皇室典範改正は高市総理も「寝耳に水」だった…外遊の隙をついた、麻生太郎の強引すぎる国会運営への介入

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総理不在の隙を突き、国会運営を掌握

7月17日、特別国会は与野党の激しい攻防の末、大混乱のまま延長にもつれ込んだ。この国会最終盤の主導権を握っていたのは、官邸ではなく「キングメーカー」こと麻生太郎副総裁である。

「終盤国会は、完全に麻生政局になった」

自民党の閣僚経験者がそう吐き捨てる通り、麻生氏は高市早苗総理のインド外遊という一瞬の隙を突き、国会運営の舵を強引に奪い取った。

「高市さんは、自分が留守の間に麻生さんに介入されるなんて思っていなかった。頭にきたのは間違いないでしょう」(全国紙政治部記者)

時計の針を7月1日に戻す。この日、高市総理はモディ首相との首脳会談のため、意気揚々とインドへと旅立った。しかし、総理を乗せた政府専用機が日本を離れたまさにその日、麻生氏の指示によって森英介衆院議長が動き出す。森議長は与野党の幹事長を急遽招集すると、「皇室典範の改正を優先させるように」と議長仲裁という形で国会運営に介入したのである。

これは高市総理にとっては寝耳に水だった。党内に強固な派閥基盤を持たない高市総理にとって、まとまった数で自らを応援してくれる日本維新の会は、唯一の「頼れる仲間」だ。そのため、高市総理は維新が最優先課題として掲げる「定数削減法案」と「副首都法案」を先に成立させ、皇室典範はその後に回そうともくろんでいたのである。

しかし、麻生氏がそれを許さなかった。自民党内でも反発の強い衆院の議員定数削減法案は、そもそも今国会で成立させるのは難しかった。先に国会の流れを皇室典範優先へと固定化してしまえば、外遊中の総理は口を出せない。麻生氏はそのことを見越して先手を打ったわけだ。

皇室典範改正を優先に」麻生氏が作った流れとは

「高市総理は麻生さんの作った流れに抗うことはできなかった」(前出・閣僚経験者)

麻生氏が仕掛けた「罠」は、この議長介入だけにとどまらない。その前段階として、6月25日の夜、都内で行われた自民党と国民民主党の幹部会合が、維新を締め上げる伏線となっていた。

会合には自民党側から麻生氏、鈴木俊一幹事長、萩生田光一幹事長代行が出席。国民民主党側からは玉木雄一郎代表、榛葉賀津也幹事長、古川元久代表代行と両党の幹部が勢揃いした。

この会合の直前、維新の藤田文武共同代表は記者会見で、皇室典範改正案に関して、養子となる旧宮家の男系男子を「15歳以上」とする年齢制限に苦言を呈し、自民党を揺さぶっていた。

藤田氏の注文によって再度議論をやり直すようなことになれば、今国会の成立に間に合わない恐れがあった。藤田氏の発言に激怒した麻生氏が繰り出したのが、国民民主党という「カード」だった。前出の政治部記者が解説する。

「麻生さんは『無謀な要求を続けるならおまえら(維新)を切って、国民民主党を連立に入れるぞ』と暗に脅したわけです。維新からしても、連立からの離脱は避けたい。離脱してしまえば、副首都も定数削減も実現できなくなってしまうからです」

あえてメディアに国民民主とのトップ会合をリークさせることで、麻生氏は維新に対して強烈なメッセージを送ったのだ。結果、6月30日の臨時閣議前の会談において、維新の藤田氏は「15歳以上の年齢制限反対」の主張を引っ込め、自民党案に合意せざるを得ない状況に追い込まれた。

国民民主「連立入り」の先に見据えているもの

老獪な立ち回りを見せた麻生氏だが、維新の遠藤敬国対委員長は、どこ吹く風だ。

「(麻生氏に)皇室典範はやってくれよ、と言われたけど、それ以外はなんてことない。(麻生氏がすごいと)たいそう話を膨らませているけれど。

逆に国民民主党はきついんちゃう? YouTubeでも玉木の動画はあまり回ってないとか。あまりにも色々やりすぎて、国民の目からの映りは良くないんじゃないか」

そもそも、麻生氏は「維新嫌い」として知られる。維新の背後には松井一郎前大阪市長がおり、松井氏は麻生氏の政敵である菅義偉元総理と深く繋がっているからだ。

その菅氏が帝国ホテルに事務所を構えたり、旧安倍派の会合に参加するなど、最近活発に動いており、これも麻生氏にとってはおもしろくない。

だが、麻生氏が国民民主党との連立拡大にこだわる理由は、単なる感情論だけではない。その先にある「憲法改正」を見据えているのだ。

【後編を読む】皇室典範改正を強引に進めた麻生太郎が見据える「憲法改正」、高市総理を見限ったキングメーカーの「次の総理候補」

「週刊現代」2026年8月3日号より

【つづきを読む】皇室典範改正を強引に進めた麻生太郎が見据える「憲法改正」、高市総理を見限ったキングメーカーの「次の総理候補」