相次いでいました。

OpenAIの主任安全研究者を務めるリリアン・ウェン氏が退職、AIの安全性を守る責任者が相次いでOpenAIを離れる - GIGAZINE



その後、ウェン氏はOpenAI元CTOのミラ・ムラティ氏らとともにAIスタートアップ「Thinking Machines Lab」を設立しました。

OpenAIの元CTOであるミラ・ムラティがAIと人間の相互作用に焦点を当てたAIスタートアップ「Thinking Machines Lab」を設立 - GIGAZINE



なお、ウェン氏自身は退職後について語っていませんが、古巣であるOpenAIがウェン氏の復帰を明らかにしています。広報担当者によると、ウェン氏はAIが自らを反復的に改良してより強力になっていくことを可能にする「再帰的自己改善」に関する研究を支援するチームを率いることになるそうです。

ムラティ氏はウェン氏の退職表明投稿に「Thinkyを一緒に作ってきた時間はとても素晴らしいものでした。健康を第一に考えたことをうれしく思います」と返信していましたが、OpenAIに出戻ることを知っていたかどうかはわかりません。