【為替】円安阻止介入の再開は近いのか?

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介入再開が見送られた理由とは?

ゴールデンウィークの為替介入後の米ドル高・円安は、基本的には日米金利差(米ドル優位・円劣位)拡大に沿ったものだった。そしてその主因は、米景気回復を受けたインフレ懸念再燃に伴う米利上げ観測だった。(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円と日米金利差(2026年4月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

もう1つ、ゴールデンウィーク中の為替介入後の円安再燃を正当化した要因として、日本の財政規律への懸念があった。6月末に、高市政権の経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」案が明らかになると、財政健全化と日銀の独立性に対する姿勢の後退との受け止めから債券相場が急落し、長期金利は急上昇に向かう「骨太ショック」が起こった。こうした日本の財政規律への懸念を受けた長期金利上昇も、円安を正当化したとみられた(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日本の長期金利(2026年4月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ゴールデンウィークの為替介入後の米金利上昇や日本の財政規律への懸念などは、為替介入による米ドル安・円高への誘導を阻害する可能性が高かっただろう。以上を踏まえると、ゴールデンウィークの為替介入から、当局介入見送りに転じたのは、円安の阻止・是正を目的とした介入が効果的になるタイミングを見守る姿勢に変わったことが大きかったのではないか。

介入再開が近くなった理由

ただし当局関係者と話すと、為替介入には、「時間を稼ぐ」効果もあるとの理解があることが分かる。例えば、今回の場合なら、ゴールデンウィーク介入がなかったら米ドル高・円安は165円に達していた可能性があったものの、それを限定化したのも介入効果ということだ(図表3参照)。ただそうした介入の「時間を稼ぐ」効果という意味では、ゴールデンウィーク介入から約3ヶ月経過する中で、その効果が一巡は意識され始めたようだ。

【図表3】米ドル/円と日米金利差(2026年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

もう1つは、米ドル/円の水準の観点から見ると、ゴールデンウィークに160円を超えたところで米ドル売り・円買い介入に動いたのは、もはや160円を大きく超える円安は日本国内で許容できないとの判断があったようだ。

それは、7月中旬のNHK世論調査において、「円安は日本経済に悪影響」との回答が6割以上となり、「好影響」との回答2割を大きく上回ったことからも裏づけられる。そうした中で、米ドル/円の次の節目となる165円でも円安阻止に動かないということはあり得るだろうか。

介入再開ならゴールデンウィークの11兆円を上回る可能性も

以上からすると、円安阻止のための介入再開が近づいており、たとえば今週(7月27日週)後半の日米金融政策発表は経験的に為替相場が大きく動く傾向があることから、それが介入再開のきっかけになる可能性はあるのではないか。そしてその場合は、ゴールデンウィークの為替介入の11兆円を上回る規模に拡大する可能性もありそうだ。

吉田 恒 マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長