試合後の記者会見に出席した錦織圭

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◆男子テニス ▽ムバダラDCオープン第1日(27日、米国・ワシントン)

 【米ワシントン27日=吉松忠弘】男子シングルス1回戦で、今季限りでの引退を表明している元世界ランキング4位の錦織圭(36)=ユニクロ=が、25年5月のジュネーブ・オープン以来、434日ぶりにツアー本戦で勝利を挙げた。元同47位の商竣程(21)=中国=に6―7、6―3、6―4と2時間31分の激闘を制した逆転勝利を「見た」。8月の全米オープンでは、大坂なおみ(28)=フリー=と混合ダブルスにエントリーしたことも発表された。

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 本当に引退するのか。目の前に、躍動し、軽快に動き、集中力を高め、早い展開でラリーを制する錦織がいた。手応えを感じるテニスは、いつ以来だろうか。錦織も「この2年ぐらいで、(最も)良かった試合。久しぶりにこの感覚を味わえた」。「黄金」と称された錦織の手は、決してさび付いていなかった。

 両者合わせて合計206点を、2時間31分の激闘で制した。フルセットに入れば、現役で最強の勝率7割2分4厘を誇る王者・錦織の右に出るものはいない。自分に厳しい錦織だが「今日の集中力は素晴らしかった。自分が思ってたより、ずいぶん良かった。70点」と合格点だ。

 凡ミスも出た。相手は、けがで2月以来の試合で、ベストではなかった。しかし、それを差し引いたとしても、この日の錦織のプレーが色あせることはない。自身のサービスゲームで、1度もブレイクポイントさえ与えなかった。「残り2〜3試合しかできない可能性もある。納得のいく試合が1試合もなかったら、終わり方としては最悪。とりあえず、いい試合ができてホッとしている」

 5月の引退発表前後で、約1か月ほど、週1回のテニスにとどめ、休養を取った。けがの痛みが減り、練習を再開したときは、思うようなプレーが可能となった。「これだけちゃんと練習すれば、また戻ってこられるんだなというのは感じた」

 この感覚は「もう失ったと思っていた」から、引退も発表した。だから、感覚が戻っても「うれしいと同時に、でも引退するって言っちゃったんで、今、戻ってこられても」と、せつなくもある。けがの痛みさえなければというのは、詮無い話なのか。

 この1試合だけでは、どうしようもないことは分かっている。「3〜4試合を連続でプレーできるかどうか。絶対に、どこかでけがをすると思う」。もし、それだけ戦えて体が大丈夫なときは、「優勝したら考える」と引退の撤回だ。

◆錦織に聞く

 ―勝利の感想は。

 「試合に勝つのはいつだってうれしい。簡単な試合ではなかった。だから、重要な局面や大事な場面を制して、これだけ大きな大会で勝てたのは本当に素晴らしい」

 ―体の状態は。

 「特に第3セットは、かなり疲れていた。ただ、(痛みなどは)今日は大丈夫。今も問題ない。体力的にも問題ない。とにかく、けがなく終わりたい。ちゃんと(9月の)ジャパン・オープンには出られるようにしたい(笑)」

 ―次戦の相手は、世界22位のフィス(22)=フランス=、同24位のホダル(19)=スペイン=の勝者。新世代の選手との対戦だが。

 「どちらが来ても、どんどん打ってくる新世代の選手とプレーできる。自分が、どれだけ早い展開に耐えられるのかは気になる」

◆錦織のこの1年

 ▽25年5月 ジュネーブOP=2回戦 腰痛を再発し2回戦で途中棄権。全仏、6〜7月のウィンブルドン欠場

 ▽25年8月 シンシナティOP=1回戦 自分に失望し引退がよぎる。全米欠場

 ▽25年11月 *横浜慶応チャレンジャー=8強 19年8か月ぶりに国内ツアー下部大会出場

 ▽26年1月 *キャンベラ国際=1回戦 肩を痛め途中棄権。全豪欠場

 ▽26年3月 *ティオンビルOP=2回戦 予選突破し2回戦進出。ツアー下部大会予選の出場は2008年1月以来

 ▽26年3月 *シェルブールCH=1回戦 すでに引退を決意しており力が出ず

 ▽26年4月 *サラソタOP=2回戦 今大会で引退のうわさが出る

 ▽26年4月 *サバンナCH=2回戦 1回勝てても2回戦でガス欠

 ▽26年5月 引退発表 度重なるけがで今季限りでの引退表明

 ▽26年7月 ムバダラDCOP=? 約1年2か月ぶりのツアー本戦勝利

※OP…オープン、CH…チャレンジャー、*…ツアー下部大会